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第二章
運の使い道…①
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「それに僕は何もできないし…」
随分とネガティブな人ね。
運を司る釜の量も少ない。
マードリックとか言うあの男に長い間、痛めつけられていたせいかしら?
「何をおっしゃいます。あの男から逃げる事も出来たのに、そうなさらなかったではありませんか?」
「それはトーマスが一緒に行かないというから…」
「当然です。ここはシエリーの一族の繁栄の象徴。貴方様の亡きお父上も取り戻す事を悲願とされていた。そんな場所を離れるわけにはいきませんから」
なんなの。このお涙頂戴劇は…。
古い物ばかりに縛られて自分達の幸せをおろそかにして、どうするのかしら?
同じシエリーの名を持っていたカトリシア様とは真逆だわ。
でも、そういう物に価値を見いだす人もいるのだろう。
私には理解できないけれど…それを否定するほど傲慢ではない。
「貴方が何を言おうが、やっぱり、このホテルの権利書はアダム様が持つべきです」
「だから、それは…」
「理由はどうであれ、貴方はここにとどまっていたのは愛着があるからでしょう?もう一度、ホテルでもやってみたらいかがです?」
「ホテルを?僕に経営は…」
自身がない人間には誰かが背中をおしてあげるのがきっと一番いいのだ。
「やるだけやればいいんですわ。そもそも、失う物はないでしょう!ずっと、虐げられてきたんですから。違います?」
そう言えば、迷いがあるようにアダムの視線が泳いだ。
「やりましょう。貴方はアダム…アダム・シエリーであられるのですから」
「トーマス…」
「シエリーの名が帝国中にとどろいていたあの頃の再現とまでは言いませんが…。これはチャンスです」
「チャンス…」
アダムの目が輝きだした気がした。
「再びホテル事業に乗り出すのはどうかと思うが…、マンションにするのはどうだろう?いや、ホテルとマンション、どちらも可能なシステムに…」
「どうやら、アダム様にも少しながらヴィジョンがあるようですね」
「アダムで良い。君もシエリーなんだろう?なら、親戚になるじゃないか!えっと…」
「そうね。じゃあ、私もシアで構わないわ」
「では、権利書はシアが持っていてくれ」
「あら、どうして?」
「あくまでオーナーは君だから。もし、成功して利益がでれば、君にもお金が入るだろう」
「私、お金は持っている方だから必要ないのだけれど…」
結構な額を賭けで仕入れたしね。
「それでは、僕の気が済まないんだ」
「まだ成功もしていないのに…」
「そうだね。すまない」
必要以上に肩をすくめるアダムに言葉の配慮が足りなかったかもしれないと思った。
「かしこまらないでよ。アダムを奴隷のように扱っていた人間はいなくなったんだもの」
「私達は対等よ。その申し出を受け入れるわ」
「ありがとう」
「それと、マンションにするって言うなら、部屋の一つを貸してちょうだい。私、しばらく皇都にいる予定だから…」
「構わない。いつまでもいてくれて。トーマス。お前はシアの身の回りの世話をしてくれ」
「かしこまりました。アダム様」
「気を回さないでください」
そもそもシエリーの名前は借り物。そんなに多用するのは…。
「お任せください。私はシエリー家に長らくお仕えしておりますトーマス・ダイでございます。シアお嬢様。アダム様と同様に貴女様にお仕えいたします」
圧がすごくて言い返せない。
「わっ分かりました。では、よろしくお願いいたします」
「私にもフランクにお話してくださって構いませんよ?」
「そっそう…。じゃあ、よろしく」
「では、部屋までお送りいたしますね。シア様」
随分とネガティブな人ね。
運を司る釜の量も少ない。
マードリックとか言うあの男に長い間、痛めつけられていたせいかしら?
「何をおっしゃいます。あの男から逃げる事も出来たのに、そうなさらなかったではありませんか?」
「それはトーマスが一緒に行かないというから…」
「当然です。ここはシエリーの一族の繁栄の象徴。貴方様の亡きお父上も取り戻す事を悲願とされていた。そんな場所を離れるわけにはいきませんから」
なんなの。このお涙頂戴劇は…。
古い物ばかりに縛られて自分達の幸せをおろそかにして、どうするのかしら?
同じシエリーの名を持っていたカトリシア様とは真逆だわ。
でも、そういう物に価値を見いだす人もいるのだろう。
私には理解できないけれど…それを否定するほど傲慢ではない。
「貴方が何を言おうが、やっぱり、このホテルの権利書はアダム様が持つべきです」
「だから、それは…」
「理由はどうであれ、貴方はここにとどまっていたのは愛着があるからでしょう?もう一度、ホテルでもやってみたらいかがです?」
「ホテルを?僕に経営は…」
自身がない人間には誰かが背中をおしてあげるのがきっと一番いいのだ。
「やるだけやればいいんですわ。そもそも、失う物はないでしょう!ずっと、虐げられてきたんですから。違います?」
そう言えば、迷いがあるようにアダムの視線が泳いだ。
「やりましょう。貴方はアダム…アダム・シエリーであられるのですから」
「トーマス…」
「シエリーの名が帝国中にとどろいていたあの頃の再現とまでは言いませんが…。これはチャンスです」
「チャンス…」
アダムの目が輝きだした気がした。
「再びホテル事業に乗り出すのはどうかと思うが…、マンションにするのはどうだろう?いや、ホテルとマンション、どちらも可能なシステムに…」
「どうやら、アダム様にも少しながらヴィジョンがあるようですね」
「アダムで良い。君もシエリーなんだろう?なら、親戚になるじゃないか!えっと…」
「そうね。じゃあ、私もシアで構わないわ」
「では、権利書はシアが持っていてくれ」
「あら、どうして?」
「あくまでオーナーは君だから。もし、成功して利益がでれば、君にもお金が入るだろう」
「私、お金は持っている方だから必要ないのだけれど…」
結構な額を賭けで仕入れたしね。
「それでは、僕の気が済まないんだ」
「まだ成功もしていないのに…」
「そうだね。すまない」
必要以上に肩をすくめるアダムに言葉の配慮が足りなかったかもしれないと思った。
「かしこまらないでよ。アダムを奴隷のように扱っていた人間はいなくなったんだもの」
「私達は対等よ。その申し出を受け入れるわ」
「ありがとう」
「それと、マンションにするって言うなら、部屋の一つを貸してちょうだい。私、しばらく皇都にいる予定だから…」
「構わない。いつまでもいてくれて。トーマス。お前はシアの身の回りの世話をしてくれ」
「かしこまりました。アダム様」
「気を回さないでください」
そもそもシエリーの名前は借り物。そんなに多用するのは…。
「お任せください。私はシエリー家に長らくお仕えしておりますトーマス・ダイでございます。シアお嬢様。アダム様と同様に貴女様にお仕えいたします」
圧がすごくて言い返せない。
「わっ分かりました。では、よろしくお願いいたします」
「私にもフランクにお話してくださって構いませんよ?」
「そっそう…。じゃあ、よろしく」
「では、部屋までお送りいたしますね。シア様」
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