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第百十話 続・最終話 総括
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この一カ月近い長旅の中で、相当なうっぷんがたまっていたローゼは、報告とばかりに言いたい放題ぶちまける。
「かくかくじかじか、紆余曲折あって、あれこれあれこれ、どれそれあって、なんたらかんたらウンタラクンタラらんたった―――てなもんですよ」
「ふーん」とヨーゼフ「まあ、通商手形取り戻せなかったんだから、残りのお金は払えないよ」
「えー何でですかぁ? でも盗ったの別の盗賊団だったんですよ。取ってなかったんだから完遂でいいでしょう?」
「だめ、盗ってなかったって証明できてないもん」とヨーゼフ頑な。
「散々探しましたよ」と食い下がるローゼ。
「つーか――」と中年男が引き継いで言う。「君、誰にも勝ってないよね」
「はぁ? 何言ってんですか? 全戦全勝でしたからっ!」
ローゼの記憶をプレイバック。
「パーク・ヨードン戦を見てみよう」とヨーゼフが言って初めから振り返る。
中年男「なんか、昔話聞かされてうやむやになってない? しかも牛丼ご馳走になってるし」
「うっ」とローゼは言葉に詰まった。
「次のダーククウォーターエルフとなんかひどいよね」とヨーゼフがつっこむ。
「ほんとですな。オントワーン自ら斬られにいってますよ」中年男が付け加えた。
「これは、わたしのレイピアさばきが凄すぎて、ああ斬られざるを得なかったんですよ」
「すごい言い訳ね」とヨーゼフぽつり。
ローゼ「すっごい悪魔みたいなやつらもいたんですよ」と敵の強さを猛烈アピール。
「雑魚ジャン。皮剥がされた負け犬じゃん」と中年男意に介さない。
ヨーゼフが次のアンドレイ戦にちゃちゃをいれる。
「完全にボディビルショーだよね。独り舞台じゃん」
「いい汗かかれてますよ」とエミリアが割って入って「もう“ウォーミングアップできました”って感じですね」
「お前仕事してないじゃん」と中年男が呆れ顔。続けて「キャンプファイアーして飯食って帰って来ただけじゃないの?」
ヨーゼフが被せて追い打ちかます。
「うやむやじゃんよ。作者だって三回読んで、ようやく気付いたくらいじゃないの?」
「まさか、そう言うセリフありましたよ」
そう言ってリプレイしようと記憶を捻るローゼに時間を与えず、ヨーゼフが更に言った。
「じゃあ、百歩譲って忘れていたよね、絶対」
「はい」どこからともなく声がする。
「『はい』じゃねーよ。答えるなよ世界の外から」
ローゼが天に向かってこぶしを上げて振り回し、大きな声で怒鳴りつけた。
「次行ってみよう」と中年男が先に行く。
エルザ・ブラウンが登場すると、間髪入れずに中年男が言った。
「何でお連れしなかったんだよ」
なに目的だよ。
「縛られ目的に決まってんだろ」
ヨーゼフ、なんか息荒くして言う。
「わしゃ、もう年だから、ソフトなやつにしてもらいたいね」
ローゼそれガン無視して、「見てわたしの強さ」と指さした。「勇猛果敢に突進して、とどめの一撃ですよ」
中年男が「嘘つけ」と言うと、ヨーゼフが続ける。
「突進とめられてるよね。しかも偶然アイマスクが落ちただけじゃん」
加えて中年男「よく見ると、エルザ様はエミリアさんと遊びながら、あんたのお相手しているよね。もう余裕しゃくしゃくじゃん」
長老「そういえばアンドリュー、どうなったの?」
「え? 知りませんけど」
そう言うローゼに、エミリアが答える。
「激しい馬走の末に、今は松の木折りに落ち着いて、第三子を妊活中らしいですよ」
子供いたんかよ。聞きたくないよ、そんな情報。何で知ってんだよ。
「エルザさんから聞きました」
あいつ、結構面倒見良いよな。まさか二人揃って入信してんじゃ……。
「次のホロヴィッツとの戦いを見てくださいよ」とローゼが言って、変なヒルとの戦いはすっ飛ばして、怒涛の突き連打から普通再生。
確かにすごい、とヨーゼフたちは息を飲む。なんとかあらを探して物言いつけねば、ともう必死。
そこにエミリアが助け舟。
「こんなに〈大きなヒル〉なっても全然魔力減っていないんですよー」
「じゃあだめじゃん」と言いながら、中年男が親指を立てる。グッジョーブ。応えてエミリアも親指を立てる。
中年男は続けて言った。
「回復が追いついていないだけで、全然ダメージ与えてないんだろ? あのまま続けていたら、あんたさんの方が疲れていつか負けちゃってるよ」
「そんなことありません」ローゼ、シラを切る。
「でも――」とエミリアがローゼの言葉を遮って言う。「わたしが霊撃でラッシュしても結局ケロッと復活してました」
「だろ?」「だな」(ヨーゼフ&中年男)「でしょ」(エミリア)
「でも、エミリアの攻撃で、アイツ死にかけてましたから」ローゼ譲んない。
「魔力は減っていませんでしたよ」と食い下がるエミリア。
とことん敵だな。
ここでヨーゼフが畳みかけてきた。映像はおむつジジイとの一戦に差し掛かったところだ。
「いたいけない老人に何たる悪行! もうやらん! 銭なんかびたワンチップやらん」
「いやいやいやいや、悪党ですよ」とローゼは言い訳するが、ヨーゼフは「もう引退したんだから、ただの爺様ですよ」と全否定する。そして続けて言った。
「しかも負けてんじゃん。すたこらさっさって逃げてんじゃん」
「それは――」
「それでもどれでもだめだからね。しかも役所からもらったオムツまで奪って、老人しいたげるにもほどがある」
「それはクラゲ野郎退治のために……」
「そのクラゲ野郎だって、おむつの吸水性のおかげだかんね。あんたのおかげ違うからね」
ローゼは、おむつの話に戻して、“おむつジジイがくれると言ったのだ”と言おうとしたが、ヨーゼフは強引に次の話に進ませていく。
しかし、映像をスキップしていた中年男が、おもむろに巻き戻した。
「しかもクラゲ食ってお腹壊さないの?」
「だいじょぶでしたよ。とても美味しかったです」
繰り返し繰り返し、ローゼとエミリアの水着姿を見返すエロオヤジ&エロジジイ。
「良い目の保養ですな、長老」
「そうじゃな、名無しの」
もしかして“名無し”が名前ですか?
エロ厳禁。バコッと二人を殴りつけて、ローゼ先を急ぐ。
急に「ストープ‼‼ ストーップッ‼‼‼」と名無しがつばきまき散らして叫ぶ。
どうしたのかと思ったら、
「何でモザイクやねん‼‼ ここちゃんと見せんといかんとちゃうの?」
なんでだよ。お風呂だよ。
「何やってんだか分からんよ」とヨーゼフがフォロー。
戦ってんだよ。
すったもんだを繰り返しても諦めのつかない名無しをボコって、ローゼはスローリピート再生をやめさせた。このエロども、なんか細目にすると見えると思っているらしい。
「どうせ、偶然アイマスクが落ちて逃げていったんでしょ?」とヨーゼフ、ナイス予知。
エミリア何度も頷き大笑い。直後に実際そうなった挙句、怒られローゼのシーンだけモザイクが晴れて恥を晒す。
ローゼ以外が抱腹絶倒悶え死ぬ。
「もうサイテー!」とローゼが泣きを入れた。
「かくかくじかじか、紆余曲折あって、あれこれあれこれ、どれそれあって、なんたらかんたらウンタラクンタラらんたった―――てなもんですよ」
「ふーん」とヨーゼフ「まあ、通商手形取り戻せなかったんだから、残りのお金は払えないよ」
「えー何でですかぁ? でも盗ったの別の盗賊団だったんですよ。取ってなかったんだから完遂でいいでしょう?」
「だめ、盗ってなかったって証明できてないもん」とヨーゼフ頑な。
「散々探しましたよ」と食い下がるローゼ。
「つーか――」と中年男が引き継いで言う。「君、誰にも勝ってないよね」
「はぁ? 何言ってんですか? 全戦全勝でしたからっ!」
ローゼの記憶をプレイバック。
「パーク・ヨードン戦を見てみよう」とヨーゼフが言って初めから振り返る。
中年男「なんか、昔話聞かされてうやむやになってない? しかも牛丼ご馳走になってるし」
「うっ」とローゼは言葉に詰まった。
「次のダーククウォーターエルフとなんかひどいよね」とヨーゼフがつっこむ。
「ほんとですな。オントワーン自ら斬られにいってますよ」中年男が付け加えた。
「これは、わたしのレイピアさばきが凄すぎて、ああ斬られざるを得なかったんですよ」
「すごい言い訳ね」とヨーゼフぽつり。
ローゼ「すっごい悪魔みたいなやつらもいたんですよ」と敵の強さを猛烈アピール。
「雑魚ジャン。皮剥がされた負け犬じゃん」と中年男意に介さない。
ヨーゼフが次のアンドレイ戦にちゃちゃをいれる。
「完全にボディビルショーだよね。独り舞台じゃん」
「いい汗かかれてますよ」とエミリアが割って入って「もう“ウォーミングアップできました”って感じですね」
「お前仕事してないじゃん」と中年男が呆れ顔。続けて「キャンプファイアーして飯食って帰って来ただけじゃないの?」
ヨーゼフが被せて追い打ちかます。
「うやむやじゃんよ。作者だって三回読んで、ようやく気付いたくらいじゃないの?」
「まさか、そう言うセリフありましたよ」
そう言ってリプレイしようと記憶を捻るローゼに時間を与えず、ヨーゼフが更に言った。
「じゃあ、百歩譲って忘れていたよね、絶対」
「はい」どこからともなく声がする。
「『はい』じゃねーよ。答えるなよ世界の外から」
ローゼが天に向かってこぶしを上げて振り回し、大きな声で怒鳴りつけた。
「次行ってみよう」と中年男が先に行く。
エルザ・ブラウンが登場すると、間髪入れずに中年男が言った。
「何でお連れしなかったんだよ」
なに目的だよ。
「縛られ目的に決まってんだろ」
ヨーゼフ、なんか息荒くして言う。
「わしゃ、もう年だから、ソフトなやつにしてもらいたいね」
ローゼそれガン無視して、「見てわたしの強さ」と指さした。「勇猛果敢に突進して、とどめの一撃ですよ」
中年男が「嘘つけ」と言うと、ヨーゼフが続ける。
「突進とめられてるよね。しかも偶然アイマスクが落ちただけじゃん」
加えて中年男「よく見ると、エルザ様はエミリアさんと遊びながら、あんたのお相手しているよね。もう余裕しゃくしゃくじゃん」
長老「そういえばアンドリュー、どうなったの?」
「え? 知りませんけど」
そう言うローゼに、エミリアが答える。
「激しい馬走の末に、今は松の木折りに落ち着いて、第三子を妊活中らしいですよ」
子供いたんかよ。聞きたくないよ、そんな情報。何で知ってんだよ。
「エルザさんから聞きました」
あいつ、結構面倒見良いよな。まさか二人揃って入信してんじゃ……。
「次のホロヴィッツとの戦いを見てくださいよ」とローゼが言って、変なヒルとの戦いはすっ飛ばして、怒涛の突き連打から普通再生。
確かにすごい、とヨーゼフたちは息を飲む。なんとかあらを探して物言いつけねば、ともう必死。
そこにエミリアが助け舟。
「こんなに〈大きなヒル〉なっても全然魔力減っていないんですよー」
「じゃあだめじゃん」と言いながら、中年男が親指を立てる。グッジョーブ。応えてエミリアも親指を立てる。
中年男は続けて言った。
「回復が追いついていないだけで、全然ダメージ与えてないんだろ? あのまま続けていたら、あんたさんの方が疲れていつか負けちゃってるよ」
「そんなことありません」ローゼ、シラを切る。
「でも――」とエミリアがローゼの言葉を遮って言う。「わたしが霊撃でラッシュしても結局ケロッと復活してました」
「だろ?」「だな」(ヨーゼフ&中年男)「でしょ」(エミリア)
「でも、エミリアの攻撃で、アイツ死にかけてましたから」ローゼ譲んない。
「魔力は減っていませんでしたよ」と食い下がるエミリア。
とことん敵だな。
ここでヨーゼフが畳みかけてきた。映像はおむつジジイとの一戦に差し掛かったところだ。
「いたいけない老人に何たる悪行! もうやらん! 銭なんかびたワンチップやらん」
「いやいやいやいや、悪党ですよ」とローゼは言い訳するが、ヨーゼフは「もう引退したんだから、ただの爺様ですよ」と全否定する。そして続けて言った。
「しかも負けてんじゃん。すたこらさっさって逃げてんじゃん」
「それは――」
「それでもどれでもだめだからね。しかも役所からもらったオムツまで奪って、老人しいたげるにもほどがある」
「それはクラゲ野郎退治のために……」
「そのクラゲ野郎だって、おむつの吸水性のおかげだかんね。あんたのおかげ違うからね」
ローゼは、おむつの話に戻して、“おむつジジイがくれると言ったのだ”と言おうとしたが、ヨーゼフは強引に次の話に進ませていく。
しかし、映像をスキップしていた中年男が、おもむろに巻き戻した。
「しかもクラゲ食ってお腹壊さないの?」
「だいじょぶでしたよ。とても美味しかったです」
繰り返し繰り返し、ローゼとエミリアの水着姿を見返すエロオヤジ&エロジジイ。
「良い目の保養ですな、長老」
「そうじゃな、名無しの」
もしかして“名無し”が名前ですか?
エロ厳禁。バコッと二人を殴りつけて、ローゼ先を急ぐ。
急に「ストープ‼‼ ストーップッ‼‼‼」と名無しがつばきまき散らして叫ぶ。
どうしたのかと思ったら、
「何でモザイクやねん‼‼ ここちゃんと見せんといかんとちゃうの?」
なんでだよ。お風呂だよ。
「何やってんだか分からんよ」とヨーゼフがフォロー。
戦ってんだよ。
すったもんだを繰り返しても諦めのつかない名無しをボコって、ローゼはスローリピート再生をやめさせた。このエロども、なんか細目にすると見えると思っているらしい。
「どうせ、偶然アイマスクが落ちて逃げていったんでしょ?」とヨーゼフ、ナイス予知。
エミリア何度も頷き大笑い。直後に実際そうなった挙句、怒られローゼのシーンだけモザイクが晴れて恥を晒す。
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