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二年生の二学期
❄
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「待って」
南が上半身を起こす。無理して立ち上がって追いかけようとしたが、ハッとして思いとどまった。
「奈緒っ」
振り返った時に身を支えられず、頬から床に倒れた。もがくように急いで起き上がると、なんとかそばまで這いずってきて、「奈緒、奈緒?」と慎重に肩を揺する。
最初は呼びかけに反応しないこの子だったが、真空の肺が急に機能を開始したかのように、一瞬勢いよく鼻から空気が吸い込こむと、少し間をおいて泣き出した。
「うえっ、うえっ、うえ~ん」
「よかった……」
南は安心し脱力して、仰向けに倒れる。「ぐすり、ぐすり」と鼻をすする奈緒の右横で、しばらく天井を見ていた。
折を見て南が奈緒にちらりと視線を向ける。
「ごめん、奈緒。わたしのせいで。顔中、潰れたトマトみたいに鼻血でぐちゃぐちゃにさせちゃって」
「うえ~ん」
奈緒がまた泣き出す。南は、かける言葉が見つからない様子で、心配そうな顔で眉を寄せていると、この子が口を開いた。
「わたし、わたし、南ちゃんがしん ぱい で、しん ぱい で」
奈緒は、胸のポケットからハンカチを出して、鼻を押さえて続ける。
「よかった、南ちゃんが 無事で。でもいたい、いたぁい。ヘタレなのにぃ、わたしぃ」
ごぼごぼと喉に溢れる鼻血を飲み込む血まみれ少女が、あるものに気が付いて、ピタリと泣き止む。そして視線を頭の向こうにあるベランダとここを隔てた窓へと向ける。
「雪」
「本当だ。まだ十二月なのに。どおりで寒いはずだよ」
ガラスの割れた窓から、ちらちらと雪が舞い込む。
「じゅうにがつ、にじゅう に ち。もうすぐ“くり くるます”」
奈緒が顔に滲む悲惨な赤を歓喜に変えて、「南ちゃんが わたしのぷれぜんと」と笑った。
「ク リ ス マ ス――ね」南が優しく訂正を加える。
「うん、ク リ ス マ ス」
しばらくの間寝転がったまま、二人して舞い落ちてくる雪を見ていた。
南が上半身を起こす。無理して立ち上がって追いかけようとしたが、ハッとして思いとどまった。
「奈緒っ」
振り返った時に身を支えられず、頬から床に倒れた。もがくように急いで起き上がると、なんとかそばまで這いずってきて、「奈緒、奈緒?」と慎重に肩を揺する。
最初は呼びかけに反応しないこの子だったが、真空の肺が急に機能を開始したかのように、一瞬勢いよく鼻から空気が吸い込こむと、少し間をおいて泣き出した。
「うえっ、うえっ、うえ~ん」
「よかった……」
南は安心し脱力して、仰向けに倒れる。「ぐすり、ぐすり」と鼻をすする奈緒の右横で、しばらく天井を見ていた。
折を見て南が奈緒にちらりと視線を向ける。
「ごめん、奈緒。わたしのせいで。顔中、潰れたトマトみたいに鼻血でぐちゃぐちゃにさせちゃって」
「うえ~ん」
奈緒がまた泣き出す。南は、かける言葉が見つからない様子で、心配そうな顔で眉を寄せていると、この子が口を開いた。
「わたし、わたし、南ちゃんがしん ぱい で、しん ぱい で」
奈緒は、胸のポケットからハンカチを出して、鼻を押さえて続ける。
「よかった、南ちゃんが 無事で。でもいたい、いたぁい。ヘタレなのにぃ、わたしぃ」
ごぼごぼと喉に溢れる鼻血を飲み込む血まみれ少女が、あるものに気が付いて、ピタリと泣き止む。そして視線を頭の向こうにあるベランダとここを隔てた窓へと向ける。
「雪」
「本当だ。まだ十二月なのに。どおりで寒いはずだよ」
ガラスの割れた窓から、ちらちらと雪が舞い込む。
「じゅうにがつ、にじゅう に ち。もうすぐ“くり くるます”」
奈緒が顔に滲む悲惨な赤を歓喜に変えて、「南ちゃんが わたしのぷれぜんと」と笑った。
「ク リ ス マ ス――ね」南が優しく訂正を加える。
「うん、ク リ ス マ ス」
しばらくの間寝転がったまま、二人して舞い落ちてくる雪を見ていた。
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