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第二十八話 ひとついいこと、教えてあげる
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美味しいものを食べることがこれほどしあわせな気持ちになれるんだと驚くとともに寂しさを感じた。
倫子と一緒にシティホテルの朝食ビュッフェへ。
和食から洋食から置いてあるものを片っ端から皿に盛り、それを口の中へと頬張りながらこれまでの人生を思い起こす。
一体どんな青春時代だったんだと罵りたくなる衝動を抑えながらも、あまりの寂しさに涙さえ込み上げそうになる。
振り返れば女友達とこうやってを楽しむ機会がほとんどなかった。
誘われた覚えもあまりないし、友達自体が圧倒的に少ないという事実もある。
空手に明け暮れていた日々。
有段者であることは隠して地味で大人しい女子として静かに過ごした高校時代がなつかしい。
大学生になったらデビューするんだと思っていたけれど、女子力の磨き方がわからないまま、とりあえず仲の良いグループには入ったはいいけれど、合コンとか飲み会とかにはあまり縁がなかった。
社会人になって美波と出会ってからはそれなりに誘われるようになったけど、結局男性経験にも女友達にも恵まれていなかったなと――私にほらほらとせっつきながら次々にパンやらカレーやらを持ってきて食べさせる倫子と接して痛感する。
これはお肌にいいだとか、これは疲れた体にいいだとか。
そんなことを口にしながら楽しそうに笑いかけてくれる姿を見ると、これまでの人生ってなんだったんだろうと思えてならない。
倫子からしたら別に普通のことなんだろう。
――だけど。
ふと手がとまる私に倫子は「どうしたの?」と心配そうに顔を覗きこんだ。
「ええっと。なんか女友達とこういうのってしなかったなあと思ったら、なにやってきたんだろうなって思えちゃって」
「友達いたんでしょ?」
「いたっていうか……なんか違ったんですよね」
美波にはよく食事に誘われた。
ランチもだったけれど合コンとか、仕事帰りにちょっとご飯とか。
でもいつも彼女は男性の話題ばかりで、それこそ彼氏がどうとか彼氏以外に誘われてどうとか。
私の付き合っている男はどうとか、もっとイイ男探ししようとか。
たわいのない話で一緒に盛り上がって――ではなくて、ひたすら美波の自慢話を受けとめては褒めちぎっていた――ような印象が強く残っている。
「利用されていたのねえ」
と、私の話を聞いた直後に倫子がそうつぶやいた。
うすうす感じてはいた。
付き合いが長くなれば長くなるほどそうじゃないかなって。
だけど、そうじゃないって否定したかった自分もいた。
合コンも頭数が欲しいから。
引き立て役が欲しかったからだってわかっていた。
合コンに参加するときはがんばってオシャレもしたけれど、美波や美波の友達に比べればずっとシンプルで落ち着いて――まあ、率直に言えば地味だった。
化粧だってうっすらだったし、会話だって気の利いたことは言えなかった。
いつも受け身で、寄ってきた相手にお任せなかんじだったし。
その点、美波はいつも輪の中心だった。
そんな彼女と対等でいたいとすがっていたのかもしれない。
「なんかくだらないですよねえ。自分がかわいい子と一緒の立ち位置でいたいなんて……ベースが違うのに」
「ベースねえ。愛希だってちゃんとメイクすればいい女じゃない?」
「ちゃんとメイクしないといい女じゃないんでしょ?」
「そりゃあ、足りないものが多すぎるもの」
ズバリと倫子は言った。
潔すぎて刺さった棘の痛みすら感じない。
足りないものが多すぎる――倫子から見たらそうだろう。
彼女は生まれ持った性別以外は完璧な女性なのだから。
大きなため息が出てしまう。
どうしたら彼女みたいな女性になれるんだろう?
誰もが見惚れるような女性になれるんだろう?
私はたしかに変身した。
あのCMは本当に自分で見ても自分じゃない。
――でも……あれは特殊メイクだもんな。
藤崎愛希であって藤崎愛希でない、もう一人の『アキ』
「どうしたらアキのまんまでいられるんでしょうね」
「じゃあひとつだけ、いいこと教えてあげる」
俯いて皿の上のフルーツを突く私に、フフフと含み笑いしながら倫子はウィンクした。
「個人情報を聞き出すためにあなたの会社のお友達にリクが近づいたって話は覚えがあるわよね、つい最近の話だもの」
そう言われコクリと首を縦に振る。
確か『甲山貴斗』の情報を聞き出すために美波に近づいたというようなことを言っていた記憶はある。
甲山は美波が主催した合コンで出会った男だったけど……それがなんだというんだろう?
「彼女の口を割らせるためにおもてなしはしたけど、それ以上は断っているからね」
「は?」
「だからリク。おもてなし以上はしてないから」
「えっと……それのどこがいいことなんでしょうか?」
その答えに倫子はクスクス笑って「いいことでしょ?」と答えた。
「気になっていたでしょ? リクがあの子と関係持ったんじゃないかって」
「は?」
「素直じゃないわねえ、愛希は」
「べ……別にアイツが誰とどうなろうと私には関係ないから」
すると倫子はずいっとカットリンゴが刺さったフォークを私の口元に寄せて「ほんとかしら?」とつぶやいた。
「それが嘘だったら毒りんご……たべさせちゃうわよぉ」
そう言って、魔女のような不敵な笑みを浮かべたんだ。
ゴクリと沈黙の中で唾を飲み込む。
倫子はンフフ……と笑ってリンゴをしあわせそうに口に頬張った。
別にアイツが誰とどうなろうが私の知ったことじゃない。
でも、どういうわけか胸がチクチクする。
自分の他に龍空があんな風にキスをするのを考えると、先ほど交わった唇がプルッと震えたような気がした。
気持ち良かった、とろけるように。
疲れた体に染み入る甘いチョコレートのようにじんわりと体中をめぐるような気持ち良さがあった。
それを他の誰かが感じるなんて――それは少しイ……や、考えちゃダメだ。なしなしなし!
「さあ、お腹もいっぱいになったことだし。しっかり買い物しなくちゃねえ」
そう言って倫子はカバンからスマホを取り出すと誰かに電話をかけた。
「そう、私よ。愛希と一緒。うん、そう。今度の合コンの服の買い出し。うん、そうよ。じゃあ、よろしくね」
ほとんど内容らしき内容が伝わらない電話にもかかわらず、通話先の相手とは会話が成立したらしい。
通話を終えた倫子は私の長いストレートのひっつめ髪を軽く掴むと、ニンマリとほほ笑んだ。
「私に全コーデ委ねるわよね?」
「えっと……それに拒否権って……?」
「信じる者は救われる、じゃなくて?」
拒否権なし。
「YES、倫子様」
「YES、愛希ちゃん」
ウキウキと声が弾むオネエサマは、悪魔の笑みをしっかり浮かべた。
倫子と一緒にシティホテルの朝食ビュッフェへ。
和食から洋食から置いてあるものを片っ端から皿に盛り、それを口の中へと頬張りながらこれまでの人生を思い起こす。
一体どんな青春時代だったんだと罵りたくなる衝動を抑えながらも、あまりの寂しさに涙さえ込み上げそうになる。
振り返れば女友達とこうやってを楽しむ機会がほとんどなかった。
誘われた覚えもあまりないし、友達自体が圧倒的に少ないという事実もある。
空手に明け暮れていた日々。
有段者であることは隠して地味で大人しい女子として静かに過ごした高校時代がなつかしい。
大学生になったらデビューするんだと思っていたけれど、女子力の磨き方がわからないまま、とりあえず仲の良いグループには入ったはいいけれど、合コンとか飲み会とかにはあまり縁がなかった。
社会人になって美波と出会ってからはそれなりに誘われるようになったけど、結局男性経験にも女友達にも恵まれていなかったなと――私にほらほらとせっつきながら次々にパンやらカレーやらを持ってきて食べさせる倫子と接して痛感する。
これはお肌にいいだとか、これは疲れた体にいいだとか。
そんなことを口にしながら楽しそうに笑いかけてくれる姿を見ると、これまでの人生ってなんだったんだろうと思えてならない。
倫子からしたら別に普通のことなんだろう。
――だけど。
ふと手がとまる私に倫子は「どうしたの?」と心配そうに顔を覗きこんだ。
「ええっと。なんか女友達とこういうのってしなかったなあと思ったら、なにやってきたんだろうなって思えちゃって」
「友達いたんでしょ?」
「いたっていうか……なんか違ったんですよね」
美波にはよく食事に誘われた。
ランチもだったけれど合コンとか、仕事帰りにちょっとご飯とか。
でもいつも彼女は男性の話題ばかりで、それこそ彼氏がどうとか彼氏以外に誘われてどうとか。
私の付き合っている男はどうとか、もっとイイ男探ししようとか。
たわいのない話で一緒に盛り上がって――ではなくて、ひたすら美波の自慢話を受けとめては褒めちぎっていた――ような印象が強く残っている。
「利用されていたのねえ」
と、私の話を聞いた直後に倫子がそうつぶやいた。
うすうす感じてはいた。
付き合いが長くなれば長くなるほどそうじゃないかなって。
だけど、そうじゃないって否定したかった自分もいた。
合コンも頭数が欲しいから。
引き立て役が欲しかったからだってわかっていた。
合コンに参加するときはがんばってオシャレもしたけれど、美波や美波の友達に比べればずっとシンプルで落ち着いて――まあ、率直に言えば地味だった。
化粧だってうっすらだったし、会話だって気の利いたことは言えなかった。
いつも受け身で、寄ってきた相手にお任せなかんじだったし。
その点、美波はいつも輪の中心だった。
そんな彼女と対等でいたいとすがっていたのかもしれない。
「なんかくだらないですよねえ。自分がかわいい子と一緒の立ち位置でいたいなんて……ベースが違うのに」
「ベースねえ。愛希だってちゃんとメイクすればいい女じゃない?」
「ちゃんとメイクしないといい女じゃないんでしょ?」
「そりゃあ、足りないものが多すぎるもの」
ズバリと倫子は言った。
潔すぎて刺さった棘の痛みすら感じない。
足りないものが多すぎる――倫子から見たらそうだろう。
彼女は生まれ持った性別以外は完璧な女性なのだから。
大きなため息が出てしまう。
どうしたら彼女みたいな女性になれるんだろう?
誰もが見惚れるような女性になれるんだろう?
私はたしかに変身した。
あのCMは本当に自分で見ても自分じゃない。
――でも……あれは特殊メイクだもんな。
藤崎愛希であって藤崎愛希でない、もう一人の『アキ』
「どうしたらアキのまんまでいられるんでしょうね」
「じゃあひとつだけ、いいこと教えてあげる」
俯いて皿の上のフルーツを突く私に、フフフと含み笑いしながら倫子はウィンクした。
「個人情報を聞き出すためにあなたの会社のお友達にリクが近づいたって話は覚えがあるわよね、つい最近の話だもの」
そう言われコクリと首を縦に振る。
確か『甲山貴斗』の情報を聞き出すために美波に近づいたというようなことを言っていた記憶はある。
甲山は美波が主催した合コンで出会った男だったけど……それがなんだというんだろう?
「彼女の口を割らせるためにおもてなしはしたけど、それ以上は断っているからね」
「は?」
「だからリク。おもてなし以上はしてないから」
「えっと……それのどこがいいことなんでしょうか?」
その答えに倫子はクスクス笑って「いいことでしょ?」と答えた。
「気になっていたでしょ? リクがあの子と関係持ったんじゃないかって」
「は?」
「素直じゃないわねえ、愛希は」
「べ……別にアイツが誰とどうなろうと私には関係ないから」
すると倫子はずいっとカットリンゴが刺さったフォークを私の口元に寄せて「ほんとかしら?」とつぶやいた。
「それが嘘だったら毒りんご……たべさせちゃうわよぉ」
そう言って、魔女のような不敵な笑みを浮かべたんだ。
ゴクリと沈黙の中で唾を飲み込む。
倫子はンフフ……と笑ってリンゴをしあわせそうに口に頬張った。
別にアイツが誰とどうなろうが私の知ったことじゃない。
でも、どういうわけか胸がチクチクする。
自分の他に龍空があんな風にキスをするのを考えると、先ほど交わった唇がプルッと震えたような気がした。
気持ち良かった、とろけるように。
疲れた体に染み入る甘いチョコレートのようにじんわりと体中をめぐるような気持ち良さがあった。
それを他の誰かが感じるなんて――それは少しイ……や、考えちゃダメだ。なしなしなし!
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