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第百六話 努力と結果と実力と
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ローゼ、ルイスと一騎打ち。
「まず臭いからその鎧脱いでよ」とローゼが頼んだ。
「ふっ、望むところだ」
だろーな。
ルイス、部下に手伝わせて鎧を脱いでいく。
「そーとだぞ、そーと。気をつけろよ。うんこつけるなよ」
その間しばし小休憩。
「待たせたな」ルイスは勇ましくローゼの前に屹立する。
「待ってないけどね」外に出してもらった椅子に座って、ミントティを飲みながらローゼが言った。
しいて言えば、トラブルがあって遠くのお星さまになることを期待して待っていました。
フォムターグ(切先を天に向ける)に構えたルイスは、すごい覇気を発してオーバルハウ。振り切っても剣を止めずに一回転させて、そのままオーバルハウを繰り返す。すっごい高さからポイント(切っ先)が落ちてくるから、すっげー怖い。威力も半端ないだろう。
ブレードが回転して戻ってくるまでの時間を使って懐目掛けてステップするローゼであるが、レイピアで心臓を貫くチャンスを見い出せない。
「これなら――」と、ローゼが右にパスステップして左肩を斬りつけようとすると、右に流したエストックをすかさず戻してレイピアをリポスト、そのままローゼの側面にステップして斜めに斬り下ろす蛇行斬り。
ローゼは、蛇行斬りが軌道に乗る前に深く踏み込み、心臓目掛けてレイピアを構える。
刺突を察してか、ルイスは振り上げるエストックをオクスに構えて迎え撃つ。
お互いが同時に刺突を繰り出しながら、襲いくる相手の切っ先から頭を反らして寸でで避ける。制止する二本の刃、一瞬の間も置かずに横一文字に手首をスナップ。二人はそれをくぐって迎撃を試みた。
ルイスは、戻すエストックでオーバルハウを放つと見せかけてフェイント。手首をまわしてシェルハウをみまう。受け流そうとするローゼのレイピアに、ルイスは強くバインド……
――しようとしたのだが、エストックが重くて手首が折れて剣身が下がる。結果ローゼの強いバインドを空かしてしまった。
ルイスの強いバインドを受けて、エストックをレイピアのリカッソまで誘導して突きをしよう…と準備に入っていたローゼは、急につっかえ棒がなくなって前によろける。
その隙をつかれて一気に間合いを詰められて、焦って慌ててバックステップで斬り上げをかわすローゼに追い打ちをかけて、三連続シェルハウ。そこから左フォムターグに構えなおそうとするルイス「ぐぎゃっ」と叫ぶ。
なんだ? と思ってローゼが見やると、三連続目を振り切った剣で後ろにあった左足を斬りつけたらしい。(学ばないやつ)
「大丈夫ですか?」とローゼ、愛想で訊く。
「よくもやってくれたな」
自分でしたんだろ?
仕切り直して立ち上がるルイス、今度はそのまま左シェルハウから突きを放って右オクスに構えた。右上から左下に向かって切り下げようとするローゼを迎え撃って、ツベルクハウ(逆時計回りに刃を旋回)を撃ち放つ。
ローゼにとって間合いはまだ遠い。懐に飛び込んでポイント(切っ先)をルイスに届かせた時には、ルイスの斬撃で頭上半分が斬り飛んでいるだろう(エストックに刃がないので、実際は頭蓋骨陥没)。そう察したローゼがレイピアを引いて身構えるが、タイミングをずらされた。「しまった」と唸るローゼが覚悟するが、「あぎゃ」と叫ぶルイス、頭を押さえて思わずよろける。
今度は何だ?
なんか、プロペラのように回転させたブレードで脳天を削いだらしい。めっちゃ血出てるよ。よく見ると、さっきぶつけた左のつま先からも血が出ている様子。
「少佐、またですか?」と兵士が駆け寄ってくる。
心配した部下をズバッと斬り捨て――ようとして、ルイスが言った。
「“また”とはなんだ。何事でもない」
いや、めっちゃ血出てますけどね。
“斬り捨て――ようとして”と書いたのにはわけがある。斬ろうとしたのだけれど、近すぎてポメルが兵士のヘルムに当って斬り捨てられなかったのだ。まあ、刃がないから殴打と言った方が正しいんだけれどね。
ばかやってばっかりだけれど、持っているのは剣身がとても長い二百センチ前後のエストック。だからフーレン(ブレードを合わせた時の感覚)がめっちゃ重い。こんな接触感覚がある打撃(刃がないから斬撃ではない)をまともに受けていたら、レイピアがもたない。リーチも長いから、ローゼは決定的な一撃を撃ち放てずにいた。
ローゼは気がついていないが、周りの戦闘はほぼ終結。一部戦い足りない者が、寸止めで試合をしている程度。敵同士なのに敵意0。そもそも戦う気などなかった兵士(とマフィア)。どうせ、ルイスのオウンアタックで負けるの必至。みんな知ってる。
「ローゼさん、意外に苦戦していますね」と、エミリアがアンドレイのそばに歩み寄って言う。「それにしても長い……ポールウェポンみたい」
「ああ、あれはサイコラークの剣で、本来は騎乗で使う剣だ。霊力使えないやつが使うとほぼポールウェポンだぜ。なんせ刃がないからな」
サイコエネルギーを乗せて攻撃するためだけに開発された剣。高度なサイキックで霊力を大量に消費しなくても、振るうだけでそこそこの複数攻撃ができる。ローゼの母国ミッドエルにもツヴァイヘンダーという両手剣があるが、それよりも長くてスピアのようだ。
付け加えて言うと、ルイスは霊力を扱えないから、高価なエストックもただの棒。
ちなみにオントワーンが持っているツーハンドソードは、ツヴァイヘンダーの汎用版。霊力を乗せるためのロングソードとして開発されたツヴァイヘンダーのレンジの特性を、霊力が扱えないものが“これは使える”と目をつけて作られた。
普段、剣術試合でも戦争でもあまり見ないレイピアVSエストック。稀に見る珍……じゃなくてレアバトル。
「ちん戦とか、ちん闘って言えよ、緒方使えねーな」パークがぼやける(ぼやく)。
敢えて言わねーんだよ、バカ野郎。
「まず臭いからその鎧脱いでよ」とローゼが頼んだ。
「ふっ、望むところだ」
だろーな。
ルイス、部下に手伝わせて鎧を脱いでいく。
「そーとだぞ、そーと。気をつけろよ。うんこつけるなよ」
その間しばし小休憩。
「待たせたな」ルイスは勇ましくローゼの前に屹立する。
「待ってないけどね」外に出してもらった椅子に座って、ミントティを飲みながらローゼが言った。
しいて言えば、トラブルがあって遠くのお星さまになることを期待して待っていました。
フォムターグ(切先を天に向ける)に構えたルイスは、すごい覇気を発してオーバルハウ。振り切っても剣を止めずに一回転させて、そのままオーバルハウを繰り返す。すっごい高さからポイント(切っ先)が落ちてくるから、すっげー怖い。威力も半端ないだろう。
ブレードが回転して戻ってくるまでの時間を使って懐目掛けてステップするローゼであるが、レイピアで心臓を貫くチャンスを見い出せない。
「これなら――」と、ローゼが右にパスステップして左肩を斬りつけようとすると、右に流したエストックをすかさず戻してレイピアをリポスト、そのままローゼの側面にステップして斜めに斬り下ろす蛇行斬り。
ローゼは、蛇行斬りが軌道に乗る前に深く踏み込み、心臓目掛けてレイピアを構える。
刺突を察してか、ルイスは振り上げるエストックをオクスに構えて迎え撃つ。
お互いが同時に刺突を繰り出しながら、襲いくる相手の切っ先から頭を反らして寸でで避ける。制止する二本の刃、一瞬の間も置かずに横一文字に手首をスナップ。二人はそれをくぐって迎撃を試みた。
ルイスは、戻すエストックでオーバルハウを放つと見せかけてフェイント。手首をまわしてシェルハウをみまう。受け流そうとするローゼのレイピアに、ルイスは強くバインド……
――しようとしたのだが、エストックが重くて手首が折れて剣身が下がる。結果ローゼの強いバインドを空かしてしまった。
ルイスの強いバインドを受けて、エストックをレイピアのリカッソまで誘導して突きをしよう…と準備に入っていたローゼは、急につっかえ棒がなくなって前によろける。
その隙をつかれて一気に間合いを詰められて、焦って慌ててバックステップで斬り上げをかわすローゼに追い打ちをかけて、三連続シェルハウ。そこから左フォムターグに構えなおそうとするルイス「ぐぎゃっ」と叫ぶ。
なんだ? と思ってローゼが見やると、三連続目を振り切った剣で後ろにあった左足を斬りつけたらしい。(学ばないやつ)
「大丈夫ですか?」とローゼ、愛想で訊く。
「よくもやってくれたな」
自分でしたんだろ?
仕切り直して立ち上がるルイス、今度はそのまま左シェルハウから突きを放って右オクスに構えた。右上から左下に向かって切り下げようとするローゼを迎え撃って、ツベルクハウ(逆時計回りに刃を旋回)を撃ち放つ。
ローゼにとって間合いはまだ遠い。懐に飛び込んでポイント(切っ先)をルイスに届かせた時には、ルイスの斬撃で頭上半分が斬り飛んでいるだろう(エストックに刃がないので、実際は頭蓋骨陥没)。そう察したローゼがレイピアを引いて身構えるが、タイミングをずらされた。「しまった」と唸るローゼが覚悟するが、「あぎゃ」と叫ぶルイス、頭を押さえて思わずよろける。
今度は何だ?
なんか、プロペラのように回転させたブレードで脳天を削いだらしい。めっちゃ血出てるよ。よく見ると、さっきぶつけた左のつま先からも血が出ている様子。
「少佐、またですか?」と兵士が駆け寄ってくる。
心配した部下をズバッと斬り捨て――ようとして、ルイスが言った。
「“また”とはなんだ。何事でもない」
いや、めっちゃ血出てますけどね。
“斬り捨て――ようとして”と書いたのにはわけがある。斬ろうとしたのだけれど、近すぎてポメルが兵士のヘルムに当って斬り捨てられなかったのだ。まあ、刃がないから殴打と言った方が正しいんだけれどね。
ばかやってばっかりだけれど、持っているのは剣身がとても長い二百センチ前後のエストック。だからフーレン(ブレードを合わせた時の感覚)がめっちゃ重い。こんな接触感覚がある打撃(刃がないから斬撃ではない)をまともに受けていたら、レイピアがもたない。リーチも長いから、ローゼは決定的な一撃を撃ち放てずにいた。
ローゼは気がついていないが、周りの戦闘はほぼ終結。一部戦い足りない者が、寸止めで試合をしている程度。敵同士なのに敵意0。そもそも戦う気などなかった兵士(とマフィア)。どうせ、ルイスのオウンアタックで負けるの必至。みんな知ってる。
「ローゼさん、意外に苦戦していますね」と、エミリアがアンドレイのそばに歩み寄って言う。「それにしても長い……ポールウェポンみたい」
「ああ、あれはサイコラークの剣で、本来は騎乗で使う剣だ。霊力使えないやつが使うとほぼポールウェポンだぜ。なんせ刃がないからな」
サイコエネルギーを乗せて攻撃するためだけに開発された剣。高度なサイキックで霊力を大量に消費しなくても、振るうだけでそこそこの複数攻撃ができる。ローゼの母国ミッドエルにもツヴァイヘンダーという両手剣があるが、それよりも長くてスピアのようだ。
付け加えて言うと、ルイスは霊力を扱えないから、高価なエストックもただの棒。
ちなみにオントワーンが持っているツーハンドソードは、ツヴァイヘンダーの汎用版。霊力を乗せるためのロングソードとして開発されたツヴァイヘンダーのレンジの特性を、霊力が扱えないものが“これは使える”と目をつけて作られた。
普段、剣術試合でも戦争でもあまり見ないレイピアVSエストック。稀に見る珍……じゃなくてレアバトル。
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