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piece5 悠里の戦い
メモ書き
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月曜日の朝、靴箱を見ると、メモ書きが入っていた。
差出人は、見なくてもわかる。
悠里は唇を噛み、くしゃりとメモ書きを手の中で丸めた。
内容を確認するつもりはなかった。
土曜日に剛士の口から聞いた、エリカとの対話。
そして、悠里自身が見た、エリカの花束のような美しい笑顔。
カンナの一連の行動は、エリカの意志とは無関係だと、悠里は確信した。
カンナは、独断で悠里に接触している。
そして、エリカに気持ちを確認することなく、彼女に過去を取り戻させようとしている――
悠里は、カンナが自分にフォトブックを見せつけたときに言った言葉を思い返した。
『私とエリカは親友だから。言われなくたって、エリカのために動いてあげるのは、当然』
あのときのカンナの薄い微笑みが脳裏をよぎり、ゾクリと胸が震える。
カンナは、エリカの現在の恋人とも面識があるはずだ。
しかし彼女は、エリカの恋人に対して、良い印象を抱いていない。
それどころか、エリカと恋人の破局を望んでいるということだ。
『剛士くんの先輩と浮気した女だって、結果だけ見て責められるけどさ。何度も何度も言い寄ってきたのは、先輩の方だから。エリカは悪くない』
吐き捨てるように言ったカンナの刺々しい声は、今でも耳にこびりついている。
カンナにとっては、エリカの現在の恋人は、周囲からエリカが責められるようになった原因。
エリカと剛士を別れさせた諸悪の根源、という認識なのだろう。
あのときのカンナの声からは、エリカの恋人に対する憎しみすら感じられた。
カンナの中では、今の恋人はエリカに相応しくない。
エリカに似合うのは剛士で、彼との関係を取り戻すことがエリカの幸せであると、本気で考えているのだ。
エリカに、何の相談もせずに。
それが、エリカのためであると。
親友である自分がやるべきことであると、カンナは信じて疑わないのだ。
わからない。カンナの考え方が。
そこまで思い詰める原因は、一体何なのだろうか。
彼女がエリカの親友だから、という理屈だけでは、片付かない気がする。
何故、エリカと話すことなく、ひとりで暴走しているのだろう。
カンナの語る言葉が全て、過去を振り返るものであることも、それに関係している気がするが――
わからない。
悠里は力なく、溜め息をついた。
本当は、カンナについて、エリカに話を聞いてみたい。
しかし、いま自分から彼女に接触することは躊躇われた。
カンナを刺激して、火に油を注ぐ結果になるかも知れない。
彩奈の言う通り、トラブルを抱え込むことになるかも知れない。
何より、エリカを通して、剛士に話が伝わってしまうかも知れない――
そう思うと、エリカを訪ねるわけにはいかなかった。
もう一度、悠里は少しでも不安を和らげるために、長い溜め息をついた。
いずれにせよ、自分はもうカンナの言葉に、惑わされてはいけない。
剛士に、心配をかけてはいけない。
そのためには何とか、彼女と関わらないようにしなくては――
差出人は、見なくてもわかる。
悠里は唇を噛み、くしゃりとメモ書きを手の中で丸めた。
内容を確認するつもりはなかった。
土曜日に剛士の口から聞いた、エリカとの対話。
そして、悠里自身が見た、エリカの花束のような美しい笑顔。
カンナの一連の行動は、エリカの意志とは無関係だと、悠里は確信した。
カンナは、独断で悠里に接触している。
そして、エリカに気持ちを確認することなく、彼女に過去を取り戻させようとしている――
悠里は、カンナが自分にフォトブックを見せつけたときに言った言葉を思い返した。
『私とエリカは親友だから。言われなくたって、エリカのために動いてあげるのは、当然』
あのときのカンナの薄い微笑みが脳裏をよぎり、ゾクリと胸が震える。
カンナは、エリカの現在の恋人とも面識があるはずだ。
しかし彼女は、エリカの恋人に対して、良い印象を抱いていない。
それどころか、エリカと恋人の破局を望んでいるということだ。
『剛士くんの先輩と浮気した女だって、結果だけ見て責められるけどさ。何度も何度も言い寄ってきたのは、先輩の方だから。エリカは悪くない』
吐き捨てるように言ったカンナの刺々しい声は、今でも耳にこびりついている。
カンナにとっては、エリカの現在の恋人は、周囲からエリカが責められるようになった原因。
エリカと剛士を別れさせた諸悪の根源、という認識なのだろう。
あのときのカンナの声からは、エリカの恋人に対する憎しみすら感じられた。
カンナの中では、今の恋人はエリカに相応しくない。
エリカに似合うのは剛士で、彼との関係を取り戻すことがエリカの幸せであると、本気で考えているのだ。
エリカに、何の相談もせずに。
それが、エリカのためであると。
親友である自分がやるべきことであると、カンナは信じて疑わないのだ。
わからない。カンナの考え方が。
そこまで思い詰める原因は、一体何なのだろうか。
彼女がエリカの親友だから、という理屈だけでは、片付かない気がする。
何故、エリカと話すことなく、ひとりで暴走しているのだろう。
カンナの語る言葉が全て、過去を振り返るものであることも、それに関係している気がするが――
わからない。
悠里は力なく、溜め息をついた。
本当は、カンナについて、エリカに話を聞いてみたい。
しかし、いま自分から彼女に接触することは躊躇われた。
カンナを刺激して、火に油を注ぐ結果になるかも知れない。
彩奈の言う通り、トラブルを抱え込むことになるかも知れない。
何より、エリカを通して、剛士に話が伝わってしまうかも知れない――
そう思うと、エリカを訪ねるわけにはいかなかった。
もう一度、悠里は少しでも不安を和らげるために、長い溜め息をついた。
いずれにせよ、自分はもうカンナの言葉に、惑わされてはいけない。
剛士に、心配をかけてはいけない。
そのためには何とか、彼女と関わらないようにしなくては――
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