275 / 514
我が道を行く黒丸の話
やせ我慢って餓死するの?
しおりを挟む
ブンブンブブーン、ブンブブーン♪黒くて丸くて可愛い蜂のりっちゃんが、1匹でお散歩していました。
たまたま通りかかったモモタの頭の上を過ぎていきます。
モモタがいる木々の向こうにあるけもの道から、声が聞こえてきました。見ると、前にモモタをバカにしたウジたちでした。
「お、黒丸の良い女がいるぞ、蜂にしておくなんてもったいないな、俺たちと一緒にハエ生をエンジョイしないかい?」
「ほら俺らと一緒にうんこを食べようぜ」
「あはははは、どうせ食べれっこないさ」
「それじゃあ、蜜蜂に蜜をもらって一緒に舐めようぜ。
おーい、養蜂園から蜜もらってきておくれよーい」
りっちゃんは見向きもしません。ウジは存在すらしない、といったふうに飛んで行きます。
ウジたちは、今度はモモタをからかい始めました。
「ほーらほら、弱虫猫、こっちに来て俺らと勝負しようぜーい」
「無理無理、あの猫、温室育ちの家猫だから、ウンチで泳げるほど強くないさ」
モモタは、いたたまれなくなって、その場を離れました。
ウジたちは、モモタの背中に向かって笑います。
「体が大きいからって大したことないな。猫は情けないよ。小さな僕らを怖がっちゃってさ」
しばらくしてお散歩を再開しモモタは、樹海の奥の方に咲き乱れるツツジの上を飛び回るリッちゃんを見つけました。
「りっちゃん、あんなに言われて大丈夫?
僕もいろいろ言われて、あの道通れなくなっちゃった」
リッちゃんは花びらに座って、蜜をなめながら言いました。
「赤ちゃん相手に情けないなぁ。
あなたは通れなくなったのかもしれないけれど、わたしは通らなくなったのよ。同じにしないで」
そう突き放されたモモタは、俯きました。それを見たリッちゃんは同情して言います。
「モーモだってそうなのよ、モーモは道の真ん中にビチビチうんこがあったら避けるでしょ?わざわざ踏みに行かないじゃない。
それなのに、そこにウジがいるからって、避けるのは負けたことになるのなんておかしいでしょう?
モーモは弱いから避けて歩いたんじゃないわ、わざわざ踏みたくもないビチビチうんこを我慢して踏まないといけないなんていわれはないのよ」
「でも、あんな風に言われたら、つらい気持ちになっちゃうよ」
「わたしたちは住んでいる世界が違うのよ。猫とウジならなおさらだわ。
わざわざ相手に合せて比べてもしょうがないでしょう?
モーモは猫なのに、ウジらしさで比べてどうするの?」
「でも、むこうが比べてくるんだ。それで僕は弱虫だって。
りっちゃんだってそう言われているでしょう?」
「ウジどもは分かっていないのよ、わたしも蜜が捕れるって。
わたしの見た目が毛の生えたハエみたいだからって、ハエと同じだと思っているのよ」
満開のツツジを飛び回って集めた蜜を大事そうに片しながら、リッちゃんは続けて言いました。
「ウジはビチビチうんこの中が天国だとでも思っているのかしら?
それとも誰もよりつかない所にいられるから、自分たちは特別だとでも思っているのかしら?
わたしたちは相手にしなくていいの。よけずに踏みに行けるのが強さじゃないわ。避けていけるのが力なのよ」
きれいで可愛いのに結構ヒドイこという蜂でした。
たまたま通りかかったモモタの頭の上を過ぎていきます。
モモタがいる木々の向こうにあるけもの道から、声が聞こえてきました。見ると、前にモモタをバカにしたウジたちでした。
「お、黒丸の良い女がいるぞ、蜂にしておくなんてもったいないな、俺たちと一緒にハエ生をエンジョイしないかい?」
「ほら俺らと一緒にうんこを食べようぜ」
「あはははは、どうせ食べれっこないさ」
「それじゃあ、蜜蜂に蜜をもらって一緒に舐めようぜ。
おーい、養蜂園から蜜もらってきておくれよーい」
りっちゃんは見向きもしません。ウジは存在すらしない、といったふうに飛んで行きます。
ウジたちは、今度はモモタをからかい始めました。
「ほーらほら、弱虫猫、こっちに来て俺らと勝負しようぜーい」
「無理無理、あの猫、温室育ちの家猫だから、ウンチで泳げるほど強くないさ」
モモタは、いたたまれなくなって、その場を離れました。
ウジたちは、モモタの背中に向かって笑います。
「体が大きいからって大したことないな。猫は情けないよ。小さな僕らを怖がっちゃってさ」
しばらくしてお散歩を再開しモモタは、樹海の奥の方に咲き乱れるツツジの上を飛び回るリッちゃんを見つけました。
「りっちゃん、あんなに言われて大丈夫?
僕もいろいろ言われて、あの道通れなくなっちゃった」
リッちゃんは花びらに座って、蜜をなめながら言いました。
「赤ちゃん相手に情けないなぁ。
あなたは通れなくなったのかもしれないけれど、わたしは通らなくなったのよ。同じにしないで」
そう突き放されたモモタは、俯きました。それを見たリッちゃんは同情して言います。
「モーモだってそうなのよ、モーモは道の真ん中にビチビチうんこがあったら避けるでしょ?わざわざ踏みに行かないじゃない。
それなのに、そこにウジがいるからって、避けるのは負けたことになるのなんておかしいでしょう?
モーモは弱いから避けて歩いたんじゃないわ、わざわざ踏みたくもないビチビチうんこを我慢して踏まないといけないなんていわれはないのよ」
「でも、あんな風に言われたら、つらい気持ちになっちゃうよ」
「わたしたちは住んでいる世界が違うのよ。猫とウジならなおさらだわ。
わざわざ相手に合せて比べてもしょうがないでしょう?
モーモは猫なのに、ウジらしさで比べてどうするの?」
「でも、むこうが比べてくるんだ。それで僕は弱虫だって。
りっちゃんだってそう言われているでしょう?」
「ウジどもは分かっていないのよ、わたしも蜜が捕れるって。
わたしの見た目が毛の生えたハエみたいだからって、ハエと同じだと思っているのよ」
満開のツツジを飛び回って集めた蜜を大事そうに片しながら、リッちゃんは続けて言いました。
「ウジはビチビチうんこの中が天国だとでも思っているのかしら?
それとも誰もよりつかない所にいられるから、自分たちは特別だとでも思っているのかしら?
わたしたちは相手にしなくていいの。よけずに踏みに行けるのが強さじゃないわ。避けていけるのが力なのよ」
きれいで可愛いのに結構ヒドイこという蜂でした。
0
あなたにおすすめの小説
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜
おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。
とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。
最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。
先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?
推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕!
※じれじれ?
※ヒーローは第2話から登場。
※5万字前後で完結予定。
※1日1話更新。
※noichigoさんに転載。
※ブザービートからはじまる恋
ぽんちゃん、しっぽ!
こいちろう
児童書・童話
タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
にゃんとワンダフルDAYS
月芝
児童書・童話
仲のいい友達と遊んだ帰り道。
小学五年生の音苗和香は気になるクラスの男子と急接近したもので、ドキドキ。
頬を赤らめながら家へと向かっていたら、不意に胸が苦しくなって……
ついにはめまいがして、クラクラへたり込んでしまう。
で、気づいたときには、なぜだかネコの姿になっていた!
「にゃんにゃこれーっ!」
パニックを起こす和香、なのに母や祖母は「あらまぁ」「おやおや」
この異常事態を平然と受け入れていた。
ヒロインの身に起きた奇天烈な現象。
明かさられる一族の秘密。
御所さまなる存在。
猫になったり、動物たちと交流したり、妖しいアレに絡まれたり。
ときにはピンチにも見舞われ、あわやな場面も!
でもそんな和香の前に颯爽とあらわれるヒーロー。
白いシェパード――ホワイトナイトさまも登場したりして。
ひょんなことから人とネコ、二つの世界を行ったり来たり。
和香の周囲では様々な騒動が巻き起こる。
メルヘンチックだけれども現実はそう甘くない!?
少女のちょっと不思議な冒険譚、ここに開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる