#秒恋4 恋の試練は元カノじゃなくて、元カノの親友だった件。

ReN

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piece7 卒業式、前日

バスケ部の2人組

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翌日は、金曜日に行う卒業式の準備で、学内が湧き立っていた。
悠里はその中をひとり、すり抜けるようにしながら教室に向かう。


「橘さん!」
隣のクラスを通りかかったときだった。
聞き覚えのない声で苗字を呼ばれ、悠里の胸に緊張が走る。

身を固くしながら振り返ると、そこには笑みを浮かべた2人組がいた。
隣のクラスの人で、今まで特に話をした記憶はない。

しかし、この2人は確か――


「ねえねえ、橘さん!」
思考がまとまる前に、更に声を掛けられ、悠里は慌てて笑顔を繕う。
2人組は、ニコニコと悠里の顔を覗き込んだ。

「昨日、先に帰っちゃったんだね!」
「……え?」
問いかけの意味がわからず、悠里は目を瞬かせた。

2人組の笑みが大きくなった。
「カンナ会だよ、カンナ会! 昨日、カラオケにいたんでしょ?」

思いがけず飛び出した名前に、反射的に身体が竦んだ。
しかし、2人は悠里の反応を気に留めることなく、楽しげに話し続ける。

「ウチらも昨日、カンナ先輩からお誘い貰ってね? 部活を早退けして、急いで行ったんだけど、もう橘さん帰った後だったー」

「そうそう! 行ったらなんか、カンナ先輩と、勇誠の人2人しかいなくて! あれ?もっと人いるはずじゃなかったっけ?って」
ケラケラと、2人組は明るく笑い出した。


悠里は唇を噛み、2人の顔を見つめた。
――そうだ。
この人たち、バスケ部だ……

「でも橘さん、カンナ先輩と仲良かったんだね? なんか意外!」
「あ……いいえ、そういうわけじゃ……」
何とも説明のしようがなく、悠里は口籠もる。

「カンナ会に招待されたってことは、橘さんもカレシ募集中だ! よろしくねー!」
悠里は2人を見つめ、躊躇いがちに問いかけた。
「あの……カンナ会って……?」

2人は一瞬、顔を見合わせ、笑い出した。
「カンナ会はカンナ会だよー! 他校男子とのミーティングみたいなもん!」
「まあ、ぶっちゃけて言えば、合コンだよね!」
楽しげに2人は肩を叩き合い、また大きな声で笑った。

「カンナ先輩、勇誠とか、いろんなガッコに知り合いがいるからさあ。定期的に、ウチらバスケ部女子のために、そういう会を開いてくれてんの!」

「そうそう! やっぱウチら女子校だからさ! そういう人がいてくんないと、カレシゲットできないよねー!」
2人は矢継ぎ早に、悠里に向かって語った。

「カンナ先輩、バスケ部辞めた後も、こうやって面倒見てくれて助かるよー!」
「……そうなんだね」
悠里は困ったように眉を下げながら、曖昧な相槌を打つ。
「そうそう!カンナ先輩サマサマ!マジ頼りになるー!」


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