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悲しい真実2
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後日、私は書庫に1人で籠っていた。
理由は耀王の封印された力について調べるためだ。
一般的な資料や古文書の棚はいくら探してもそれらしい文献は見つからなかったためさらに奥にある”禁書”が並ぶ棚までやって来た。
ここは以前諭按さんに書庫を案内してもらった時に一応教えてもらった場所だ。
中には輝国に関する重大な資料や歴史書などが保管されているらしい。
その棚は他の棚と違い頑丈な扉と大きな鍵までついていた。
「これは一大事ってことで」
鍵穴の形状を確認し髪に挿さっている簪から1つ抜き取り鍵穴に入れる。何度か回すとがちゃんという音とともに鍵が外れ扉を開けることに成功した。
まさかこんなところで役に立つなんてね。
「いいですか祈様。他国では何があるか分かりませんからお守り代わりとしてこちらをお渡しします」
そう言って相馬は私の目の前に3つの簪を差し出した。
「簪?」
一見ただの簪に見えるがよく見ると髪に挿すほうの先端の形状が普通の簪とは異なることが分かる。
「これはただの簪ではございません。これ1つあればそこら辺にある錠は簡単に開けることができます。ですが、錠の形は1つではありませんのであらゆる局面を想定して3つご用意いたしました。有事の際はお使いください」
「ありがとう。これが使われないことを祈るわ」
自分がいないにもかかわらず何かあった時の事を考えてこれを用意しているなんてよくできた臣下だと改めて実感する。
さて、お目当てのものは・・・。
ずらりと並んだ書物を片っ端から確認していく。
「あった」
一際目立つ色をしているその書物の背表紙には”耀王記”と記されている。
ひとたび表紙をめくるとそこには祈祷を行った会場で見た耀王の銅像と同じ容姿の人物が描かれていた。
さらにめくるとそこから耀王の歴史が事細かに記されていた。
耀王が最初に会話をしたのは耀王が神として生まれた村の少年だった。
少年とその子孫はのちに耀王の助言の元、村を町に町を国へと世代を超えて発展させた。
その村が大きくなるにつれ信仰心が強まりある時は天気を操り、またある時は軍に加勢したりと耀王の力も強大なものへと変化していった。
ある時、当時の国王は代々耀王に助言を受けることに疑念を抱くようになった。
何故我々は神に従わなければならないのか。何故神の言いなりなのか。何故神は強大な力を持っているのか。
その全てが疑念から不信に変わった時、国王は耀王に反旗を翻す計画を企てた。
それにより信仰心が薄れてしまった耀王は国王軍との戦いに敗れその力の多くをこの地に封印されてしまい、耀王自身は一部の熱心な信仰者達のおかげか存在自体は残りはしたものの以前のような力はなく、永遠に国神として国を見守るだけの存在となってしまった。
そんな中始まったのが”生贄”を捧げる風習だ。
ここまで読み進めた時、扉を叩く音とともに失礼します。と言う鈴麗の声が聞こえた。
「祈様、昼食をお持ちしました」
「ありがとう。机の上に置いてもらえる?」
急いで読んでいた書物を他の書物の中に混ぜ禁書の棚を元通りに戻す。
書物を持ち鈴麗が待っている机に向かうと机の上にはおにぎりや汁物など軽めの食事が用意されていた。
「最近あまり召し上がられていないようなので軽めの物をご用意いたしました」
「ありがとう。早速いただきます」
そう言って用意してもらった食事を食べ始めた時、鈴麗は伏し目がちになりながら口を開く。
「祈様。差し出がましいかもしれませんが、あまりご無理をなさらないでくださいね。何かありましたら私もお手伝いいたしますので」
「・・・うん、ありがとう。でも、これは私がどうしてもやりたいことだから・・・」
「左様でございますか・・・」
「ごめんね」
少し寂しげな顔をしていたがこんな事鈴麗に手伝ってもらうわけにはいかない。
「どうしてもやりたいとおっしゃるのなら仕方ありません。しかし、食事だけはちゃんととってください!」
「は、はい・・・」
最近は古文書や資料を読むのに夢中になり過ぎて時々食事をするのを忘れてしまうがその度に鈴麗が食事を届けてくれているのでありがたいと思っている。
まあ、その度にこんな風にお小言を言われるけど・・・。
「絶対に食べてください!私との約束です!」
こんな風に言ってくれるなんて・・・。
距離が近くなったと喜ぶべきか、手のかかる妹に注意をしている姉のようになってしまっていると悲しむべきか。世話をしてもらっている手前言いにくいがそこまで自分は今彼女に心配をかけているのだと思うと少し申し訳なくなる。
「みんな心配しているんです」
「みんな?」
どうやら心配してくれているのは鈴麗だけじゃなかったらしい。
一体誰が?
「一緒に舞の練習をしていた妓女達や四席の皆様、衛兵や諭按様・・・国王様も心配していらっしゃいます」
「・・・・・・」
「少しお話になられたらいかがですか?気のせいかもしれませんが最近国王様を避けていらっしゃるように見えます」
「・・・そんなことはないよ。ただ話すことがないから・・・」
「・・・左様でございますか。また食器を下げに参ります」
それ以上深く聞いてくることはなく鈴麗は書庫から出て行った。
「はぁ・・・」
話したい気持ちはある。
しかし、あの話を聞いた後ではどう接すればいいのか分からず少し戸惑っている。
こんな気持ちでは到底会えないと何度か部屋へ訪ねてきてくれている国王様に理由をつけて何度か追い返している。
きっと今まで通りでいいんだと思う。自分の見てきた国王様をただ信じれば。
でも、人間そう簡単にできないのが現実だ。
自分の気持ちに整理がつくまでは国王様とは少し距離を取ろう。
そうすればきっと今まで通り話せるはず。
理由は耀王の封印された力について調べるためだ。
一般的な資料や古文書の棚はいくら探してもそれらしい文献は見つからなかったためさらに奥にある”禁書”が並ぶ棚までやって来た。
ここは以前諭按さんに書庫を案内してもらった時に一応教えてもらった場所だ。
中には輝国に関する重大な資料や歴史書などが保管されているらしい。
その棚は他の棚と違い頑丈な扉と大きな鍵までついていた。
「これは一大事ってことで」
鍵穴の形状を確認し髪に挿さっている簪から1つ抜き取り鍵穴に入れる。何度か回すとがちゃんという音とともに鍵が外れ扉を開けることに成功した。
まさかこんなところで役に立つなんてね。
「いいですか祈様。他国では何があるか分かりませんからお守り代わりとしてこちらをお渡しします」
そう言って相馬は私の目の前に3つの簪を差し出した。
「簪?」
一見ただの簪に見えるがよく見ると髪に挿すほうの先端の形状が普通の簪とは異なることが分かる。
「これはただの簪ではございません。これ1つあればそこら辺にある錠は簡単に開けることができます。ですが、錠の形は1つではありませんのであらゆる局面を想定して3つご用意いたしました。有事の際はお使いください」
「ありがとう。これが使われないことを祈るわ」
自分がいないにもかかわらず何かあった時の事を考えてこれを用意しているなんてよくできた臣下だと改めて実感する。
さて、お目当てのものは・・・。
ずらりと並んだ書物を片っ端から確認していく。
「あった」
一際目立つ色をしているその書物の背表紙には”耀王記”と記されている。
ひとたび表紙をめくるとそこには祈祷を行った会場で見た耀王の銅像と同じ容姿の人物が描かれていた。
さらにめくるとそこから耀王の歴史が事細かに記されていた。
耀王が最初に会話をしたのは耀王が神として生まれた村の少年だった。
少年とその子孫はのちに耀王の助言の元、村を町に町を国へと世代を超えて発展させた。
その村が大きくなるにつれ信仰心が強まりある時は天気を操り、またある時は軍に加勢したりと耀王の力も強大なものへと変化していった。
ある時、当時の国王は代々耀王に助言を受けることに疑念を抱くようになった。
何故我々は神に従わなければならないのか。何故神の言いなりなのか。何故神は強大な力を持っているのか。
その全てが疑念から不信に変わった時、国王は耀王に反旗を翻す計画を企てた。
それにより信仰心が薄れてしまった耀王は国王軍との戦いに敗れその力の多くをこの地に封印されてしまい、耀王自身は一部の熱心な信仰者達のおかげか存在自体は残りはしたものの以前のような力はなく、永遠に国神として国を見守るだけの存在となってしまった。
そんな中始まったのが”生贄”を捧げる風習だ。
ここまで読み進めた時、扉を叩く音とともに失礼します。と言う鈴麗の声が聞こえた。
「祈様、昼食をお持ちしました」
「ありがとう。机の上に置いてもらえる?」
急いで読んでいた書物を他の書物の中に混ぜ禁書の棚を元通りに戻す。
書物を持ち鈴麗が待っている机に向かうと机の上にはおにぎりや汁物など軽めの食事が用意されていた。
「最近あまり召し上がられていないようなので軽めの物をご用意いたしました」
「ありがとう。早速いただきます」
そう言って用意してもらった食事を食べ始めた時、鈴麗は伏し目がちになりながら口を開く。
「祈様。差し出がましいかもしれませんが、あまりご無理をなさらないでくださいね。何かありましたら私もお手伝いいたしますので」
「・・・うん、ありがとう。でも、これは私がどうしてもやりたいことだから・・・」
「左様でございますか・・・」
「ごめんね」
少し寂しげな顔をしていたがこんな事鈴麗に手伝ってもらうわけにはいかない。
「どうしてもやりたいとおっしゃるのなら仕方ありません。しかし、食事だけはちゃんととってください!」
「は、はい・・・」
最近は古文書や資料を読むのに夢中になり過ぎて時々食事をするのを忘れてしまうがその度に鈴麗が食事を届けてくれているのでありがたいと思っている。
まあ、その度にこんな風にお小言を言われるけど・・・。
「絶対に食べてください!私との約束です!」
こんな風に言ってくれるなんて・・・。
距離が近くなったと喜ぶべきか、手のかかる妹に注意をしている姉のようになってしまっていると悲しむべきか。世話をしてもらっている手前言いにくいがそこまで自分は今彼女に心配をかけているのだと思うと少し申し訳なくなる。
「みんな心配しているんです」
「みんな?」
どうやら心配してくれているのは鈴麗だけじゃなかったらしい。
一体誰が?
「一緒に舞の練習をしていた妓女達や四席の皆様、衛兵や諭按様・・・国王様も心配していらっしゃいます」
「・・・・・・」
「少しお話になられたらいかがですか?気のせいかもしれませんが最近国王様を避けていらっしゃるように見えます」
「・・・そんなことはないよ。ただ話すことがないから・・・」
「・・・左様でございますか。また食器を下げに参ります」
それ以上深く聞いてくることはなく鈴麗は書庫から出て行った。
「はぁ・・・」
話したい気持ちはある。
しかし、あの話を聞いた後ではどう接すればいいのか分からず少し戸惑っている。
こんな気持ちでは到底会えないと何度か部屋へ訪ねてきてくれている国王様に理由をつけて何度か追い返している。
きっと今まで通りでいいんだと思う。自分の見てきた国王様をただ信じれば。
でも、人間そう簡単にできないのが現実だ。
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そうすればきっと今まで通り話せるはず。
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