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第13話 猫好きとしての責任です
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射殺さんばかりに睨みつけている部長にも動じることのない妹尾の天然ぶりには感服すらする。
彼は係長を胸に抱いて、にこにこと天使のごとく笑顔を湛えていた。
一触即発。
いつ、なんどき、酒井部長が妹尾に殴りかかってもおかしくない状況に俺はごくりと生唾を飲みこむ。
「妹尾君。その子猫は……なんだね?」
俺の胸ぐらを掴む部長の手がふるふると小刻みに震えている。
少しばかり声も上ずっている。
最悪だ。
部長の怒りをさらに増長させてしまっている。
当たり前か。
会社に猫を連れてくるなんて許されるようなことではない。
たとえば死に瀕している状態で、どうしても保護が必要であるという状況であったとしても、上司の許可なく連れてくるなんてもってのほかだ。
いや、俺が許可を出してはいるのだけど、所詮は課長職。
その上の許可が必要なのは変わらない。
「係長です」
妹尾はハッキリと告げた。部長の声がますます震える。
「どうして係長はここにいるんだね?」
「ぼくが連れてきました。捨てられていたのを放っておけなくて」
妹尾が八の字に眉尻を下げて小さく笑った。
傷心のヒロインような切ないほほ笑みを湛えた彼が係長の顎の下を撫でると、係長は指先に顔をこすりつけて目を細めた。
その光景に俺の心臓が激しく波打った。
ああ、今すぐぎゅうっと抱きしめたくなる――
とか妄想の世界に引っ張られている場合ではない。
部長の手から力が抜ける。
俺の胸ぐらから離れた部長の手がまっすぐに妹尾に伸びる。
その肩は先ほどよりも大きく揺れている。
怒りが頂点に達したのだろう。
まずい。
非常事態だ。
このままでは妹尾も、係長も無事では済まないかもしれない。
「部長!」
部長の手が妹尾――ではなく、係長に触れる。
それも非常に優しいタッチで。
「そうでちゅかあ。君は捨てられちゃってたんですかあ」
突如、部長から発せられた赤ちゃん言葉に目を白黒させたのは俺だけではあるまい。
部屋の空気が違う意味で凍ってしまう。
決して暖房が効いていないからという理由だけではない。
部長が身を屈めて、係長の顎の下や耳の後ろを撫でる。
慣れている。
猫の扱いにものすごく慣れている――と初心者の俺の目から見てもわかる扱いぶりだ。
「この子の大きさだと二カ月から三ヵ月くらいというところだねえ。よくぞ保護してくれた、妹尾君」
「野良猫を保護するのは猫好きとしての責任だと思っていますから」
ほんわかとした空気が部長と妹尾から発せられている。
二人のいる場所だけ温度が違う。
先ほどの剣幕がウソのように部長はニコニコ、いや、デレデレしている。
妹尾から係長を受け取って、その腕に抱いた彼は仏の面持ちになっている。
「ぶ……部長は猫が好きだったんですね」
おずおずと二人に話しかける。
部長は下げられるところまで思いっきり目尻を下げて「知らなかったのか」というように俺を見た。
「部長は駅前にある『ねこねこふぁんたじあ』という猫カフェに週四で通うほどの猫スキーさんですよ」
部長の隣に立つ妹尾が胸を張って答える。
猫カフェの名前があまりにも部長に似つかわしくなくて、どういうリアクションをしていいのか悩んでしまう。
それどころか週四で通っているというのもショッキング。
人は見た目で判断できないを絵で描いている。
あと、猫好きを『猫スキー』と呼ぶのは業界用語なのかというツッコミも飲みこんだ。
「まったくう。子猫を保護したんなら、なんで俺に最初に報告しないんだよお、妹尾ぉ」
「すみません、部長。LINEにメッセージを入れようかと思ったんですが、心配をおかけしたくなくて。部長なら、この子が心配できっと出張やめてしまわれるかなと思ったんです」
部長と妹尾の会話に口が半開きになる。
部長とLINEでやりとりするまでの仲だったとは――そう思った瞬間、ぎゅうっと胸が押しつぶされるような痛みが走る。
息が苦しい。
なんだ、これは。
発作?
狭心症?
部長と妹尾の仲睦まじい姿を見るだけで胸が苦しくてたまらない。
「ところで、この子はどうする気でいるんだね? 居所がないのなら、うちで面倒をみるが?」
「いえ、それには及びません。この子は課長が育ててくださるので」
「なに? 小宮山君が?」
部長と妹尾が揃って俺を見る。
「小宮山君、大丈夫か? 息づかいが荒いぞ?」
「本当ですね。心なしか顔も赤らんでいらっしゃいます。インフルエンザですか?」
「い、いえ。なんでもありません。なんでも」
呼吸を整えて、俺は背筋を伸ばした。
いくらなんでも、部長と妹尾が一線を越えているとは思えない。
そうだ。
彼らは単なる猫好き仲間であって、そういう関係性ではない――と思いたい。
「小宮山君」
落ち着いたところで部長が再び俺を呼んだ。
ゆっくりと近づいて来ると、俺の胸元を直し「悪かったな」と頭を下げた。
部長のバーコードのように薄い毛の合間から、ツヤツヤの頭皮が見える。
頭をあげた部長は俺のデスクの上のグッズやその後ろのケージを見てから、妹尾を見た。
「今後も会社に連れてくるのかね?」
「はい。課長のマンションは動物飼育が禁止されているので、当面はこちらがいいかと。係長がいることで、課長のストレスの軽減にもなりますし」
さらりと猫の有用性を説明する。
同じ猫好きであるがゆえに、それだけで部長はうんうんと大きくうなずいた。
「小さいうちはなるべく親がそばにいたほうがいいからな。ナイスアイデアだ、妹尾君」
部長から二つ返事で許可が出る。
いや、稟議書上げなくて本当にいいのだろうか。
最初に許可をというか、押し切られて許可を出さざるを得なかったのは俺自身だが、本当にこれでいいのか、大丈夫なのかと不安でならない。
そんな俺の思いが伝わったのか。
部長がくるりとこちらに向き直った。
「上には俺が報告しよう。君はとにかくこの子をしっかり育てなさい」
「は、はい」
部長が上に掛け合ってくれるなら、喜んで世話をしよう。
実際、係長はかわいい。
このまま世話を続ければ、妹尾との時間も増えるわけだし……
って、俺はなにを考えている!
今のなし。
純粋に係長との暮らしを楽しみたいだけだ。
妹尾との暮らしじゃない、断じて。
コホンという咳払いでハッと我に返る。
部長が俺を神妙な面持ちで見上げていた。
背筋を伸ばしてニコリと笑みを作る。
やましい思いを抱いたのを見抜かれないように。
まったく、俺はなにをしているんだか。
「あの、部長。そろそろ業務に」
このまま何事もなかったことにしようとデスクに体を向けようとしたが、それは許されなかった。
「小宮山君。この子の面倒を見てくれることと、専務の娘さんのことはまた別の話だぞ」
「そ、そうですね」
部長の声のトーンが入ってきたときよりもかなり穏やかに変化したのは幸いだ。
係長に感謝しかない。
これならきちんと説明できる。
部屋の空気も和やかだ。
エアコンの暖房もようやく効いてきて、さらに話しやすい雰囲気になっている。
チャンスだ。
昨日のことは事故だと話そう。
なんなら、その子を守るためだったとつけ加えよう。
「そのことなんですが、部長。実はそれには大きな誤解がありまして」
部長に昨日のいきさつを説明しようとした、まさにそのとき、部屋の扉がまたしても大きな音を立てて開いた。
驚いて音のしたほうを見た全員が一斉に息を飲みこんだ。
開けっ放しの扉から冷気がひゅうるりと流れてくる。
つま先がその風によって一気に冷やされる――そんな感覚に襲われた。
「どうしたんだね、小宮山君。続きを話したまえ」
ツカツカと歩み寄ってくる人物に全身の毛がブワッと逆立った。
ロマンスグレーの髪の毛をオールバックにして固めた痩身の男性。
見間違えるはずもない。
その人物こそ、噂の遠藤専務だったからだ。
部長は慌てて係長を妹尾に渡すと、専務に椅子を持ってきた。
部長の用意した椅子にどっかりと腰を預けた専務は俺を見上げながら腕を組む。
威圧的なオーラが専務から放たれている。
世紀末覇者と対峙した雑魚キャラのごとく、俺は身を小さく屈めた。
「娘が君に辱めを受けたと泣いて私に訴えたこと。きちんと説明してもらおうかね」
阿修羅のごとき形相で睨む専務を前に、心の中で俺は大きくため息を吐いた。
そして今度こそ神様に懇願した。
どうか、妹尾が余計なことを言わないように――と本当に土下座して頼みこんだのだった。
彼は係長を胸に抱いて、にこにこと天使のごとく笑顔を湛えていた。
一触即発。
いつ、なんどき、酒井部長が妹尾に殴りかかってもおかしくない状況に俺はごくりと生唾を飲みこむ。
「妹尾君。その子猫は……なんだね?」
俺の胸ぐらを掴む部長の手がふるふると小刻みに震えている。
少しばかり声も上ずっている。
最悪だ。
部長の怒りをさらに増長させてしまっている。
当たり前か。
会社に猫を連れてくるなんて許されるようなことではない。
たとえば死に瀕している状態で、どうしても保護が必要であるという状況であったとしても、上司の許可なく連れてくるなんてもってのほかだ。
いや、俺が許可を出してはいるのだけど、所詮は課長職。
その上の許可が必要なのは変わらない。
「係長です」
妹尾はハッキリと告げた。部長の声がますます震える。
「どうして係長はここにいるんだね?」
「ぼくが連れてきました。捨てられていたのを放っておけなくて」
妹尾が八の字に眉尻を下げて小さく笑った。
傷心のヒロインような切ないほほ笑みを湛えた彼が係長の顎の下を撫でると、係長は指先に顔をこすりつけて目を細めた。
その光景に俺の心臓が激しく波打った。
ああ、今すぐぎゅうっと抱きしめたくなる――
とか妄想の世界に引っ張られている場合ではない。
部長の手から力が抜ける。
俺の胸ぐらから離れた部長の手がまっすぐに妹尾に伸びる。
その肩は先ほどよりも大きく揺れている。
怒りが頂点に達したのだろう。
まずい。
非常事態だ。
このままでは妹尾も、係長も無事では済まないかもしれない。
「部長!」
部長の手が妹尾――ではなく、係長に触れる。
それも非常に優しいタッチで。
「そうでちゅかあ。君は捨てられちゃってたんですかあ」
突如、部長から発せられた赤ちゃん言葉に目を白黒させたのは俺だけではあるまい。
部屋の空気が違う意味で凍ってしまう。
決して暖房が効いていないからという理由だけではない。
部長が身を屈めて、係長の顎の下や耳の後ろを撫でる。
慣れている。
猫の扱いにものすごく慣れている――と初心者の俺の目から見てもわかる扱いぶりだ。
「この子の大きさだと二カ月から三ヵ月くらいというところだねえ。よくぞ保護してくれた、妹尾君」
「野良猫を保護するのは猫好きとしての責任だと思っていますから」
ほんわかとした空気が部長と妹尾から発せられている。
二人のいる場所だけ温度が違う。
先ほどの剣幕がウソのように部長はニコニコ、いや、デレデレしている。
妹尾から係長を受け取って、その腕に抱いた彼は仏の面持ちになっている。
「ぶ……部長は猫が好きだったんですね」
おずおずと二人に話しかける。
部長は下げられるところまで思いっきり目尻を下げて「知らなかったのか」というように俺を見た。
「部長は駅前にある『ねこねこふぁんたじあ』という猫カフェに週四で通うほどの猫スキーさんですよ」
部長の隣に立つ妹尾が胸を張って答える。
猫カフェの名前があまりにも部長に似つかわしくなくて、どういうリアクションをしていいのか悩んでしまう。
それどころか週四で通っているというのもショッキング。
人は見た目で判断できないを絵で描いている。
あと、猫好きを『猫スキー』と呼ぶのは業界用語なのかというツッコミも飲みこんだ。
「まったくう。子猫を保護したんなら、なんで俺に最初に報告しないんだよお、妹尾ぉ」
「すみません、部長。LINEにメッセージを入れようかと思ったんですが、心配をおかけしたくなくて。部長なら、この子が心配できっと出張やめてしまわれるかなと思ったんです」
部長と妹尾の会話に口が半開きになる。
部長とLINEでやりとりするまでの仲だったとは――そう思った瞬間、ぎゅうっと胸が押しつぶされるような痛みが走る。
息が苦しい。
なんだ、これは。
発作?
狭心症?
部長と妹尾の仲睦まじい姿を見るだけで胸が苦しくてたまらない。
「ところで、この子はどうする気でいるんだね? 居所がないのなら、うちで面倒をみるが?」
「いえ、それには及びません。この子は課長が育ててくださるので」
「なに? 小宮山君が?」
部長と妹尾が揃って俺を見る。
「小宮山君、大丈夫か? 息づかいが荒いぞ?」
「本当ですね。心なしか顔も赤らんでいらっしゃいます。インフルエンザですか?」
「い、いえ。なんでもありません。なんでも」
呼吸を整えて、俺は背筋を伸ばした。
いくらなんでも、部長と妹尾が一線を越えているとは思えない。
そうだ。
彼らは単なる猫好き仲間であって、そういう関係性ではない――と思いたい。
「小宮山君」
落ち着いたところで部長が再び俺を呼んだ。
ゆっくりと近づいて来ると、俺の胸元を直し「悪かったな」と頭を下げた。
部長のバーコードのように薄い毛の合間から、ツヤツヤの頭皮が見える。
頭をあげた部長は俺のデスクの上のグッズやその後ろのケージを見てから、妹尾を見た。
「今後も会社に連れてくるのかね?」
「はい。課長のマンションは動物飼育が禁止されているので、当面はこちらがいいかと。係長がいることで、課長のストレスの軽減にもなりますし」
さらりと猫の有用性を説明する。
同じ猫好きであるがゆえに、それだけで部長はうんうんと大きくうなずいた。
「小さいうちはなるべく親がそばにいたほうがいいからな。ナイスアイデアだ、妹尾君」
部長から二つ返事で許可が出る。
いや、稟議書上げなくて本当にいいのだろうか。
最初に許可をというか、押し切られて許可を出さざるを得なかったのは俺自身だが、本当にこれでいいのか、大丈夫なのかと不安でならない。
そんな俺の思いが伝わったのか。
部長がくるりとこちらに向き直った。
「上には俺が報告しよう。君はとにかくこの子をしっかり育てなさい」
「は、はい」
部長が上に掛け合ってくれるなら、喜んで世話をしよう。
実際、係長はかわいい。
このまま世話を続ければ、妹尾との時間も増えるわけだし……
って、俺はなにを考えている!
今のなし。
純粋に係長との暮らしを楽しみたいだけだ。
妹尾との暮らしじゃない、断じて。
コホンという咳払いでハッと我に返る。
部長が俺を神妙な面持ちで見上げていた。
背筋を伸ばしてニコリと笑みを作る。
やましい思いを抱いたのを見抜かれないように。
まったく、俺はなにをしているんだか。
「あの、部長。そろそろ業務に」
このまま何事もなかったことにしようとデスクに体を向けようとしたが、それは許されなかった。
「小宮山君。この子の面倒を見てくれることと、専務の娘さんのことはまた別の話だぞ」
「そ、そうですね」
部長の声のトーンが入ってきたときよりもかなり穏やかに変化したのは幸いだ。
係長に感謝しかない。
これならきちんと説明できる。
部屋の空気も和やかだ。
エアコンの暖房もようやく効いてきて、さらに話しやすい雰囲気になっている。
チャンスだ。
昨日のことは事故だと話そう。
なんなら、その子を守るためだったとつけ加えよう。
「そのことなんですが、部長。実はそれには大きな誤解がありまして」
部長に昨日のいきさつを説明しようとした、まさにそのとき、部屋の扉がまたしても大きな音を立てて開いた。
驚いて音のしたほうを見た全員が一斉に息を飲みこんだ。
開けっ放しの扉から冷気がひゅうるりと流れてくる。
つま先がその風によって一気に冷やされる――そんな感覚に襲われた。
「どうしたんだね、小宮山君。続きを話したまえ」
ツカツカと歩み寄ってくる人物に全身の毛がブワッと逆立った。
ロマンスグレーの髪の毛をオールバックにして固めた痩身の男性。
見間違えるはずもない。
その人物こそ、噂の遠藤専務だったからだ。
部長は慌てて係長を妹尾に渡すと、専務に椅子を持ってきた。
部長の用意した椅子にどっかりと腰を預けた専務は俺を見上げながら腕を組む。
威圧的なオーラが専務から放たれている。
世紀末覇者と対峙した雑魚キャラのごとく、俺は身を小さく屈めた。
「娘が君に辱めを受けたと泣いて私に訴えたこと。きちんと説明してもらおうかね」
阿修羅のごとき形相で睨む専務を前に、心の中で俺は大きくため息を吐いた。
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