猫のモモタ

緒方宗谷

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寂しがりやなウサギの話

踏み出す一歩は万歩の力

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 ウサギは、はかない兎生だったなと、今までの毎日を振り返りながら思いました。
 生きていた意味あるのかな。
 毎日独りぼっちで過ごして、誰にもかまってもらえず、誰のことも構ってあげられず。
 やって来るのは、僕を食べようとするやつばかり。
 そんなの本当のお友達じゃない。僕を食べてお終いじゃないか。
 僕は間違っていたのかな?
 ずっと穴の中で1羽過ごしていればよかったのかな?
 冬は木が枯れて草も枯れて、死んだような世界になる。
 とても悲しい世界だけれど、冬眠できるから幸せだった。
 だって寝ていれば悲しくならないもん。
 穴の中は暖かいし、自分の温もりが土に伝わって、その土が生きているみたいな温もりになる。
 だから、1羽ぽっちじゃないって思えるんだもの。
 寝ていれば夢の中。たくさんのお友達と遊んでいた。
 目が覚めれば、1羽だって気がついて、とても悲しくなるけれど、目が覚めるまでは幸せでいられた。
 昔もっと小さかった頃に、出会ったウサギが言っていたっけ。
 「そんな寂しさ勘違いさ。
  だってウサギはいつも1羽で穴の中にいるものだから。
  1羽だって思えても、みんな1羽で穴の中にいる。
  それって実は1羽じゃないってことじゃない?
  だって一緒のことしているんだから」
 ウサギは、その考えに疑問を覚えて、お家を飛び出していました。
 そうして、カウボーイハウスに辿り着いたのです。
 樹海の中には、たくさんのウサギが住んでいるはずですが、ここに引っ越してきたこのウサギのお家の周りには誰も住んでいませんでした。
 なんせ、たくさんの猟犬が住んでいるし、老いたとはいえ日本狼の縄張りもあります。キツネやイタチも住んでいたからです。
 このウサギは、ウサギであるにもかかわらず、ウサギに興味はありません。
 だって、犬のように沢山で遊んでくれないからです。
 このウサギは、犬の日常に憧れていたのでした。
 ウサギは、キツネとイタチから逃げながら叫びました。
 「もういいよ。僕が間違っていたんだ。
  あのキツネの言う通り、食べられてしまえば全てが終わる。
  こんなつらい思いから逃げられるんだ」
 ウサギは、寂しくて寂しくて仕方がなくて、ワザと犬のいる家に行きました。
 どうなっても構わない、と柵の隙間から入って庭の真ん中にぴょこぴょこ、と入って行って居座りました。
 どうせ食べられてしまうのなら、ほんの一瞬だけでも群れ雰囲気を味わいたかったのです。
 突然やって来て、仰向けに寝るうさぎを見て、犬たちは呆気にとられるました。
 何がなんだか分からず、落ち着きなく行ったり来たりしています。
 そこに、カウボーイおじさんがログハウスから出てきて言いました。
 「なんだ、お前寂しいのか?」と抱っこしました。
 ご主人様のカウボーイおじさんが獲物と見ないお友達を、ビーグルたちも獲物とみなしません。
 ウサギは、初めて心から笑いました。
 とても暖かいものが、心からこみ上げてきます。
 それと同じものが、カウボーイおじさんから伝わってきました。
 ビーグルたちから、挨拶代わりに匂いを嗅がれたり、なめたりされて、全身もみくちゃ。
 とても暖かいものが、伝わってきます。
 「ビーグルたちに受け入れてもらえて、突然友達たくさん嬉しーなー」
 ウサギは大喜びで叫びました。
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