495 / 514
モモタとママと虹の架け橋
第百二十八話 島の善意
しおりを挟む
モモタたちは、ようやく噴煙が上がる島の近くに戻ってきました。噴火した島は形を変えて、心なしか前よりも少し大きくなっています。立ち上る煙の量も何倍にも増えていて、巨大な入道雲の様相を呈していました。
島の様相は大きく変わっています。おびただしい量の火山灰が降り注ぎ、大地の力強さを物語っていたゴツゴツした岩石は、そのほとんどが火山灰に覆われて、重々しい砂地と化していました。
始めは一番近い無人島に向かったカンタンでしたが、降り注ぐ火山礫や小さな噴石の多さを羽で感じ、その島に下り立つのは危険だと察知して、もう少し離れたところにある人間たちが住む島に下りました。
モモタが、港の防波堤の先まで走っていきます。みんなはその後に続いていって、火山島を見ました。
「ここからじゃ、よく分からないね」モモタが呟きます。
カンタンがモモタの横に歩み出て言いました。
「さっき空から見た限りだと、まだだいぶ火の川がくすぶっていたよ。黒い地面のようで、すぐ下は燃え盛ってるんじゃないかな」
「それじゃあ、当分はいけないね」とチュウ太がため息をつきました。
「ほこらだけでも無事だといいんだけれど・・・」アゲハちゃんが心配して言います。
再びカンタンが話し始めました。
「今日はもう休もうよ。長い時間飛んできてくたくただもん。明日僕とキキでほこらを見てきてあげるよ」
もうすでに、ゆうやけこやけのゆうげ時です。それに気がついたキキが辺りを見渡しながら言いました。
「ごはんどうしよう。もう陽が沈み始める頃だよ。僕やカンタンでは夜目が利かないからおあずけになっちゃう」
「ああ、僕はキキたちのごはんをとることは出来ないから、モモタ頼みだね」とチュウ太がモモタを見上げました。
ですが、いくらモモタの目がよく利くからといって、大きなカンタンとキキのごはんを捕ってこられるほどの力はありません。捕ってきたとしても満腹には出来ないでしょう。
みんなはそう思いながらもたよりは彼だけだったので、モモタを見やります。
モモタは、ケロッとした様子で言いました。
「チュウ太とアゲハちゃんは大丈夫でしょう? キキとカンタンはお魚大好きだから、何とかできると思うんだ」
自分自身がそう言い終わるのを待たずに、モモタはきょろきょろとし始めます。そして、お母さんと噴火を見にきていた可愛い女の子を見つけて、「にゃあにゃあ」鳴きながらすり寄りました。
女の子が、喜びの声を上げて言いました。
「うわ、可愛い猫ちゃん。なんていうお名前?」
そうモモタに訊きながら、首輪を見て続けます。
「モモタっていうの? わたし亜紀ちゃんよ」
亜紀ちゃんは、モモタの様子を見てすぐに察しました。
「お腹が空いているんでしょう? お家においで、わたしのお家漁師だから、お魚たくさん余っているのよ――って、おっきな鳥いるー! ママー、おっきな鳥いるー!」
亜紀ちゃんは大興奮です。
カンタンの周りには大人たちが集まってきて、スマホで写真を撮り始めました。男の子たちは喜んで騒いでいます。
亜紀ちゃんは言いました。
「みんなモモタのお友達なんでしょう? お家においで、お魚はたくさんあるんだから。ねえママいいでしょう?」
亜紀ちゃんママはとても困った様子でしたが、亜紀ちゃんはママのスカートにしがみついて、おしりをフリフリ揺らしながらおねだりビーム。頑張って食い下がります。
「みんなあの噴火でごはんが食べれなくて大変なんだよ。助けてあげないと可哀想だよ」
亜紀ちゃんにそう言われて、亜紀ちゃんママがモモタたちに瞳を向けました。それと同時に、モモタたちは一斉に瞳をウルウルさせて、上目使い。ちょうどいい感じに首を斜めに傾けます。誰が見たってイチコロでしょう。もう可愛くって仕方がないはずです。
亜紀ちゃんママは、亜紀ちゃんとモモタたちの頑張りに根負けして、みんなを連れて帰ってあげることにしました。
「やったぁー」モモタたちは大喜び。
亜紀ちゃんのお家は漁師のお家でしたが、母屋の隣で小さな干物工場を営んでいます。ですから、冷凍庫にはたくさんのお魚がしまわれていました。それに、亜紀ちゃんのお家は、噴火した島とは反対側の海のそばにあって、漁船もそちら側の港にありましたから、漁が出来ないわけではないようです。
そのおかげで、カンタンみたいに大きなペリカンにも、心配せずにお魚をあげることが出来ました。
とても筋肉質で大雑把な感じでありながら優しそうな亜紀ちゃんのお父さんが言いました。
「おお、よく食う鳥だなペリカンは。どんどん食え、噴火のことは心配するな。ここら辺には黒潮が流れているから、灰や軽石はみんな北に流れてしまうんだ。だから、漁ができなくはなんねぇ」
カンタンは嬉しくなって、鳴き声を上げました。
亜紀ちゃんパパとカンタンがおしゃべりしているところに、近所の人たちが子供や孫を連れてやって来ます。カンタンがとても珍しいので、ごはんをあげたい、とやって来たのでした。
ペリカンは渡り鳥なのですが、日本では大変珍しい鳥です。日本に渡ってこないわけではありません。ですが渡ってくるのは稀でしたから、渡ってくるペリカンは迷鳥と言われていました。もちろん、この島に渡ってきたのは初めてでしょう。
たくさんのご近所さんがお魚を持ってきたので、みんな満腹です。チュウ太に対しても優しく接してくれました。集まってきた人たちは、チュウ太が土間にいることで怒ったりはしませんでした。そればかりか、ピーナッツを分けてくれました。
亜紀ちゃんじいじは、キキがお気に入り。鷹匠になったつもりなのでしょう。腕にバスタオルを巻いてキキを腕に乗せようとあの手この手を繰り出して苦戦していました。
キキは、空の王者です。何者にも従う気はありません。
ですが、そこが男のロマンを掻きたてるのでしょう。キキの悠然とした佇まいから発せられるその気概に、男の子たちは目を輝かせながら、羨望の眼差しを向けていました。
亜紀ちゃんばあばが、アゲハちゃんのために蜂蜜を出してあげていると、そこに女の子たちがやってきました。
「おばあちゃん、アゲハちょうちょにお花をあげていい?」
「あらあら、いいですよ。喜ぶからこっちにおいで。
この子は人になれているみたいで、わたしを怖がらないのよ。お花を手に持ったままでも、蜜を吸ってくれるんじゃないかしら」
女の子たちは「わぁ~」と歓喜して、畳の居間あがります。茶色く塗られた重厚で大きな食卓の角っこで輪になって、さっそくお花をアゲハちゃんにプレゼント。
アゲハちゃんはとっても喜んでお礼を言いながら、ひらひらと舞い踊りるように飛びながら行ったり来たり。色々な花のハニーフルコースを楽しみました。
モモタたちは、島田家(亜紀ちゃんのお家)のみんなとご近所さんたちによくされ過ぎて、お腹満腹満タンぱんです。みんな膨れたお腹が重すぎて動けません。その日はそのまま夜が更けていって、みんなは居間と土間で深い眠りにつきました。
島の様相は大きく変わっています。おびただしい量の火山灰が降り注ぎ、大地の力強さを物語っていたゴツゴツした岩石は、そのほとんどが火山灰に覆われて、重々しい砂地と化していました。
始めは一番近い無人島に向かったカンタンでしたが、降り注ぐ火山礫や小さな噴石の多さを羽で感じ、その島に下り立つのは危険だと察知して、もう少し離れたところにある人間たちが住む島に下りました。
モモタが、港の防波堤の先まで走っていきます。みんなはその後に続いていって、火山島を見ました。
「ここからじゃ、よく分からないね」モモタが呟きます。
カンタンがモモタの横に歩み出て言いました。
「さっき空から見た限りだと、まだだいぶ火の川がくすぶっていたよ。黒い地面のようで、すぐ下は燃え盛ってるんじゃないかな」
「それじゃあ、当分はいけないね」とチュウ太がため息をつきました。
「ほこらだけでも無事だといいんだけれど・・・」アゲハちゃんが心配して言います。
再びカンタンが話し始めました。
「今日はもう休もうよ。長い時間飛んできてくたくただもん。明日僕とキキでほこらを見てきてあげるよ」
もうすでに、ゆうやけこやけのゆうげ時です。それに気がついたキキが辺りを見渡しながら言いました。
「ごはんどうしよう。もう陽が沈み始める頃だよ。僕やカンタンでは夜目が利かないからおあずけになっちゃう」
「ああ、僕はキキたちのごはんをとることは出来ないから、モモタ頼みだね」とチュウ太がモモタを見上げました。
ですが、いくらモモタの目がよく利くからといって、大きなカンタンとキキのごはんを捕ってこられるほどの力はありません。捕ってきたとしても満腹には出来ないでしょう。
みんなはそう思いながらもたよりは彼だけだったので、モモタを見やります。
モモタは、ケロッとした様子で言いました。
「チュウ太とアゲハちゃんは大丈夫でしょう? キキとカンタンはお魚大好きだから、何とかできると思うんだ」
自分自身がそう言い終わるのを待たずに、モモタはきょろきょろとし始めます。そして、お母さんと噴火を見にきていた可愛い女の子を見つけて、「にゃあにゃあ」鳴きながらすり寄りました。
女の子が、喜びの声を上げて言いました。
「うわ、可愛い猫ちゃん。なんていうお名前?」
そうモモタに訊きながら、首輪を見て続けます。
「モモタっていうの? わたし亜紀ちゃんよ」
亜紀ちゃんは、モモタの様子を見てすぐに察しました。
「お腹が空いているんでしょう? お家においで、わたしのお家漁師だから、お魚たくさん余っているのよ――って、おっきな鳥いるー! ママー、おっきな鳥いるー!」
亜紀ちゃんは大興奮です。
カンタンの周りには大人たちが集まってきて、スマホで写真を撮り始めました。男の子たちは喜んで騒いでいます。
亜紀ちゃんは言いました。
「みんなモモタのお友達なんでしょう? お家においで、お魚はたくさんあるんだから。ねえママいいでしょう?」
亜紀ちゃんママはとても困った様子でしたが、亜紀ちゃんはママのスカートにしがみついて、おしりをフリフリ揺らしながらおねだりビーム。頑張って食い下がります。
「みんなあの噴火でごはんが食べれなくて大変なんだよ。助けてあげないと可哀想だよ」
亜紀ちゃんにそう言われて、亜紀ちゃんママがモモタたちに瞳を向けました。それと同時に、モモタたちは一斉に瞳をウルウルさせて、上目使い。ちょうどいい感じに首を斜めに傾けます。誰が見たってイチコロでしょう。もう可愛くって仕方がないはずです。
亜紀ちゃんママは、亜紀ちゃんとモモタたちの頑張りに根負けして、みんなを連れて帰ってあげることにしました。
「やったぁー」モモタたちは大喜び。
亜紀ちゃんのお家は漁師のお家でしたが、母屋の隣で小さな干物工場を営んでいます。ですから、冷凍庫にはたくさんのお魚がしまわれていました。それに、亜紀ちゃんのお家は、噴火した島とは反対側の海のそばにあって、漁船もそちら側の港にありましたから、漁が出来ないわけではないようです。
そのおかげで、カンタンみたいに大きなペリカンにも、心配せずにお魚をあげることが出来ました。
とても筋肉質で大雑把な感じでありながら優しそうな亜紀ちゃんのお父さんが言いました。
「おお、よく食う鳥だなペリカンは。どんどん食え、噴火のことは心配するな。ここら辺には黒潮が流れているから、灰や軽石はみんな北に流れてしまうんだ。だから、漁ができなくはなんねぇ」
カンタンは嬉しくなって、鳴き声を上げました。
亜紀ちゃんパパとカンタンがおしゃべりしているところに、近所の人たちが子供や孫を連れてやって来ます。カンタンがとても珍しいので、ごはんをあげたい、とやって来たのでした。
ペリカンは渡り鳥なのですが、日本では大変珍しい鳥です。日本に渡ってこないわけではありません。ですが渡ってくるのは稀でしたから、渡ってくるペリカンは迷鳥と言われていました。もちろん、この島に渡ってきたのは初めてでしょう。
たくさんのご近所さんがお魚を持ってきたので、みんな満腹です。チュウ太に対しても優しく接してくれました。集まってきた人たちは、チュウ太が土間にいることで怒ったりはしませんでした。そればかりか、ピーナッツを分けてくれました。
亜紀ちゃんじいじは、キキがお気に入り。鷹匠になったつもりなのでしょう。腕にバスタオルを巻いてキキを腕に乗せようとあの手この手を繰り出して苦戦していました。
キキは、空の王者です。何者にも従う気はありません。
ですが、そこが男のロマンを掻きたてるのでしょう。キキの悠然とした佇まいから発せられるその気概に、男の子たちは目を輝かせながら、羨望の眼差しを向けていました。
亜紀ちゃんばあばが、アゲハちゃんのために蜂蜜を出してあげていると、そこに女の子たちがやってきました。
「おばあちゃん、アゲハちょうちょにお花をあげていい?」
「あらあら、いいですよ。喜ぶからこっちにおいで。
この子は人になれているみたいで、わたしを怖がらないのよ。お花を手に持ったままでも、蜜を吸ってくれるんじゃないかしら」
女の子たちは「わぁ~」と歓喜して、畳の居間あがります。茶色く塗られた重厚で大きな食卓の角っこで輪になって、さっそくお花をアゲハちゃんにプレゼント。
アゲハちゃんはとっても喜んでお礼を言いながら、ひらひらと舞い踊りるように飛びながら行ったり来たり。色々な花のハニーフルコースを楽しみました。
モモタたちは、島田家(亜紀ちゃんのお家)のみんなとご近所さんたちによくされ過ぎて、お腹満腹満タンぱんです。みんな膨れたお腹が重すぎて動けません。その日はそのまま夜が更けていって、みんなは居間と土間で深い眠りにつきました。
0
あなたにおすすめの小説
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
ぽんちゃん、しっぽ!
こいちろう
児童書・童話
タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
にゃんとワンダフルDAYS
月芝
児童書・童話
仲のいい友達と遊んだ帰り道。
小学五年生の音苗和香は気になるクラスの男子と急接近したもので、ドキドキ。
頬を赤らめながら家へと向かっていたら、不意に胸が苦しくなって……
ついにはめまいがして、クラクラへたり込んでしまう。
で、気づいたときには、なぜだかネコの姿になっていた!
「にゃんにゃこれーっ!」
パニックを起こす和香、なのに母や祖母は「あらまぁ」「おやおや」
この異常事態を平然と受け入れていた。
ヒロインの身に起きた奇天烈な現象。
明かさられる一族の秘密。
御所さまなる存在。
猫になったり、動物たちと交流したり、妖しいアレに絡まれたり。
ときにはピンチにも見舞われ、あわやな場面も!
でもそんな和香の前に颯爽とあらわれるヒーロー。
白いシェパード――ホワイトナイトさまも登場したりして。
ひょんなことから人とネコ、二つの世界を行ったり来たり。
和香の周囲では様々な騒動が巻き起こる。
メルヘンチックだけれども現実はそう甘くない!?
少女のちょっと不思議な冒険譚、ここに開幕です。
笑いの授業
ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。
文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。
それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。
伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。
追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる