83 / 113
第八十三話 そう言えば、パチンコのパの字がとれた看板一回だけ見たことあるよ
しおりを挟む
「しかしエミリア、しばらく見ないうちにとても大人っぽくなったものだな。お母さんに似てきたぞ」アルフレッドは、感慨深そうな眼差しで言った。
「お母さんとの約束、ちゃんと果たそうね」
実はエミリアは、小学生の頃家族旅行で温泉に行ったことがあった。アルフレッドと母ソフィアと共に三人一緒に部屋に併設されていた露天風呂に入った時、約束したのだ。結婚前日の夜、育ててくれたお礼をするその時に、家族三人でお風呂に入ろうね、と。
「亡くなったママも一緒よ」とエミリアがうるうるしながら言う。
「そんなことがあったんだ……」
ローゼはちょっとしんみりした。
「しかしあれだな」とパークが口を挟む。
「エミリアの胸は遺伝だな。子供だからじゃないぜ」
今それ言わなくてもいんじゃね? 確かにエミリアのお母様、湯船からのぞく胸元全然谷間ないけれども。
「遺伝がすべてではありませんよ(怒)」とエミリア。
ローゼは相槌を打つ。怒った口調でエミリアと共に言った。
「そうよ、今のは女の子に対して失礼よ」
「わたしは大きくなりますよ。今だって夜な夜なローゼさんのを鷲掴みにしてこね回してむしりとるとこ想像して、練習しているんですから」
わたしが寝てる間に何しとるんじゃ‼
エミリアの話を聞いて「努力しているのだな」と感心したアルフレッドが提案する。
「そんな苦労しなくても、私がシュタッとしてやれば一瞬だぞ」と、横一文字に空手チョップで空を切る。落ちていたドラゴンキラーが一瞬にして真っ二つ。
胸を庇ってオロオロしだす汗顔ローゼに、アルフレッドが言った。
「大丈夫だ。一瞬だから血も出ないし痛みも感じないだろう」アルフレッドはそう言って、「………初めだけはな」と小声でポツリとつぶやいだ。
「初めだけってなんですか⁉」
「やや間があって、血しぶき凄いぞ。痛みも尋常じゃないだろうな。舞台や漫画では、血はそんなに出ないが、実際は噴水みたいに溢れ出る」
最悪。そんな説明しなくていいよ。
「まあ良い――」突如として構えたパークが叫ぶ。「エミリア勝負だ!」
何で突然そうなるの? てかわたしの胸はどうでもいいってことですか?
「そうゆーことだ」
さらりと言うなよ。
パークがニヤリ。
「どっちにしろ俺は勝負する気でいたんだ。同じ格闘家として白黒はっきりつけなきゃならねぇからな。
それにゴーレム戦争を終結させた英雄である手前、お前のやること(人間の盾計画)を見逃すわけにはいかん」
でも誰も知んねーよ。ローゼ続けて、
「戦争自体が史実に残されていませんからね」たぶん絶対うんこのせい。
「ばか、当時うんこは関係ねーぜ」
「そうなの?」
漏らす前年だ。
そう言うと、凄まじい炎に包まれた古代樹の森の中を城型ゴーレムとレンガゴーレムが闊歩する回想に強制没入。壮絶なる戦いが始まった。――――始まるかに思えた。
きゅるるるるるる~
え? どうしたの? めっちゃ早送り。画面が黒くなって砂嵐。
パークは「――てなわけだ」と自慢げに言う。
ごめん、なんにも見えてないよ。照れるパークが格好悪い。
パークは、いつになく神妙な面持ちで言った。
「ジェイスター卿、いくらあなたが英雄だからと言っても、ご令嬢のことは見逃せません」
ローゼが割って入る。
「ジェイスター卿は殺人犯ですぜ」
「え?」とパークがそっぽを見る。「誰か呼んだ?」
誰も呼んでねーだろ。ローゼが続ける。
「それに、この人たち拉致って人間の盾にしようとしてたのジェイスター卿よ」
「あ、僕汁だく紅ショウガ山盛りの方」
誰と話してんだよ。店員ここまでやって来ていないから。
ローゼ負けずに「だから、ジェイスター卿は―――」
言わせてくれずに戦闘開始。
はたと気がついたローゼ、「そうだ」とつぶやく。パークは、曲がりなりにも軍人時代はファイターとして名をはせたはず。
「頑張れパーク。エミリアの胸コンプレックスを吹き飛ばせ」とローゼは、エミリア抹殺の希望を込めて応援した。
飛び蹴りをするパークの股間めがけて、「せいやー‼」とエミリアの正拳突きがさく裂した。
ガキーン‼‼
「ぐがぁ‼」
パーク撃沈。エミリアは満面の笑顔で振り返って、アルフレッドに言った。
「やったぁ! やりましたよ、パパ! ついに金的らしい音を響かせましたよ」
“金的らしい”って、ガキーン‼ ておかしいだろ。確かに“キーン”は“金”だけれども……。いや、てかドラゴンやゴーレム百体倒したパーク一撃ってどんな右ストレートよ? つーか、ドラゴン元々死んでたんじゃね? ゴーレム百体倒したって嘘っぱちだろ? パークの実力、エミリアたった一人相手にガチンコで一発KOってどんだけよ。
「ううううう、さすがローゼ」と悶える汗顔のパーク、汗が瞬く間に全身に広がる中、無理して笑う。「お前もこれから、ちんこれでぃ……ガクッ」
パークが力尽きた。その死に顔は、人生に後悔など微塵ない鷹揚な笑顔を湛えていた。
「何言って終わったの? いいの? 最後の言葉それでいいの?」取り乱したローゼの声だけが木霊する。
だんまり決め込む。パパと娘。
娘の成長に感動したパパが言う。
「ついに極めたか、チンパンチン!」
「はいっ」爽やかに返事をするエミリア。汗が光る。青春だね。
ローゼはドン引き。アルフレッドに言った。
「何その恥ずかしいの、空手の必殺技?」
「いや、今思いついた」
てきとー過ぎ‼
「わっはっはっはっ」(父)
「あっはっはっはっ」(娘)
すんだそら/へんたい/おやこの/わらいごえ お粗末。
「お母さんとの約束、ちゃんと果たそうね」
実はエミリアは、小学生の頃家族旅行で温泉に行ったことがあった。アルフレッドと母ソフィアと共に三人一緒に部屋に併設されていた露天風呂に入った時、約束したのだ。結婚前日の夜、育ててくれたお礼をするその時に、家族三人でお風呂に入ろうね、と。
「亡くなったママも一緒よ」とエミリアがうるうるしながら言う。
「そんなことがあったんだ……」
ローゼはちょっとしんみりした。
「しかしあれだな」とパークが口を挟む。
「エミリアの胸は遺伝だな。子供だからじゃないぜ」
今それ言わなくてもいんじゃね? 確かにエミリアのお母様、湯船からのぞく胸元全然谷間ないけれども。
「遺伝がすべてではありませんよ(怒)」とエミリア。
ローゼは相槌を打つ。怒った口調でエミリアと共に言った。
「そうよ、今のは女の子に対して失礼よ」
「わたしは大きくなりますよ。今だって夜な夜なローゼさんのを鷲掴みにしてこね回してむしりとるとこ想像して、練習しているんですから」
わたしが寝てる間に何しとるんじゃ‼
エミリアの話を聞いて「努力しているのだな」と感心したアルフレッドが提案する。
「そんな苦労しなくても、私がシュタッとしてやれば一瞬だぞ」と、横一文字に空手チョップで空を切る。落ちていたドラゴンキラーが一瞬にして真っ二つ。
胸を庇ってオロオロしだす汗顔ローゼに、アルフレッドが言った。
「大丈夫だ。一瞬だから血も出ないし痛みも感じないだろう」アルフレッドはそう言って、「………初めだけはな」と小声でポツリとつぶやいだ。
「初めだけってなんですか⁉」
「やや間があって、血しぶき凄いぞ。痛みも尋常じゃないだろうな。舞台や漫画では、血はそんなに出ないが、実際は噴水みたいに溢れ出る」
最悪。そんな説明しなくていいよ。
「まあ良い――」突如として構えたパークが叫ぶ。「エミリア勝負だ!」
何で突然そうなるの? てかわたしの胸はどうでもいいってことですか?
「そうゆーことだ」
さらりと言うなよ。
パークがニヤリ。
「どっちにしろ俺は勝負する気でいたんだ。同じ格闘家として白黒はっきりつけなきゃならねぇからな。
それにゴーレム戦争を終結させた英雄である手前、お前のやること(人間の盾計画)を見逃すわけにはいかん」
でも誰も知んねーよ。ローゼ続けて、
「戦争自体が史実に残されていませんからね」たぶん絶対うんこのせい。
「ばか、当時うんこは関係ねーぜ」
「そうなの?」
漏らす前年だ。
そう言うと、凄まじい炎に包まれた古代樹の森の中を城型ゴーレムとレンガゴーレムが闊歩する回想に強制没入。壮絶なる戦いが始まった。――――始まるかに思えた。
きゅるるるるるる~
え? どうしたの? めっちゃ早送り。画面が黒くなって砂嵐。
パークは「――てなわけだ」と自慢げに言う。
ごめん、なんにも見えてないよ。照れるパークが格好悪い。
パークは、いつになく神妙な面持ちで言った。
「ジェイスター卿、いくらあなたが英雄だからと言っても、ご令嬢のことは見逃せません」
ローゼが割って入る。
「ジェイスター卿は殺人犯ですぜ」
「え?」とパークがそっぽを見る。「誰か呼んだ?」
誰も呼んでねーだろ。ローゼが続ける。
「それに、この人たち拉致って人間の盾にしようとしてたのジェイスター卿よ」
「あ、僕汁だく紅ショウガ山盛りの方」
誰と話してんだよ。店員ここまでやって来ていないから。
ローゼ負けずに「だから、ジェイスター卿は―――」
言わせてくれずに戦闘開始。
はたと気がついたローゼ、「そうだ」とつぶやく。パークは、曲がりなりにも軍人時代はファイターとして名をはせたはず。
「頑張れパーク。エミリアの胸コンプレックスを吹き飛ばせ」とローゼは、エミリア抹殺の希望を込めて応援した。
飛び蹴りをするパークの股間めがけて、「せいやー‼」とエミリアの正拳突きがさく裂した。
ガキーン‼‼
「ぐがぁ‼」
パーク撃沈。エミリアは満面の笑顔で振り返って、アルフレッドに言った。
「やったぁ! やりましたよ、パパ! ついに金的らしい音を響かせましたよ」
“金的らしい”って、ガキーン‼ ておかしいだろ。確かに“キーン”は“金”だけれども……。いや、てかドラゴンやゴーレム百体倒したパーク一撃ってどんな右ストレートよ? つーか、ドラゴン元々死んでたんじゃね? ゴーレム百体倒したって嘘っぱちだろ? パークの実力、エミリアたった一人相手にガチンコで一発KOってどんだけよ。
「ううううう、さすがローゼ」と悶える汗顔のパーク、汗が瞬く間に全身に広がる中、無理して笑う。「お前もこれから、ちんこれでぃ……ガクッ」
パークが力尽きた。その死に顔は、人生に後悔など微塵ない鷹揚な笑顔を湛えていた。
「何言って終わったの? いいの? 最後の言葉それでいいの?」取り乱したローゼの声だけが木霊する。
だんまり決め込む。パパと娘。
娘の成長に感動したパパが言う。
「ついに極めたか、チンパンチン!」
「はいっ」爽やかに返事をするエミリア。汗が光る。青春だね。
ローゼはドン引き。アルフレッドに言った。
「何その恥ずかしいの、空手の必殺技?」
「いや、今思いついた」
てきとー過ぎ‼
「わっはっはっはっ」(父)
「あっはっはっはっ」(娘)
すんだそら/へんたい/おやこの/わらいごえ お粗末。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる