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二年生の二学期
第二百三十一話 修羅場
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「言ったな、お前」ブチャが、おどろおどろしく言った。
胸ぐらを離された奈緒が頭から落ちて、ゴズッと鈍い音を立てる。
「うっ、うっ、うぇ、うぇ」
放心状態で朦朧とした様子のこの子だったが、しばらくして呻くように泣き出した。
ブチャがダウンジャケットを脱ぐ。すごく太い腕だ。闇に沈みかけた部屋の中でギラリと光る視線を放ち、敵対の意思を示した舎弟の瞳を突き刺す。金のブレスレットとアームレットが肌にめり込んで刻印されたように輝いていた。
南は自分を鼓舞するかのように精悍にもこぶしを握る。そんな彼女をブチャが睥睨し続けていた。その顔はみるみる間にふつふつと沸騰するかのように歪んでいく。
怖気づいてたじろぐ南であったが、巨体の後ろで斃れる奈緒の顔からあふれ出る尋常ならざる鼻血の量を見て、強く歯噛みしてギシリと音を立てた。恐怖からか、心臓が早鐘を打つ。呼吸は小刻みで荒い。
しばらくの間、顔中血まみれで、今しがた惨殺されたばかりのような姿で横たわっているこの子を瞬きもせずに凝視していた彼女が、突然キレた。
怒りが泡のようになって吹き上がり、細胞を巻き込んで弾けたようだった。大火の余燼が再び燃え上がるかのようにアドレナリンが吹き出し、脳内で闘争本能の門戸を開く。そんな生体反応が見て取れるくらいの変化が、南の全身に現れる。
突然、飢えたオオカミのように牙をむいて、ぎらつく眼を見開いて吠え猛るようにこぶしを握り構えた。心臓内部から圧出された沸騰する血液を顔にまで到達させたかのように頬を紅潮させる。
爆発した想いが勢いよく胸の内の坂を駆け上がってきたかと思わせるほど激しく鳥肌を立て、見ていた者全員に、髪の毛が逆立ったと錯覚させる勢いの覇気を発する。
南がブチャを弑するような鋭い眼光で睨みつけた瞬間、部屋に鈍い音が響き渡った。怒りの感情が顔表から飛び出し、白く鋭い牙が宿ったようなこぶしが、一線の閃光をひいたのだ。
パンチがモロに顔面に入った。だが、巨魁はびくともしない。硬く根の張った大木のように、ブチャはそこに聳えていた。
「あ……あああ」南の震える喉から、声が漏れた。
己のこぶしの向こうに、激高した鬼のような面のブチャがいる。殴られてなおまばたきもせず、南を睨みつけていた。表情の細部がますます恐ろしく変貌し、みるみるうちに白目が血走っていく。
胸ぐらを離された奈緒が頭から落ちて、ゴズッと鈍い音を立てる。
「うっ、うっ、うぇ、うぇ」
放心状態で朦朧とした様子のこの子だったが、しばらくして呻くように泣き出した。
ブチャがダウンジャケットを脱ぐ。すごく太い腕だ。闇に沈みかけた部屋の中でギラリと光る視線を放ち、敵対の意思を示した舎弟の瞳を突き刺す。金のブレスレットとアームレットが肌にめり込んで刻印されたように輝いていた。
南は自分を鼓舞するかのように精悍にもこぶしを握る。そんな彼女をブチャが睥睨し続けていた。その顔はみるみる間にふつふつと沸騰するかのように歪んでいく。
怖気づいてたじろぐ南であったが、巨体の後ろで斃れる奈緒の顔からあふれ出る尋常ならざる鼻血の量を見て、強く歯噛みしてギシリと音を立てた。恐怖からか、心臓が早鐘を打つ。呼吸は小刻みで荒い。
しばらくの間、顔中血まみれで、今しがた惨殺されたばかりのような姿で横たわっているこの子を瞬きもせずに凝視していた彼女が、突然キレた。
怒りが泡のようになって吹き上がり、細胞を巻き込んで弾けたようだった。大火の余燼が再び燃え上がるかのようにアドレナリンが吹き出し、脳内で闘争本能の門戸を開く。そんな生体反応が見て取れるくらいの変化が、南の全身に現れる。
突然、飢えたオオカミのように牙をむいて、ぎらつく眼を見開いて吠え猛るようにこぶしを握り構えた。心臓内部から圧出された沸騰する血液を顔にまで到達させたかのように頬を紅潮させる。
爆発した想いが勢いよく胸の内の坂を駆け上がってきたかと思わせるほど激しく鳥肌を立て、見ていた者全員に、髪の毛が逆立ったと錯覚させる勢いの覇気を発する。
南がブチャを弑するような鋭い眼光で睨みつけた瞬間、部屋に鈍い音が響き渡った。怒りの感情が顔表から飛び出し、白く鋭い牙が宿ったようなこぶしが、一線の閃光をひいたのだ。
パンチがモロに顔面に入った。だが、巨魁はびくともしない。硬く根の張った大木のように、ブチャはそこに聳えていた。
「あ……あああ」南の震える喉から、声が漏れた。
己のこぶしの向こうに、激高した鬼のような面のブチャがいる。殴られてなおまばたきもせず、南を睨みつけていた。表情の細部がますます恐ろしく変貌し、みるみるうちに白目が血走っていく。
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