猫のモモタ

緒方宗谷

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山の上のお友達

腹八分、幸せ八分、欲張りすぎるとはち切れちゃうよ

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 山道を歩いているとき、モモタはおかしな生き物と出会いました。
 「あれあれ?不思議なのがいるよ、生き物かなぁ?」
 ヒモのように長細くて、大きなコブが3個あります。
 「ん?珍しいね、家猫が何の用だい?」
 「気分が悪いの?ペロペロしてあげようか?」
 モモタがそう言った時、木の上から泣き声が聞こえてきました。
 「そんな蛇助ける必要なんてないさ!コイツは私の卵を全部食べちゃたんだよ!」
 それを聞いて、モモタは怒りました。
 「何て事するの!?吐き出しなよ、1つくらい残してあげなくちゃ可哀想じゃないか」
 蛇はゲップをしました。
 「目の前にちょうど良くあったのさ。
  卵なんて、滅多に手に入らないご馳走だからね、ついつい全部食べてしまったよ」
 なんと、お腹の膨らみは、丸のみにした3つの卵だったのです。
 「何でもかんでも好き勝手にやっていたら、いけないんだよ。
  少しは相手の事も思いやらなきゃ。
  君も食べなきゃお腹が空いて大変だろうけど、2つ食べれば十分でしょう?鳥さんの幸せのために、1つ返そうよ」
 モモタなんかを相手にしようともしない蛇は、食後のお昼寝を始めました。
 「鳥さん、ごめんね」
 力になれず、申し訳なさそうにモモタが立ち去ろうとしたその時でした。
 「わぁっ!わっ!わっ!鷹だよ、鷹が来たよ」
 蛇が驚きの悲鳴を上げます。小鳥もモモタも藪に隠れました。
 「助けて!助けてよ!お腹が重くて動けないんだ!」
 「しょうがないでしょ、欲張って食べすぎたんだから」
 モモタが振り返って言うと、蛇は泣き出しました。
 「ヤバイよ、ヤバイよ~!もうすぐそばまでやってきたよ!見つかっちゃうよ~!!」
 モモタは可哀想になって、クマ笹の影から蛇の尻尾を噛って、藪に引き込みました。
 「ありがとう!本当にありがとう!!感謝してもしきれないよ」
 「お礼をしてくれるなら、卵を1つ吐き出してよ」
 なんとか這えるようになった蛇は、一目散に逃げていきました。
 鷹が去るのを待ってから、モモタは卵を咥えて木に登り、鳥の巣に入れてやりました。
 「誰かの幸せを盗むと、自分の幸せが盗まれるんだよ」
 モモタは、恐る恐る出てきた蛇に言いました。

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