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piece8 ずっと話したかった
縋ってしまった
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エリカは現在の恋人の名を口にした。
剛士のバスケ部の先輩であり、当時の関係性で言えば――浮気相手だ。
悠里は思わず、唇を噛んだ。
しかし、エリカが自分に、過去の気持ちを告白したがっているのなら。
しっかりと、聞いてあげたい。
悠里はエリカの目を見つめ返し、続きを促すように微かに頷いてみせた。
エリカは悲しい、けれど少しだけホッとしたような微笑を浮かべ、言葉を紡ぎ出す。
「高木さんに話したら、私すごい、楽になっちゃったんだ。ああ、自分の気持ちを正直に話せるのって。弱いところを見せられるって、いいなあって。すごく実感した」
冷たい風が吹いて、エリカは一瞬身を震わせると、体育座りをした脚を抱え直した。
「……剛士にはできなかったこと。高木さんには、できてしまった」
エリカは自分の膝に目を落とし、心なしか低い声で呟いた。
「けど……剛士のことが好きな気持ちも、当時の自分のなかでは、本心で」
ぎゅっと、彼女は膝を抱えた腕に力を込める。
エリカは自分の腕の中に顔をうずめ、懺悔した。
「私は、剛士の手を離さないまま、高木さんに縋ってしまった」
くしゃくしゃっと、パーマがかったショートヘアを指で掻き混ぜる。
そうしてエリカは、視線を悠里に向けた。
「高木さんは、私の贅沢な悩みを聞いたとき、一生懸命に剛士をフォローしてくれたの。『剛士は、カッコいい彼氏でいられるように、私のために、がんばってるんだよ』って」
エリカの声が、大罪を告白する痛みに震えた。
「高木さんは、『辛いときは俺にグチっていいから。エリカが弱ったときは、俺が支えるから。剛士のこと、信じてやれ』って。一生懸命、励ましてくれたんだ」
エリカが眉を顰め、唇をへの字に曲げた。
「私ね。正直に気持ちを話すことができて、受け止めてくれる高木さんに……好きって。言っちゃったの」
彼女の綺麗な目から、ぽろっと、一筋の涙が零れ落ちた。
「そしたら高木さんも、本当は自分も、ずっと好きだったって答えてくれた。その瞬間、もう何にも考えられなくなって。私は高木さんに、飛び込んでしまったんだ」
エリカは涙を振り払おうとするように、不器用な微笑みを作った。
「それが、去年の卒業式の日」
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悠里は思わず、唇を噛んだ。
しかし、エリカが自分に、過去の気持ちを告白したがっているのなら。
しっかりと、聞いてあげたい。
悠里はエリカの目を見つめ返し、続きを促すように微かに頷いてみせた。
エリカは悲しい、けれど少しだけホッとしたような微笑を浮かべ、言葉を紡ぎ出す。
「高木さんに話したら、私すごい、楽になっちゃったんだ。ああ、自分の気持ちを正直に話せるのって。弱いところを見せられるって、いいなあって。すごく実感した」
冷たい風が吹いて、エリカは一瞬身を震わせると、体育座りをした脚を抱え直した。
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「けど……剛士のことが好きな気持ちも、当時の自分のなかでは、本心で」
ぎゅっと、彼女は膝を抱えた腕に力を込める。
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「私は、剛士の手を離さないまま、高木さんに縋ってしまった」
くしゃくしゃっと、パーマがかったショートヘアを指で掻き混ぜる。
そうしてエリカは、視線を悠里に向けた。
「高木さんは、私の贅沢な悩みを聞いたとき、一生懸命に剛士をフォローしてくれたの。『剛士は、カッコいい彼氏でいられるように、私のために、がんばってるんだよ』って」
エリカの声が、大罪を告白する痛みに震えた。
「高木さんは、『辛いときは俺にグチっていいから。エリカが弱ったときは、俺が支えるから。剛士のこと、信じてやれ』って。一生懸命、励ましてくれたんだ」
エリカが眉を顰め、唇をへの字に曲げた。
「私ね。正直に気持ちを話すことができて、受け止めてくれる高木さんに……好きって。言っちゃったの」
彼女の綺麗な目から、ぽろっと、一筋の涙が零れ落ちた。
「そしたら高木さんも、本当は自分も、ずっと好きだったって答えてくれた。その瞬間、もう何にも考えられなくなって。私は高木さんに、飛び込んでしまったんだ」
エリカは涙を振り払おうとするように、不器用な微笑みを作った。
「それが、去年の卒業式の日」
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