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出産
19ー3
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激しい縦揺れで腰が宙を舞い、上手く立っていられない。吹き飛ぶまわりの建物の瓦礫が我が家にぶち当たり、いつこの建物が倒壊してしまうかもわからない状況だ。
鳴りやまない爆弾の落下音。それに加えて、新たに遠くから近づいてくる投下音もある。連続する爆発音も、鳴り響くたびに大きくなっていく。これ以上ここに留まっているのは危険だ。
地響きに足をすくわれながら、私達が階段へと戻ろうとしたちょうどその時、頭上に響く幾つかの落下音が徐々に大きくなって室内にまで響く。外に響く叫び声も、弾ける炎の音も何も聞こえない。落下音だけが、脳みそに響いていた。
次の瞬間、目の前の景色が白い砂ぼこりにまみれたかと思ったと同時に、爆風と衝撃で目の前が真っ暗になった。
どの位の刻が過ぎたのだろうか。体が動かない。何事が起きたのか、初め私は分からなかった。耳鳴りが響いていて、意識が朦朧としている。
そうだ、爆撃だ。爆撃の直撃を受けたのだ。私は必死に妻とはるとの名を呼ぶが、自分の声すら聞こえない。爆音で鼓膜が破れたのだろうか。何とか瓦礫の中から這い出して、2人を探し始めた。
瓦礫をかき分けると、気を失った2人を発見した。妻ははるとを庇う様に抱いて埋もれていた。血まみれの2人を引きずり出して仰向けにすると、私は二人の頬を叩いて名前を呼んだ。
私達の寝室は火の海だ。幸い3人は瓦礫の下で爆風に焼かれることは無かったが、いつ廊下に延焼するか予断を許さない状況だった。
「お母さん!! お母さん!!」
意識を取り戻したはるとが叫ぶ。
耳鳴りが薄らいで、爆撃の激しさが再び世界の全てを覆った頃、既に高射砲は沈黙していた。何機かの戦闘機のプロペラ音が通り過ぎるのが聞こえるが、弾の発射音は全く聞こえない。
この町の制空権は、完全に連合国側に握られてしまった、と思わざるを得ない。この町ばかりではない。ドイツ北部を飛行することの出来るドイツ空軍の戦闘機は皆無ではないかと思える。もはや、ドイツ本土の制空権は、ドイツ空軍のものではのではないだろうか。
陸軍においても、アフリカや東欧各地の戦線は瓦解し、度重なる後退を余儀なくされているのではないだろうか。海軍においても、その存在はほぼ無いに等しいとしか思えない。海上ばかりか、世界中から恐れられた海底の覇者Uボートも、ほぼ無力化されてしまったのではないか。
そうでなければ、他の町やここがこうもたて続けて爆撃されるはずがない。
鳴りやまない爆弾の落下音。それに加えて、新たに遠くから近づいてくる投下音もある。連続する爆発音も、鳴り響くたびに大きくなっていく。これ以上ここに留まっているのは危険だ。
地響きに足をすくわれながら、私達が階段へと戻ろうとしたちょうどその時、頭上に響く幾つかの落下音が徐々に大きくなって室内にまで響く。外に響く叫び声も、弾ける炎の音も何も聞こえない。落下音だけが、脳みそに響いていた。
次の瞬間、目の前の景色が白い砂ぼこりにまみれたかと思ったと同時に、爆風と衝撃で目の前が真っ暗になった。
どの位の刻が過ぎたのだろうか。体が動かない。何事が起きたのか、初め私は分からなかった。耳鳴りが響いていて、意識が朦朧としている。
そうだ、爆撃だ。爆撃の直撃を受けたのだ。私は必死に妻とはるとの名を呼ぶが、自分の声すら聞こえない。爆音で鼓膜が破れたのだろうか。何とか瓦礫の中から這い出して、2人を探し始めた。
瓦礫をかき分けると、気を失った2人を発見した。妻ははるとを庇う様に抱いて埋もれていた。血まみれの2人を引きずり出して仰向けにすると、私は二人の頬を叩いて名前を呼んだ。
私達の寝室は火の海だ。幸い3人は瓦礫の下で爆風に焼かれることは無かったが、いつ廊下に延焼するか予断を許さない状況だった。
「お母さん!! お母さん!!」
意識を取り戻したはるとが叫ぶ。
耳鳴りが薄らいで、爆撃の激しさが再び世界の全てを覆った頃、既に高射砲は沈黙していた。何機かの戦闘機のプロペラ音が通り過ぎるのが聞こえるが、弾の発射音は全く聞こえない。
この町の制空権は、完全に連合国側に握られてしまった、と思わざるを得ない。この町ばかりではない。ドイツ北部を飛行することの出来るドイツ空軍の戦闘機は皆無ではないかと思える。もはや、ドイツ本土の制空権は、ドイツ空軍のものではのではないだろうか。
陸軍においても、アフリカや東欧各地の戦線は瓦解し、度重なる後退を余儀なくされているのではないだろうか。海軍においても、その存在はほぼ無いに等しいとしか思えない。海上ばかりか、世界中から恐れられた海底の覇者Uボートも、ほぼ無力化されてしまったのではないか。
そうでなければ、他の町やここがこうもたて続けて爆撃されるはずがない。
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