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三年生の一学期
第二百六十五話 奈緒の活躍
第六種目:借り物競争
奈緒は、とってっとってと駆けて行き、封筒を手に取って中身を確認すると、赤組の席に向かって勢いよく振り向き、一心不乱に駆け出す。そして、そばまで迫ると、大きな声で叫んだ。
「粂川君どこ? どこですか? 愛する人だって。粂川君、どこですか?」
上のほうの席から、巨漢がぬっと立ち上がる。
「そういうことなら任せとけ」
ヒューヒューという声を立てて、興奮に沸く紅組男子たちに向かって手を振る彼の右手首を鷲掴みにして走り出した奈緒の後頭部に、ソリコミの丸坊主が劇画タッチの少女漫画みたいな目を向ける。
「実際、なんて書いてあったんだ?」
「愛する人」
奈緒が渡して見せた紙には、一文字『肉』、とだけ書いてある。粂川が、ヤジを飛ばす紅組の男子たちへ振り返って叫んだ。
「なんだよ、肉じゃんか。なんで俺なんだよ、分かるけど」
そのぼやきを聞いて、どっと爆笑の渦が巻き起こる。
「見たまんまじゃんか」とツッコミが飛び、いつしか「どんまい」という同情のこもった励ましに変わった。それは他のチームへも波及し、ケセラセラコールへと統一されていった。
「なんとかなるさっ、くっめ かわっ! なんとかなるさっ、くっめ かわっ!」と声を揃える全チーム。
「今夜はロースカツだ!!」奈緒がみんなに向かって手を振り、意気込みを語るように雄たけびを上げる。
「なんで、俺捕まえて、とんかつなんだよー、分かるけどー」粂川が嘆く。
一生懸命引っぱる奈緒に歩調を合わせてゆっくりと早歩きする彼が、「なんだよ、ちくしょー、もー」とぼやいて、首を落として死んだふりをした。笑いに包まれた二人がゴールしてみると、意外にも健闘していて、順位は十人中五位だった。
第八種目目が終わったところで、各チームの応援合戦が繰り広げられることになった。これは、各チーム十分間の持ち時間でオリジナルの応援合戦をするというもの。前後三秒の誤差おきに、三点減点される。
奈緒は、とってっとってと駆けて行き、封筒を手に取って中身を確認すると、赤組の席に向かって勢いよく振り向き、一心不乱に駆け出す。そして、そばまで迫ると、大きな声で叫んだ。
「粂川君どこ? どこですか? 愛する人だって。粂川君、どこですか?」
上のほうの席から、巨漢がぬっと立ち上がる。
「そういうことなら任せとけ」
ヒューヒューという声を立てて、興奮に沸く紅組男子たちに向かって手を振る彼の右手首を鷲掴みにして走り出した奈緒の後頭部に、ソリコミの丸坊主が劇画タッチの少女漫画みたいな目を向ける。
「実際、なんて書いてあったんだ?」
「愛する人」
奈緒が渡して見せた紙には、一文字『肉』、とだけ書いてある。粂川が、ヤジを飛ばす紅組の男子たちへ振り返って叫んだ。
「なんだよ、肉じゃんか。なんで俺なんだよ、分かるけど」
そのぼやきを聞いて、どっと爆笑の渦が巻き起こる。
「見たまんまじゃんか」とツッコミが飛び、いつしか「どんまい」という同情のこもった励ましに変わった。それは他のチームへも波及し、ケセラセラコールへと統一されていった。
「なんとかなるさっ、くっめ かわっ! なんとかなるさっ、くっめ かわっ!」と声を揃える全チーム。
「今夜はロースカツだ!!」奈緒がみんなに向かって手を振り、意気込みを語るように雄たけびを上げる。
「なんで、俺捕まえて、とんかつなんだよー、分かるけどー」粂川が嘆く。
一生懸命引っぱる奈緒に歩調を合わせてゆっくりと早歩きする彼が、「なんだよ、ちくしょー、もー」とぼやいて、首を落として死んだふりをした。笑いに包まれた二人がゴールしてみると、意外にも健闘していて、順位は十人中五位だった。
第八種目目が終わったところで、各チームの応援合戦が繰り広げられることになった。これは、各チーム十分間の持ち時間でオリジナルの応援合戦をするというもの。前後三秒の誤差おきに、三点減点される。
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