418 / 514
モモタとママと虹の架け橋
第五十一話 群れを成す者たちの恐ろしさ
しおりを挟む
キキは、雪の積もった枝の上でうつむき悩みました。思いついているのは、“もうこれからは山鳩を食べない。だから信じて”という言葉でしたが、キキには言えません。お腹が空けば、当然山鳩を食べることもあるでしょう。生きているのですから。
我慢しきれなくなったキキは、ついに泣き出してしまいました。
「猛禽だからって信じてくれないなんてひどいよ。今日まで何日も僕は山鳩を食べてこなかったのに。山鳩の女の子に指摘されてからずっと。どうしても信用してほしかったんだ。
見ていたんだから分かるでしょ? ここ数日何も食べてないよ。それなのに、僕は君たちを狩ろうとしないじゃないか」
知的そうな青年の声が聞こえてきました。
「それは、私たちが見えていないからでしょう。見つけ次第飛びかかってくるのではありませんか?」
「そんなことないよ」キキが言います。「君はそこの木の節穴にいるだろう? おんなじ木の5本上の枝に、おじさんがいるよ。そのおじさんが右を見れば、別の木の同じ高さの枝に女の子が三羽いるだろ? 似ているから、たぶん姉妹だ」
キキは自慢げに言いましたが、逆効果でした。山鳩たちは、みんな居場所がばれている、と震えあがります。言い当てられた三姉妹が泣きだしました。
慌てたキキが、「ごめん」と何度も謝ります。
知的山鳩が言いました。
「それじゃあ、その見た目はなんですか? 鋭利なくちばし犀利な爪は何なのですか? その太い足の力こぶは何なのですか? その力こぶ片方だけで、わたしたち何羽分もあるではありませんか」
「そんな・・・僕はオオタカだよ。生まれた時からこうなんだよ」
「そうでしょう。生まれた時から山鳩を食べるているのですからね。その力こぶは、イタチさえも押さえつける力があるでしょうね。そのための力こぶなんですから。その爪は、強く鷹掴みして肉を貫くためにあるのでしょう。痛めつけて傷つけて動けなくして逃がさないために。そのための爪なんですから。そしてそのくちばし、それは獲物を引き裂きついばむためにあるのでしょう。どんな硬い肉でも簡単に裂くために。そのためのくちばしなんですから」
「今はそのためになんて使わないよ」キキが反論します。
「でもいつかはそのために使うものです」
「生まれつきなんだから、仕方ないじゃないか」
「生まれつき? 仕方ない? そんなことないでしょう。生まれつきなのは鳥であるということだけです。それ以外はあなたが望み、なるべくしてなったのでしょう」
「じゃあどうしろって言うの?」キキが訊きます。
知的山鳩は答えませんでしたが、代わりにがらっぱちな声が聞こえてきました。
「くちばしを折れよ。爪を引っこ抜けよ。羽も全部抜いてしまえ。つつけなくなってつかめなくなって、飛べなくなったら信じてやるよ」
多くの山鳩たちが笑いました。
「そんなこと出来るわけないじゃないか」とキキが言いました。
「出来ないことないだろ。そのくちばしがあれば、爪なんて簡単にへし折れるだろうよ。逆にその爪があれば、くちばしを削り取れるだろうよ。お前には何でもできるんだぜ」
別の山鳩が「羽だって自分で抜けるじゃないか」と付け加えます。
「そうです」と知的山鳩が言いました。「タカに生まれたからといってタカで居続ける必要なないでしょう。今からでもウサギにはなれるでしょう。あなたが本当に信じてほしいと願うならば、持っているくちばしと爪をお捨てなさい」
「そうだそうだ」とヤジが飛びました。そのヤジを飛ばした一羽が、続けざまに言いました。
「他の猛禽と一緒にするな? 爪とくちばしの鋭さで判断するな? バカも休み休み言えよ。 自分で望んで持っているんだろ? 持っている以上信用されなくたって仕方ないじゃないか。それをなんだ? 信用しないこっちが悪いみたいに言いやがって」
知的山鳩が「これからのあなたがどうであれ、今までのあなたは多くの山鳩を食べてきました。そして多くの猛禽が僕たちを捕まえて食べてきました。僕たちを食べない猛禽がいない以上、あなたが信用されないのは身から出たサビなのです。そのくちばしと爪を羽放さない以上、信用されないのはあなた自身の仕業なのです。その責任はあなたにあるんですよ」
またヤジが飛びました。
「自分の責任なのにこちらのせいにするなんてひどいわ」と女の子たちが騒ぎ立てます。
山鳩だけでなく、他の鳥も騒ぎ出しました。その騒ぎを聞きつけたカラスがやってきて、キキを笑います。
弱っているとはいえ、キキは自分たちよりも強いオオタカですから、カラスたちは見ているだけです。それでもなお、勇気のあるカラスが自らの力を誇示しよう、と接近してきて、キキの頭上の枝に蹴りを入れます。
すると、落ちた雪の塊がキキに当って、キキは地面に落ちてしまいました。
鳥を捕まえて食べることもあるとはいえ、カラスはスズメの親戚です。それに猛禽ほど恐ろしい相手ではありません。ですから、あたかも普段から仲良くしていたかのような連帯感が、山鳩の内に芽生えました。
山鳩も調子に乗ってキキの上を飛び交い、枝を蹴りつけて雪を落としてきました。瞬く間にキキが雪に埋まっていきます。
何とか雪から這い出すキキに向かって、また新しい声が聞こえてきました。
「あなたのどこをどう見たら信用できるんだ? 僕たちを食べない食べないって言いながら、その鋭い爪を掲げ、くちばしを向けている。言っていることとやっていることが違うじゃないか」
攻撃されているのはキキの方です。四つに組には来ないとはいえ、自分より大きなカラスが飛び交っているのですから、くちばしや爪を向けるのは仕方ありません。その程度の行為ですら、ハトたちは恐怖の所業だと責め立てます。
「くちばし、つーめをけっずっれっ」と誰かが言いました。「けっずっれっ! けっずっれっ!」と誰かが叫ぶと、みんなが「けっずっれっ! けっずっれっ!」と唱和し出しました。そして、「けっずっれっ! けっずっれっ!」の大合唱が巻き起こります。
音頭を取っているのは、「カハハハハー」と笑って見ていたカラスの一羽でした。キキを心身ともに痛めつけて食べてしまおう、と画策しているに違いありません。ですが、誰もそんな風には思っていないようです。
大勢の鳥たちが数羽のカラスに煽り立てられて、得体のしれない大きな生き物のような姿を成しました。ついには、弱っているとはいえ、いまだ圧倒的な力を誇るキキの方が恐怖を覚えてしまうほどに膨張していきます。
キキの体に言葉は重くのしかかり、心に突き刺さります。内容のほとんどは罵声に変わっていました。ひどく罵られ続けるキキは、その言葉だけで命が尽きてしまうのでは、と思うほどのいたぶられようです。
(あのカラスさえいなければ――)キキは思いました。カラスを睨みつけて翼を広げようとします。
すると、突然カラスが叫びました。
「お、アイツやる気だぞ。見ろよみんな、やっぱりあいつ僕らを食う気でいるんだ」
みんなの恐怖が凍てつく空気を伝います。キキは、慌てて翼をたたみました。
キキが何をしても、大勢を変えることは出来ないようです。
我慢しきれなくなったキキは、ついに泣き出してしまいました。
「猛禽だからって信じてくれないなんてひどいよ。今日まで何日も僕は山鳩を食べてこなかったのに。山鳩の女の子に指摘されてからずっと。どうしても信用してほしかったんだ。
見ていたんだから分かるでしょ? ここ数日何も食べてないよ。それなのに、僕は君たちを狩ろうとしないじゃないか」
知的そうな青年の声が聞こえてきました。
「それは、私たちが見えていないからでしょう。見つけ次第飛びかかってくるのではありませんか?」
「そんなことないよ」キキが言います。「君はそこの木の節穴にいるだろう? おんなじ木の5本上の枝に、おじさんがいるよ。そのおじさんが右を見れば、別の木の同じ高さの枝に女の子が三羽いるだろ? 似ているから、たぶん姉妹だ」
キキは自慢げに言いましたが、逆効果でした。山鳩たちは、みんな居場所がばれている、と震えあがります。言い当てられた三姉妹が泣きだしました。
慌てたキキが、「ごめん」と何度も謝ります。
知的山鳩が言いました。
「それじゃあ、その見た目はなんですか? 鋭利なくちばし犀利な爪は何なのですか? その太い足の力こぶは何なのですか? その力こぶ片方だけで、わたしたち何羽分もあるではありませんか」
「そんな・・・僕はオオタカだよ。生まれた時からこうなんだよ」
「そうでしょう。生まれた時から山鳩を食べるているのですからね。その力こぶは、イタチさえも押さえつける力があるでしょうね。そのための力こぶなんですから。その爪は、強く鷹掴みして肉を貫くためにあるのでしょう。痛めつけて傷つけて動けなくして逃がさないために。そのための爪なんですから。そしてそのくちばし、それは獲物を引き裂きついばむためにあるのでしょう。どんな硬い肉でも簡単に裂くために。そのためのくちばしなんですから」
「今はそのためになんて使わないよ」キキが反論します。
「でもいつかはそのために使うものです」
「生まれつきなんだから、仕方ないじゃないか」
「生まれつき? 仕方ない? そんなことないでしょう。生まれつきなのは鳥であるということだけです。それ以外はあなたが望み、なるべくしてなったのでしょう」
「じゃあどうしろって言うの?」キキが訊きます。
知的山鳩は答えませんでしたが、代わりにがらっぱちな声が聞こえてきました。
「くちばしを折れよ。爪を引っこ抜けよ。羽も全部抜いてしまえ。つつけなくなってつかめなくなって、飛べなくなったら信じてやるよ」
多くの山鳩たちが笑いました。
「そんなこと出来るわけないじゃないか」とキキが言いました。
「出来ないことないだろ。そのくちばしがあれば、爪なんて簡単にへし折れるだろうよ。逆にその爪があれば、くちばしを削り取れるだろうよ。お前には何でもできるんだぜ」
別の山鳩が「羽だって自分で抜けるじゃないか」と付け加えます。
「そうです」と知的山鳩が言いました。「タカに生まれたからといってタカで居続ける必要なないでしょう。今からでもウサギにはなれるでしょう。あなたが本当に信じてほしいと願うならば、持っているくちばしと爪をお捨てなさい」
「そうだそうだ」とヤジが飛びました。そのヤジを飛ばした一羽が、続けざまに言いました。
「他の猛禽と一緒にするな? 爪とくちばしの鋭さで判断するな? バカも休み休み言えよ。 自分で望んで持っているんだろ? 持っている以上信用されなくたって仕方ないじゃないか。それをなんだ? 信用しないこっちが悪いみたいに言いやがって」
知的山鳩が「これからのあなたがどうであれ、今までのあなたは多くの山鳩を食べてきました。そして多くの猛禽が僕たちを捕まえて食べてきました。僕たちを食べない猛禽がいない以上、あなたが信用されないのは身から出たサビなのです。そのくちばしと爪を羽放さない以上、信用されないのはあなた自身の仕業なのです。その責任はあなたにあるんですよ」
またヤジが飛びました。
「自分の責任なのにこちらのせいにするなんてひどいわ」と女の子たちが騒ぎ立てます。
山鳩だけでなく、他の鳥も騒ぎ出しました。その騒ぎを聞きつけたカラスがやってきて、キキを笑います。
弱っているとはいえ、キキは自分たちよりも強いオオタカですから、カラスたちは見ているだけです。それでもなお、勇気のあるカラスが自らの力を誇示しよう、と接近してきて、キキの頭上の枝に蹴りを入れます。
すると、落ちた雪の塊がキキに当って、キキは地面に落ちてしまいました。
鳥を捕まえて食べることもあるとはいえ、カラスはスズメの親戚です。それに猛禽ほど恐ろしい相手ではありません。ですから、あたかも普段から仲良くしていたかのような連帯感が、山鳩の内に芽生えました。
山鳩も調子に乗ってキキの上を飛び交い、枝を蹴りつけて雪を落としてきました。瞬く間にキキが雪に埋まっていきます。
何とか雪から這い出すキキに向かって、また新しい声が聞こえてきました。
「あなたのどこをどう見たら信用できるんだ? 僕たちを食べない食べないって言いながら、その鋭い爪を掲げ、くちばしを向けている。言っていることとやっていることが違うじゃないか」
攻撃されているのはキキの方です。四つに組には来ないとはいえ、自分より大きなカラスが飛び交っているのですから、くちばしや爪を向けるのは仕方ありません。その程度の行為ですら、ハトたちは恐怖の所業だと責め立てます。
「くちばし、つーめをけっずっれっ」と誰かが言いました。「けっずっれっ! けっずっれっ!」と誰かが叫ぶと、みんなが「けっずっれっ! けっずっれっ!」と唱和し出しました。そして、「けっずっれっ! けっずっれっ!」の大合唱が巻き起こります。
音頭を取っているのは、「カハハハハー」と笑って見ていたカラスの一羽でした。キキを心身ともに痛めつけて食べてしまおう、と画策しているに違いありません。ですが、誰もそんな風には思っていないようです。
大勢の鳥たちが数羽のカラスに煽り立てられて、得体のしれない大きな生き物のような姿を成しました。ついには、弱っているとはいえ、いまだ圧倒的な力を誇るキキの方が恐怖を覚えてしまうほどに膨張していきます。
キキの体に言葉は重くのしかかり、心に突き刺さります。内容のほとんどは罵声に変わっていました。ひどく罵られ続けるキキは、その言葉だけで命が尽きてしまうのでは、と思うほどのいたぶられようです。
(あのカラスさえいなければ――)キキは思いました。カラスを睨みつけて翼を広げようとします。
すると、突然カラスが叫びました。
「お、アイツやる気だぞ。見ろよみんな、やっぱりあいつ僕らを食う気でいるんだ」
みんなの恐怖が凍てつく空気を伝います。キキは、慌てて翼をたたみました。
キキが何をしても、大勢を変えることは出来ないようです。
0
あなたにおすすめの小説
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜
おうぎまちこ(あきたこまち)
児童書・童話
お母さんを失くし、ひとりぼっちになってしまったワケアリ女子高生の百合(ゆり)。
とある事情で百合が一緒に住むことになったのは、学校で一番人気、百合の推しに似ているんだけど偉そうで怖いイケメン・瀬戸先輩だった。
最初は怖くて仕方がなかったけれど、「好きなものは好きでいて良い」って言って励ましてくれたり、困った時には優しいし、「俺から離れるなよ」って、いつも一緒にいてくれる先輩から段々目が離せなくなっていって……。
先輩、毎日バスケをするくせに「バスケが嫌い」だっていうのは、どうして――?
推しによく似た こわモテ不良イケメン御曹司×真面目なワケアリ貧乏女子高生との、大豪邸で繰り広げられる溺愛同居生活開幕!
※じれじれ?
※ヒーローは第2話から登場。
※5万字前後で完結予定。
※1日1話更新。
※noichigoさんに転載。
※ブザービートからはじまる恋
ぽんちゃん、しっぽ!
こいちろう
児童書・童話
タケルは一人、じいちゃんとばあちゃんの島に引っ越してきた。島の小学校は三年生のタケルと六年生の女子が二人だけ。昼休みなんか広い校庭にひとりぼっちだ。ひとりぼっちはやっぱりつまらない。サッカーをしたって、いつだってゴールだもん。こんなにゴールした小学生ってタケルだけだ。と思っていたら、みかん畑から飛び出してきた。たぬきだ!タケルのけったボールに向かっていちもくさん、あっという間にゴールだ!やった、相手ができたんだ。よし、これで面白くなるぞ・・・
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
美少女仮面とその愉快な仲間たち(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
未来からやってきた高校生の白鳥希望は、変身して美少女仮面エスポワールとなり、3人の子ども達と事件を解決していく。未来からきて現代感覚が分からない望みにいたずらっ子の3人組が絡んで、ややコミカルな一面をもった年齢指定のない作品です。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる