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たかをくくったメインクーン
誰かが誰かを誰かと決める
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お天気のいい午後でした。
閑静な住宅街の道路を、1匹のメインクーンという猫の男の子が、悠々と闊歩しています。
どこかのお家で大事に飼われている箱入り猫なので、お外をお散歩している姿を見せるのは、大変稀でした。
メインクーンを見た野良猫たちが、ひそひそと言いました。
「また出やがったよ、化け物猫」
「本当だ。アルフのやつ、もはや猫じゃねーだろ」
「赤ちゃんの頃いじめられていたらしいよ、お母さんに。
生まれた時から大きすぎて、お産が大変だったって」
みんなひどい噂話を繰り広げています。
そうとは知らないモモタが、風に乗って流れてきた、知らないお友達の香りを嗅いで、ちょこちょことやってきました。
メインクーンを見つけたモモタは、自分の三倍を超える大きさにびっくりです。
毛足が長くて超もふもふ。悠然と歩むその姿は、王様みたいでした。
モモタは、ご挨拶をしました。
「わっ、お友達見つけたぁ。おっきいね、こんにちは」
すると、不思議そうにモモタを見たメインクーンのアルフは、立ち止まって言いました。
「ん?こんにちは。初めて聞く声だ」
「当然だよ。初めてお話しするんだから」
そうモモタがそう答えると、アルフが言います。
「そうじゃないよ。僕の悪口を言っている声さ。
その声の中に君の声はなかったからね」
「言ってないもん。
本当にみんな悪口言うの?
どうして言うのかな?
だって大きくて立派じゃない。
力も強そうだし、足も早そうだし。
それに犬にも勝てそうじゃない」
「ありがとう、でもみんなはそう思わないのさ。
彼らは妬ましいんだ。僕がこんなに大きくて。
自分たちだってケンカに強くなったり、優雅な毛並みを手に入れたいって思っているけど、そうはなれないからね」
「努力すれば手に入るよ」
「限度があるさ。
普通の猫は、どんなに頑張ったって普通の猫なんだ。
みんなそれを知っているんだよ。いくら努力しても手に入らないって。
それなのに、僕は生まれつき体が大きいんだ。そういう猫だからね。
だから、何の努力もしていないのに、立派な体が大きくなれる僕が妬ましいんだ。
でもそれを認めたら、自分がみじめじゃない。
だから蔑むことで僕を貶めて、自分を慰めているんだ」
「僕も羨ましいって思うよ。
そうしたら、僕もひどいお友達と一緒だっていうの?」
「羨むと妬むは違うんだよ。
幸い、陰口言われるだけで済んでるけどね、この体格のおかげで」
アルフは、恵まれた体格で、恵まれたごはんを食べて過ごしているのに、とても悲しそうでした。
閑静な住宅街の道路を、1匹のメインクーンという猫の男の子が、悠々と闊歩しています。
どこかのお家で大事に飼われている箱入り猫なので、お外をお散歩している姿を見せるのは、大変稀でした。
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「また出やがったよ、化け物猫」
「本当だ。アルフのやつ、もはや猫じゃねーだろ」
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生まれた時から大きすぎて、お産が大変だったって」
みんなひどい噂話を繰り広げています。
そうとは知らないモモタが、風に乗って流れてきた、知らないお友達の香りを嗅いで、ちょこちょことやってきました。
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「わっ、お友達見つけたぁ。おっきいね、こんにちは」
すると、不思議そうにモモタを見たメインクーンのアルフは、立ち止まって言いました。
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「当然だよ。初めてお話しするんだから」
そうモモタがそう答えると、アルフが言います。
「そうじゃないよ。僕の悪口を言っている声さ。
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「言ってないもん。
本当にみんな悪口言うの?
どうして言うのかな?
だって大きくて立派じゃない。
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それに犬にも勝てそうじゃない」
「ありがとう、でもみんなはそう思わないのさ。
彼らは妬ましいんだ。僕がこんなに大きくて。
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「努力すれば手に入るよ」
「限度があるさ。
普通の猫は、どんなに頑張ったって普通の猫なんだ。
みんなそれを知っているんだよ。いくら努力しても手に入らないって。
それなのに、僕は生まれつき体が大きいんだ。そういう猫だからね。
だから、何の努力もしていないのに、立派な体が大きくなれる僕が妬ましいんだ。
でもそれを認めたら、自分がみじめじゃない。
だから蔑むことで僕を貶めて、自分を慰めているんだ」
「僕も羨ましいって思うよ。
そうしたら、僕もひどいお友達と一緒だっていうの?」
「羨むと妬むは違うんだよ。
幸い、陰口言われるだけで済んでるけどね、この体格のおかげで」
アルフは、恵まれた体格で、恵まれたごはんを食べて過ごしているのに、とても悲しそうでした。
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