生贄の巫女は祈りを捧げる~輝国禍乱編~

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悲しい真実4

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一方その頃光焔は執務室にてとある書類を見て頭を抱えていた。

報告者欄に諭按と書かれたその書類は最近の巫女殿に関する報告書だった。

いつも通り特段何かあるわけではない報告書だと思っていたら読み進めていくにつれ顔色が変わる。

「巫女殿の命うつしが使えない?」

そこには巫女殿が命うつしが使えなくなったこと。最近の国の情勢を考えるに反国王勢力の仕業である可能性があることが書かれていた。

「はぁ~・・・」

盛大な溜息をつき机に突っ伏す。

反国王勢力の仕業だとすればあちらはすでに計画の最終段階に入ろうとしているのだろう。

こちらの段取りが遅かったか?いや、焦ったところで成功する保証はないからと入念に計画を立て進めていたがまさかあちがらここまで早く仕掛けてくるとは思わなかった。

そうなってくるとすでに反国王勢力は巫女殿に接触している?

確証はないがもしかしたらこちらの計画も巫女殿に伝わっている可能性がある。

巫女殿に直接尋ねるか?いや、今巫女殿に避けられているんだった。

今度は違った意味で頭を抱える。

先日から何度か巫女殿のもとを訪ね話をしようとしたが何かと理由をつけられ話ができずにいる。

オレは知らぬ間に何か悪い事でもしたのだろうか?

何度考えてみても何も思い浮かばない。

「う~ん・・・」

「あんた、何してんの?」

唸りながら頭を椅子に預け上を向いていると天井の一部が突然開き霞蝶が顔を出していた。

相変わらず神出鬼没だな。

いつもの事だが呆れて先程とは違う意味で溜息が出る。

「よっ・・・と」

霞蝶は天井から器用に降りてくると近くにあった椅子に腰かける。

「何当たり前のように座ってるんだお前は・・・」

「えっ?だって話をしに来たんだから座るのは当たり前でしょ?」

こいつが持ってくる話はろくなものがない。

今までの経験からそう思うのか思わず怪訝な顔になる。

「そんな顔しないで!大事な話だから」

「大事な話?」

「慈影が祈に話しちゃったらしいよ」

「何をだ?」

「祈が生贄だってこととか耀王のこととか」

「・・・・・・そうか」

だから最近オレは避けられていたのか。

てっきり話したのは反国王勢力だと思っていたがこんなところに思わぬ伏兵がいるとは。

しかし・・・よりによって慈影か。きっと蒼玉の話も交えて話したのだろう。

騙していたオレの言葉よりあいつの言葉の方が説得力がありそうだ。

改めて理由が分かり安堵する反面、何故だか落ち込んでいる自分がいる。

でも、これが普通の反応なんだよな。こちらから勝手に計画に巻き込んでそれを知られて避けられたら落ち込むなんて身勝手だな、オレは。

「なーに落ち込んでんのよ!!」

「いてっ!!」

オレが自己嫌悪に陥っていると霞蝶に思い切り肩を殴られた。

「少しは加減しろ・・・」

殴られた右肩をさすりながら悶えながら霞蝶を睨む。

「お前なあ」

「今更後悔したって遅いよ。今やるべき事はこれからどうしていくかでしょ?」

「霞蝶」

「祈の事を思うならなおさらね」

巫女殿の事を思うなら・・・か。

彼女には悪いことをしたと思っている。もしかしたらオレだけでなく輝国の人間やはたまた実の父でさえ信用できなくなっているかもしれない。

彼女がこの国に来た時から何度このことを告げようと思ったことか。

けれど結局言い出せなかった。

巫女殿が新しい文化に、環境に触れ、目を輝かせながら一生懸命に取り組む姿を見る度に罪悪感が募っていった。

彼女の笑顔を見ていると、もう少しこのままで・・・と願ってしまうオレがいた。

「霞蝶、オレ巫女殿と話をしようと思う」

「それがいいよ。あんたは何でもかんでも背負いすぎ!もう少し単純に考えてもいいと思うよ」

単純に・・・か。嫌われる覚悟で、はまた重く捉えているな。でもそれぐらいの覚悟を持って話すしかない。

そう思いオレは途中だった仕事を一旦止め巫女殿のもとへ向かった。





一方その頃祈は李桜が去った後に後片付けをしていた。

一通り終わったところで先日書庫から持ち出していた書物を手に取る。

耀王記、そして歴代の巫女の名前が書かれた書物。

どちらも他の書物に比べ一回り小さかったので懐に入れ安易に持ち出すことができた。

以前読んでいた続きからと思い耀王記を読み始める。

生贄の風習が始まったのは熱心な信仰者が国神消失を恐れ始めたものだと記されている。

そして最初の生贄は輝国の発展に代々尽力してきた巫女の家系の者だった。

様々な人間が生贄となるべくふるいにかけられその過程で多くの者が亡くなる中、たった1人生き残ったのが最初の生贄である巫女の家系の娘だった。

巫女と国神の親和性を考えた信仰者達はそれからの生贄の条件に巫女であることを付け足し、長きにわたり巫女を生贄にすることで国神の存在を維持し影から国を支えてきた。

だがある時から国神に適応する巫女が少なくなり、昨今では代々生贄の巫女を輩出してきた黄家の巫女が国神の生贄であるにもかかわらず他国の国神と契りを交わし国を追放された。

その後、いくつかの巫女の家系の者や他国の巫女を呼び寄せたがどの巫女も国神に適応することはなかった。

昔の歴史書かと思いきや最近の事まで記されているところを見るとこれは何かあるごとに加筆・修正されてきた資料だということが分かった。

それにここまで読み進めて改めて私がここに呼ばれた意味が分かった。

ただ力のある人間が欲しかったのではない。巫女でなくてはいけなかったのだ。

それも代々巫女の力を有する家系の巫女が。

そこまで考えた時、小さく扉を叩く音が聞こえた。

「はい」

「巫女殿、すまない。オレだ」

「国王様?」

先程まで読んでいた書物を急いで懐に隠す。

慈影さんや李桜さんと話して色々と気持ちは固まってはいるがまだ上手く言葉にできそうにないので会いたくないという気持ちがあるが、ひとまず扉の前に向かう。

「何のご用でしょうか」

「急にすまない。反国王勢力の者達が攻めてきた。今、四席のみなで応戦しているが次期にここまで来るだろう。その前に巫女殿を安全な場所まで連れていく。一緒に来てくれ!」

驚いた。まさかもう動き出すなんて。

四席のみなさんが応戦してくれているとはいえ国王様がここまで来たという事は一刻の猶予もないという事だろう。

事態が事態なので自分にも何かできるのではと考え扉を開ける。

「国王様、私も一緒に戦い・・・」

扉を開け目の前に立っていたのは国王様ではなく。

「おや、反国王勢力には気をつけるよう言われていませんでしたか?」

「鎌哨様、一体どうやって・・・」

「無駄話をしている暇はありません」

そう言うと横に控えていた衛兵に簡単に取り押さえられる。

「一緒に来ていただきますよ」

抵抗するすべもなく私は大人しく奴らに連れていかれた。
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