FRIENDS

緒方宗谷

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三年生の一学期

🌱

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 タイムカードに打刻した奈緒が、深々と頭を下げた。
「もう眠くて、ごめんなさい」
「まあ、半身不随で、元気な子供たちを相手にしないといけないのは、めっちゃ大変ですよね。ギャーギャー喚いて走り回っているんですから」
「楽しい。楽しいっていうと変だけど。お仕事と い う か、わたしも一緒になって 遊んでます。もしだめでしたら、寝ている間のお給料は、お返しします」
「ううん、ずっとはだめだけれど、慣れるまではしょうがないわよ。半分動かないんだから。脳みそだって大変でしょう? 半分しかないのに、子供たち元気いっぱいだから、フル回転しなきゃだもんね」
 小百合がフォローすると、千絵が隣で頷く。
「みんなも、おっきなお友達ができて、喜んでいるでしょうね」
 色白で美人で男気溢れる立ち姿の彼女が何かに気がつき、腰に手を据えて入り口のほうを見る。
「あ、車、来たみたいですよ」
 そう言って事務所から出ていったので、奈緒もそれに続いた。
 時計を見ると、十時四十分。ドアを開けると、黒いワゴンがとまっていて、男性社員の鳥森望と女性社員の新部真美が、アルバイトの木ノ内敦と一緒になって子供たちを降ろし始めていた。
「おはようございます、成瀬っせんせっ」一人の少年が、飛び跳ねるように叫ぶ。
 奈緒も、「おはようございます、秋人君」と飛び跳ねて手を振って、次々と降りてくる子供たちを玄関内へと誘導していく。
「先生、いつ帰るの?」
 秋人君にそう問われて、奈緒はぎょっとした。
「今来たばかりだから、まだ帰らないよ」
「ふーん。先生、髪切った?」
「ううん。まだ切ってない。来月行くよ」
 ちなみに、奈緒と秋人君が交わすこの会話は、一日中繰り返し続く。
 部屋の奥左側には、多目的トイレと普通のトイレが一つずつと、おむつ交換用の小部屋が一つあって、やってきた子供たちは、まずここでおトイレを済ませる。
 奈緒は辺りを見渡して、赤ちゃんサイズの男の子を抱きかかえると、多目的トイレに向かった。秋人君に呼ばれていたが、車いすに乗っていて歩けない彼を、片手で小部屋に連れて行くことは困難なので、「あとでね、あとでね」とあやしながら、健史郎君を多目的トイレに入れる。





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