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本編
side永瀬:出会いからあの夜まで
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女に困ることはなくそこそこ遊び相手はいたが、新入社員の男にやたらと懐かれて追いかけ回されることになった。男にしては華奢な感じではあるが、しっかりと男だ。女と見間違うようなタイプでもない。ただ、線は細めで庇護欲はそそるし柔和な顔や穏やかな話し方で男女共に人気があるらしいというのは、俺に不満ばかりあるらしい部下経由の情報。
思わず書類を持ったまま転けそうになった新人のあいつを抱き止めて助けたのが、懐かれたきっかけだったのだろう。本人からハッキリと聞いたことは無い。事務に用事がある部署でもないのに、出勤していると毎朝必ず事務に顔を見せるのを不思議だと思っていた。
「健気よねぇ。早めに出勤して他部署書類を集めに廻って事務に渡しに来てから、自分の仕事始めるらしいわよ?話せるわけでもないのに永瀬部長見るためにわざわざ。」
「あんなに、癒し系のイイコなのに男の趣味は悪いよね。よりによって永瀬部長。」
「居ない日のションボリ顔見ると撫でたくなる。」
「あんな節操なしのどこが好きなんだろう……。」
事務所には、上條の味方が多い。俺みたいなおっさん遊び人が、あんなイイコを拒否るのも受け入れるのもどちらも解せぬといったところだろうか?俺にどうしろと言うんだ?
絆されそうなほど健気で可愛いあいつを見ていると、途切れることもなかった割りきった関係の女たちとの関係が急に虚しく感じるようになり、間を開けているうちにとうとう全員から切られてしまった。
未来のあるあいつには、ヒトマワリ以上も年上の俺よりももっと若くてイイ男も女もいるだろう。そんな風に思うのに……ちらちらと物言いたそうに俺を見つめる視線、シャワー後の濡れ髪や垂れた水でTシャツから透けて見える肩が見える度に俺の心臓はどくりと音を立てた。
突き放すことも受け入れることも選べず、ずるずると曖昧にかわしながらそのやり取りを楽しんでいるところさえあった。あの日まではそれで良いと思っていた。
あの日、あいつが廊下で同期の男に告白されていた。運動サークルでも仲が良い坂下だ。坂下が先日の飲み会で盛大に酔い、あいつが手厚く看病していたのは、その場にいた俺も部下たちも知っていて……。
「とうとう見限られましたかね!坂下なかなか可愛いいやつですからね。」
「多少の頼りなさはあるけど、そこは上條くんがカバーできるだろうからね。割と良い組み合わせでは?」
「坂下の部署で、上條をプッシュしているらしいよ。」
周りも認めるようなあいつにふさわしい相手が出てきた。俺の願いでもあったはずだ。
だが、腹の中にモヤモヤした気持ちが沸いた。俺が望んでいたことだろう?そう言い聞かせながら、坂下との成り行きをひっそりと見守っていた。
坂下に向かって「好きな人が居る」とあいつはかわし、その言葉に大きく安堵した俺がいた。坂下はしつこく食い下がる。やんわりと断るものの伝わらず困るあいつの姿を見ていたはずだった。気付くと俺は、二人の間に割って入っていた。
第三者の俺が入ってもなお、勢いの衰えない坂下の無礼な言葉の数々。温厚なあいつも堪えきれなくなったようで、かなり興奮した状態で声を荒げている。
「俺の特別は1人だけ!その人が大好きだし!その人だけには絶対に誤解されたくないっ!」
あいつの台詞がズドンッとキた。この場で押し倒して、あの細い腰を掴み、めちゃくちゃに突きあげたい。坂下に「こいつは俺のモノ」だと主張したいと強く思った。
強いあいつの拒否にやっと諦めた坂下は、不満そうにブツブツと言いながら去っていった。
俺と二人になったことに気づいたからか、先ほどの自分の言葉でも思い出したのか?慌てて礼を言いながら逃げようとしたあいつの手首を握り自分に強く引き寄せる。
耳元で食事の誘いを囁くと、耳が弱いのか、首まで赤くしながらびくりびくりと反応している。これは滾る……。
約束通り回らない寿司に連れていくと、ちらちらと俺を盗み見る姿も寿司を楽しむ姿も、猫舌で茶に悪戦苦闘する姿も、あまりにも愛しいという気持ちが込み上げる。かつての経験のお陰で暴走したり表面に出さずに、涼しい顔でいる事ができる。そう思うと、今までの爛れた経験も捨てたものではないと思えた。
あいつは幸せそうな顔をしていたかと思うと、ふいに眉を寄せて思案顔をした。要らないことを考えているのは直ぐにわかった。あいつの柔らかな髪を掻きまぜ撫でながら笑顔を見せてやると、それだけでほわっと和らいだ顔を見せる。その油断した顔を俺だけのものにしたいという独占欲に囚われる。
助手席でお礼を言いながら頭を下げるあいつに、俺は明確な意図を持って近づく。顔をあげ、予想より近い位置にいる俺に驚き目を大きく開き、真っ赤な顔で目線を下げる。
白く滑らかな頬を撫でて後頭部を捕まえて逃げ道を塞いで、あいつを引寄せて奪った唇は柔らかくて……思わず何度も味わっていると、艶かしい声をあげて唇が少し開いた。遠慮なく隙間から侵入して、あいつの小さく柔らかな舌を舐めて吸い上げゆっくりと堪能した。溢れた唾液をペロリと舐め、家に誘う。息をあげて赤い顔をしながらあいつが頷いた。
キスで蕩けた顔にあまりにもそそられて、信号待ちの度に太腿に手を這わせると甘い声を出しながら「だめ」と弱々しい抵抗の言葉を口から溢す。それがどれだけ俺を煽るか……分かってないんだろうな。
車から一人では降りられないほど蕩けたあいつを抱えながら部屋のソファーに運ぶ。酒を飲むか聞くと拗ねたような顔でこちらを睨む。なんだソレ可愛すぎるな。
悪戯心でチューハイを口移しで飲ませてやると、戸惑いながらもゆっくりと飲み込んでいく。あいつの喉が鳴る度に支配欲が満たされていく。
ゆっくりじっくりとキスをしながら味わう。……口の中が感じるんだろう、ビクビクしながら直ぐに蕩けている。一番反応のよい口蓋をゆるりと舐めるだけで体を震わせ、涙をポロリとこぼしながらすがり付いてくる。純と呼び、俺の事も匠と呼べと促せば……大きく体を震わせ達してしまった。
キスされて名を呼ばれてイクとかエロすぎるだろう……。堪らなくなってあいつのスラックスに手を這わせると、服の下であいつの白濁で濡れた下着がくちゅりと淫靡な音をたてた。
純の気持ちを確認してからは、煽られ過ぎて限界がきたのもあるとはいえ処女相手なのに全く自制ができなかった。朝まで貪り、結腸までぶち抜き潮をふかせ、気付いたら純は意識を飛ばし抱き潰していた。セックスでこんなに理性を飛ばしたのは初めてだった。
思わず書類を持ったまま転けそうになった新人のあいつを抱き止めて助けたのが、懐かれたきっかけだったのだろう。本人からハッキリと聞いたことは無い。事務に用事がある部署でもないのに、出勤していると毎朝必ず事務に顔を見せるのを不思議だと思っていた。
「健気よねぇ。早めに出勤して他部署書類を集めに廻って事務に渡しに来てから、自分の仕事始めるらしいわよ?話せるわけでもないのに永瀬部長見るためにわざわざ。」
「あんなに、癒し系のイイコなのに男の趣味は悪いよね。よりによって永瀬部長。」
「居ない日のションボリ顔見ると撫でたくなる。」
「あんな節操なしのどこが好きなんだろう……。」
事務所には、上條の味方が多い。俺みたいなおっさん遊び人が、あんなイイコを拒否るのも受け入れるのもどちらも解せぬといったところだろうか?俺にどうしろと言うんだ?
絆されそうなほど健気で可愛いあいつを見ていると、途切れることもなかった割りきった関係の女たちとの関係が急に虚しく感じるようになり、間を開けているうちにとうとう全員から切られてしまった。
未来のあるあいつには、ヒトマワリ以上も年上の俺よりももっと若くてイイ男も女もいるだろう。そんな風に思うのに……ちらちらと物言いたそうに俺を見つめる視線、シャワー後の濡れ髪や垂れた水でTシャツから透けて見える肩が見える度に俺の心臓はどくりと音を立てた。
突き放すことも受け入れることも選べず、ずるずると曖昧にかわしながらそのやり取りを楽しんでいるところさえあった。あの日まではそれで良いと思っていた。
あの日、あいつが廊下で同期の男に告白されていた。運動サークルでも仲が良い坂下だ。坂下が先日の飲み会で盛大に酔い、あいつが手厚く看病していたのは、その場にいた俺も部下たちも知っていて……。
「とうとう見限られましたかね!坂下なかなか可愛いいやつですからね。」
「多少の頼りなさはあるけど、そこは上條くんがカバーできるだろうからね。割と良い組み合わせでは?」
「坂下の部署で、上條をプッシュしているらしいよ。」
周りも認めるようなあいつにふさわしい相手が出てきた。俺の願いでもあったはずだ。
だが、腹の中にモヤモヤした気持ちが沸いた。俺が望んでいたことだろう?そう言い聞かせながら、坂下との成り行きをひっそりと見守っていた。
坂下に向かって「好きな人が居る」とあいつはかわし、その言葉に大きく安堵した俺がいた。坂下はしつこく食い下がる。やんわりと断るものの伝わらず困るあいつの姿を見ていたはずだった。気付くと俺は、二人の間に割って入っていた。
第三者の俺が入ってもなお、勢いの衰えない坂下の無礼な言葉の数々。温厚なあいつも堪えきれなくなったようで、かなり興奮した状態で声を荒げている。
「俺の特別は1人だけ!その人が大好きだし!その人だけには絶対に誤解されたくないっ!」
あいつの台詞がズドンッとキた。この場で押し倒して、あの細い腰を掴み、めちゃくちゃに突きあげたい。坂下に「こいつは俺のモノ」だと主張したいと強く思った。
強いあいつの拒否にやっと諦めた坂下は、不満そうにブツブツと言いながら去っていった。
俺と二人になったことに気づいたからか、先ほどの自分の言葉でも思い出したのか?慌てて礼を言いながら逃げようとしたあいつの手首を握り自分に強く引き寄せる。
耳元で食事の誘いを囁くと、耳が弱いのか、首まで赤くしながらびくりびくりと反応している。これは滾る……。
約束通り回らない寿司に連れていくと、ちらちらと俺を盗み見る姿も寿司を楽しむ姿も、猫舌で茶に悪戦苦闘する姿も、あまりにも愛しいという気持ちが込み上げる。かつての経験のお陰で暴走したり表面に出さずに、涼しい顔でいる事ができる。そう思うと、今までの爛れた経験も捨てたものではないと思えた。
あいつは幸せそうな顔をしていたかと思うと、ふいに眉を寄せて思案顔をした。要らないことを考えているのは直ぐにわかった。あいつの柔らかな髪を掻きまぜ撫でながら笑顔を見せてやると、それだけでほわっと和らいだ顔を見せる。その油断した顔を俺だけのものにしたいという独占欲に囚われる。
助手席でお礼を言いながら頭を下げるあいつに、俺は明確な意図を持って近づく。顔をあげ、予想より近い位置にいる俺に驚き目を大きく開き、真っ赤な顔で目線を下げる。
白く滑らかな頬を撫でて後頭部を捕まえて逃げ道を塞いで、あいつを引寄せて奪った唇は柔らかくて……思わず何度も味わっていると、艶かしい声をあげて唇が少し開いた。遠慮なく隙間から侵入して、あいつの小さく柔らかな舌を舐めて吸い上げゆっくりと堪能した。溢れた唾液をペロリと舐め、家に誘う。息をあげて赤い顔をしながらあいつが頷いた。
キスで蕩けた顔にあまりにもそそられて、信号待ちの度に太腿に手を這わせると甘い声を出しながら「だめ」と弱々しい抵抗の言葉を口から溢す。それがどれだけ俺を煽るか……分かってないんだろうな。
車から一人では降りられないほど蕩けたあいつを抱えながら部屋のソファーに運ぶ。酒を飲むか聞くと拗ねたような顔でこちらを睨む。なんだソレ可愛すぎるな。
悪戯心でチューハイを口移しで飲ませてやると、戸惑いながらもゆっくりと飲み込んでいく。あいつの喉が鳴る度に支配欲が満たされていく。
ゆっくりじっくりとキスをしながら味わう。……口の中が感じるんだろう、ビクビクしながら直ぐに蕩けている。一番反応のよい口蓋をゆるりと舐めるだけで体を震わせ、涙をポロリとこぼしながらすがり付いてくる。純と呼び、俺の事も匠と呼べと促せば……大きく体を震わせ達してしまった。
キスされて名を呼ばれてイクとかエロすぎるだろう……。堪らなくなってあいつのスラックスに手を這わせると、服の下であいつの白濁で濡れた下着がくちゅりと淫靡な音をたてた。
純の気持ちを確認してからは、煽られ過ぎて限界がきたのもあるとはいえ処女相手なのに全く自制ができなかった。朝まで貪り、結腸までぶち抜き潮をふかせ、気付いたら純は意識を飛ばし抱き潰していた。セックスでこんなに理性を飛ばしたのは初めてだった。
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