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受付の女性は新しく入って来た少し怪しげな男に、なにやら小声で説明している。
誤解で貸切の店に入って来たなら、本人に教えたら去るだろうから、場の雰囲気を壊さないようにしてるんだろう。
しかしその男は、なんと、
「ああ、一万円払えばいいんでしょ?」と答えた。
「もしかして、僕がお金を持ってないように見えたの?
そのくらい持ってるよ。」彼は大きい声で返事しながら、女性にほら、と万札を手渡した。
「今日、僕、お母さんから一万円もらってるんだよね。」
…もしかして、話の通じない人物が店内に入り込んだのかもしれない…
受付の女性達が束になっても、対処できるだろうか?
皆が固唾を飲んで見ていると、
「これでいいでしょ、会費一万円だよね、山内さん。」男が女性に話しかけた。
「え?私の旧姓をなぜご存知なのですか…」
「同じクラスの同じ班だったよね、僕達」
「え、ええ?…もしかして、天寺くん?」
天寺、なんて奴、いたっけ…
わからないな、うちのクラスではないんだろう。
実は、自分は受付の女性達の名前すらわからない。
元々、女性とそんなに話す方ではないこともあるが、天寺と同じクラスなら、彼女達もきっと自分とは違うクラスだ。
他のクラスの女生徒の名前など、当時でもほとんど覚えてなかったから、今わからないのも仕方がなかったな。
それにしても、天寺、感じが若いな。
とても俺らと同級生とは見えない。
俺は天寺と呼ばれた彼を、あらためて見ながら思った。
しかしラフな格好だな。別に決めて来いとは言わないけど。
俺が夜コンビニに行く時の服装まんまだな。
それに…
同窓会の会費、未だに母親からお金をもらってくるんだ。
俺はどうもそのあたりが気になって仕方がなかった。
だが、給料前だとかなんとか、事情があったのかもしれない。
あまり気にすると失礼だな、流石に心の内にしまい込むようにしよう…
俺がそう思った瞬間だった。
「今日ここに来たのはねえ、僕とデュエルしてくれる仲間を探して来たんだよ!」
天寺が高く声をはりあげたので、俺は再度ぎょっとして彼を見た。
俺だけではなくまわりも唖然としている。
…デュエル?聞いたことがあるような。
デュエルってなんだっけ…
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