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piece3 明確な悪意
あの人にとっての『持ち駒』
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「……つうかさぁ。なんか……カンナ先輩の話と、違くね?」
その様子を見た男子生徒の1人が、首を傾げた。
「うん……オレも思った」
男子生徒たちが、しん、と静まりかえる。
「……あの、さあ」
遠慮がちに、男子生徒が悠里に声を掛けてくる。
「もしかして、カレシ募集なんか、してない?」
悠里は涙に潤んだ瞳を上げ、必死に頷く。
男子生徒たちが、顔を見合わせた。
「……ほら、やっぱり。これ、ガチで嫌がってるよ」
「うわぁ、マジかあ……」
はじめの面白がるような空気は消え、代わりに戸惑いと後悔の念が、彼らから漂ってくる。
気まずそうにしながら、1人の男子生徒が話し始めた。
「いや。オレたち、カンナ先輩に、すごいカレシ欲しがってる後輩がいるって。その子、Mっ気あるから嫌がる振りするけど、実は喜んでるから、グイグイ行ってやれって言われたんだよね」
同調するように、他の男子生徒も頷く。
「なんか……ごめんね」
風向きが変わったことを理解し、悠里の頭も少し冷えてくる。
悠里は唇を噛んで涙を押し込み、じっと男子生徒たちを見上げた。
彼らは一様に、不満を零す。
「何これ、全然話が違うじゃん」
「つうかカンナ先輩、普通にヒドくない? さっきこの子のこと、思いっきし突き飛ばしてたよな」
「マジだよ。ケガさせちゃってるし。ちょっとヤバいね、あの人」
「……いや、あの人がちょっとオカシイのは同意だけど、」
1人の男子生徒が、悠里に頭を下げた。
「オレらがもうちょい早く、様子が変だって気づけたら。ケガさせないで済んだよね……ごめんなさい」
彼の言葉に男子生徒たちは頷き、同じように頭を下げた。
「すいませんでした」
悠里はぎゅっと唇を噛んだまま、無理やりに笑顔を作る。
「いいえ。皆さんのせいじゃないですから」
そうして立ち上がり、男子生徒たちを見回した。
「それよりも、先生に見つかる前に、行ってください」
「あ、うん。……ホントにごめん」
男子生徒たちは、大人しく西門の外に出ていく。
「それじゃあ……」
最後に会釈をしてくれた男子生徒に、悠里はひとつだけ問いかけた。
「あの……さっき、カンナ先輩って仰ってましたけど……皆さんも、バスケ部の関係者ですか?」
「え? ああ、違うよ」
男子生徒は首を横に振った。
「確かに知り合うキッカケは、バスケ部の友だちからの紹介だけどね。オレたち自体は、バスケ部とは何の繋がりもないよ」
「そうですか」
少しだけ、ホッとした。
バスケ部ではない、現在1年生の彼らが、学年がひとつ上の剛士と知り合いである可能性は低いだろう。
「……カンナ先輩ってさ。随分前にバスケ部を辞めてるらしいから、関係者との繋がりは少ないと思うけど、」
男子生徒が小声で言った。
「オレたちみたいに、紹介で知り合った男は、たくさんいると思う。顔は広いよ、あの人。人望があるとは言わないけどね」
悠里は、男子生徒の言葉を耳に刻み込んだ。
初めて会ったときから鳴り続ける警鐘は、止むどころか大きくなるばかりだ。
「オレたちはもう、あの人に関わらない。けど、あの人にとっての『持ち駒』は、多分いっぱいいる。気をつけた方がいいよ」
「……はい」
男子生徒は、心配そうな顔をしながらも、会釈をして今度こそ去っていく。
悠里も静かに西門を閉め、逃げるように学校を後にした。
その様子を見た男子生徒の1人が、首を傾げた。
「うん……オレも思った」
男子生徒たちが、しん、と静まりかえる。
「……あの、さあ」
遠慮がちに、男子生徒が悠里に声を掛けてくる。
「もしかして、カレシ募集なんか、してない?」
悠里は涙に潤んだ瞳を上げ、必死に頷く。
男子生徒たちが、顔を見合わせた。
「……ほら、やっぱり。これ、ガチで嫌がってるよ」
「うわぁ、マジかあ……」
はじめの面白がるような空気は消え、代わりに戸惑いと後悔の念が、彼らから漂ってくる。
気まずそうにしながら、1人の男子生徒が話し始めた。
「いや。オレたち、カンナ先輩に、すごいカレシ欲しがってる後輩がいるって。その子、Mっ気あるから嫌がる振りするけど、実は喜んでるから、グイグイ行ってやれって言われたんだよね」
同調するように、他の男子生徒も頷く。
「なんか……ごめんね」
風向きが変わったことを理解し、悠里の頭も少し冷えてくる。
悠里は唇を噛んで涙を押し込み、じっと男子生徒たちを見上げた。
彼らは一様に、不満を零す。
「何これ、全然話が違うじゃん」
「つうかカンナ先輩、普通にヒドくない? さっきこの子のこと、思いっきし突き飛ばしてたよな」
「マジだよ。ケガさせちゃってるし。ちょっとヤバいね、あの人」
「……いや、あの人がちょっとオカシイのは同意だけど、」
1人の男子生徒が、悠里に頭を下げた。
「オレらがもうちょい早く、様子が変だって気づけたら。ケガさせないで済んだよね……ごめんなさい」
彼の言葉に男子生徒たちは頷き、同じように頭を下げた。
「すいませんでした」
悠里はぎゅっと唇を噛んだまま、無理やりに笑顔を作る。
「いいえ。皆さんのせいじゃないですから」
そうして立ち上がり、男子生徒たちを見回した。
「それよりも、先生に見つかる前に、行ってください」
「あ、うん。……ホントにごめん」
男子生徒たちは、大人しく西門の外に出ていく。
「それじゃあ……」
最後に会釈をしてくれた男子生徒に、悠里はひとつだけ問いかけた。
「あの……さっき、カンナ先輩って仰ってましたけど……皆さんも、バスケ部の関係者ですか?」
「え? ああ、違うよ」
男子生徒は首を横に振った。
「確かに知り合うキッカケは、バスケ部の友だちからの紹介だけどね。オレたち自体は、バスケ部とは何の繋がりもないよ」
「そうですか」
少しだけ、ホッとした。
バスケ部ではない、現在1年生の彼らが、学年がひとつ上の剛士と知り合いである可能性は低いだろう。
「……カンナ先輩ってさ。随分前にバスケ部を辞めてるらしいから、関係者との繋がりは少ないと思うけど、」
男子生徒が小声で言った。
「オレたちみたいに、紹介で知り合った男は、たくさんいると思う。顔は広いよ、あの人。人望があるとは言わないけどね」
悠里は、男子生徒の言葉を耳に刻み込んだ。
初めて会ったときから鳴り続ける警鐘は、止むどころか大きくなるばかりだ。
「オレたちはもう、あの人に関わらない。けど、あの人にとっての『持ち駒』は、多分いっぱいいる。気をつけた方がいいよ」
「……はい」
男子生徒は、心配そうな顔をしながらも、会釈をして今度こそ去っていく。
悠里も静かに西門を閉め、逃げるように学校を後にした。
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