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二年生の三学期
第二百四十三話 悟り
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時刻は夕方五時ちょっと過ぎ。春休みに入ったというのに、奈緒は戸越公園駅にやって来て、そのまま学校へと向かう商店街を歩いていた。
いつも通り十字路を右折して公園を通り抜け、高校の敷地に隣接する横断歩道を渡ると、そこに設置してあった一人掛けの木製ベンチに腰掛ける。奈緒は、そっとこめかみに指を添えて、しばらく目を閉じた。円を描いて揺れるその姿は、まるでうねる螺旋のラビリンスに迷い込んだようであった。
しばらくしてから時計を見て立ち上がったると、校門の前を通り過ぎて、そのまま踏切も渡ってゆく。そしてすぐに立ち止まった。目の前には赤茶色をしたタイルのマンションが建っている。
「とんとん、とんとん、ごめんください」
真っ白で可愛い羊のマスコットの描かれたフィルムが貼られたガラスの玄関ドアをたたいて、棒状の取っ手を引く。中に人の気配が感じられなかったためか、この子は少し不安げな顔をしながら、部屋を覗く。
中は、白とこげ茶色のジョイントマットが交互に敷き詰められた大スパンな空間で、上から見ると凸というか、首の長い正方形の瓶のような形をしている。奥の左側にドアが三つ、右側に二つあるだけのシンプルな造り。
そんな部屋を見渡しながら、奈緒はもう一度「ごめんください」と声をかけた。
「はーい」
そう答えて、右奥側のドアが開くと、茶色いショートヘアの女性が出てきた。目鼻立ちのはっきりとした沖縄顔のその人が、小走りに駆け寄ってくる。
「あらあらあら、成瀬さん? 今日は遠いところわざわざ来ていただいてごめんなさいね。確か、障がいがあるんですよね、ここまで大丈夫でしたか?」
「いいえ、大丈夫です。毎日、すぐ そこの 高校に 通っておりますので」おさな言葉で答えて、お辞儀を返す。
「あらそうなのね、まあ上がって。その椅子に座ってください」
「はい、 しつれい します」
奈緒は、出してもらったスリッパを履いて、部屋の真ん中に用意された椅子に座った。小学校用の机一つ挟んだ向かいに、出迎えてくれた女性が座る。
いつも通り十字路を右折して公園を通り抜け、高校の敷地に隣接する横断歩道を渡ると、そこに設置してあった一人掛けの木製ベンチに腰掛ける。奈緒は、そっとこめかみに指を添えて、しばらく目を閉じた。円を描いて揺れるその姿は、まるでうねる螺旋のラビリンスに迷い込んだようであった。
しばらくしてから時計を見て立ち上がったると、校門の前を通り過ぎて、そのまま踏切も渡ってゆく。そしてすぐに立ち止まった。目の前には赤茶色をしたタイルのマンションが建っている。
「とんとん、とんとん、ごめんください」
真っ白で可愛い羊のマスコットの描かれたフィルムが貼られたガラスの玄関ドアをたたいて、棒状の取っ手を引く。中に人の気配が感じられなかったためか、この子は少し不安げな顔をしながら、部屋を覗く。
中は、白とこげ茶色のジョイントマットが交互に敷き詰められた大スパンな空間で、上から見ると凸というか、首の長い正方形の瓶のような形をしている。奥の左側にドアが三つ、右側に二つあるだけのシンプルな造り。
そんな部屋を見渡しながら、奈緒はもう一度「ごめんください」と声をかけた。
「はーい」
そう答えて、右奥側のドアが開くと、茶色いショートヘアの女性が出てきた。目鼻立ちのはっきりとした沖縄顔のその人が、小走りに駆け寄ってくる。
「あらあらあら、成瀬さん? 今日は遠いところわざわざ来ていただいてごめんなさいね。確か、障がいがあるんですよね、ここまで大丈夫でしたか?」
「いいえ、大丈夫です。毎日、すぐ そこの 高校に 通っておりますので」おさな言葉で答えて、お辞儀を返す。
「あらそうなのね、まあ上がって。その椅子に座ってください」
「はい、 しつれい します」
奈緒は、出してもらったスリッパを履いて、部屋の真ん中に用意された椅子に座った。小学校用の机一つ挟んだ向かいに、出迎えてくれた女性が座る。
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