14 / 43
14 ミネルヴァside
しおりを挟む
ミネルヴァ・ドーヴァは新興貴族、ドーヴァ男爵家の娘だ。
だが彼女本人は平民の育ちである。爵位は金で買ったものであり、本人も貴族でございという意識は全くない。
そんな彼女が男爵家のリデルと友人となったのには、当初、思惑があった。
ミネルヴァには歳の離れたいとこがいる。
クガヤという名前の男性だ。
彼は若くして商人として成功した。
クガヤは親戚ではあるのだが、ミネルヴァの家では彼のことをダークホース的な成功者として注視していた。
ミネルヴァの母はよく言うのだった。
「あそこの家では彼は三男で、店舗どころか資金もびた一文持たされていなかったはずなのに、ひどくうまいことやったもんだわ。
どうやら、身分の高い人と友人となれたそうなのよ。そのへんが成功の要因らしいわ。」
そしてミネルヴァに言うのだった。
「お前も、なんとしても貴族の友人を作りなさい!
商売の基礎はもう仕込んであるから、学園では人脈作りに精を出すのよ!
結婚相手なんて探すのはその後でいいわ。
人脈ができれば、自然にいい相手が寄ってくるものです!」
ミネルヴァは、母に全面的に賛成というわけではなかった。
確かに貴族の友人ができたら、商売では有利だ。家のためになる。家のためになると、回り回って自分が得をする。
そのことはわかってはいたが、いざ実行するとなると、これがまた難しい。
そもそも、貴族達から、自分達新興貴族に、仲良くなろうなんて向こうからすり寄ってなど来ないものだ。
こちらからおべっかを使いながら寄っていかないと、話すらできないのだ。
そして、ミネルヴァの試みは、貴族達からは蔑みや憐れみの笑みで迎えられることとなった。仲良くなるどころではなかった。
ミネルヴァはちょっとしたことで平民の口調が出たりするが、
そんな時、貴族達は酷く面白そうな目で彼女を見るのだった。
彼らは、はっきり口に出して貶めるようなことは言わないし、口元は笑みをたたえたままだ。
しかし、目は口ほどに物を言う。
彼らから見下されていることを思い知らされるのだった。
そのことを苦痛に思い始めると、ますます立ち居振る舞いにミスが出て、さらに嘲笑される。
そんなことの繰り返しで、何もかも嫌になりそうだった。
そんな中、リデル・モリウス男爵令嬢だけが、ミネルヴァにまともに相手をしてくれたのだった。
初対面の挨拶で緊張し、うっかり平民の口調が出てしまい謝るミネルヴァに対し、リデルはこう言うのだった。
「私ね、デビュタントから、立ち居振る舞いが、あまりよろしくなくて。
恥ずかしくて逃げるようにすぐ帰ったの。そのせいで、その時は誰とも話せなかったのよ。
私、帝国での正式な立ち居振る舞いとか、礼儀作法とか、ちゃんと教わることがなかったの。
デビュタントでそのことに気がついたの。他の子はみんなできていたのに…
うちは教育係がつくほど裕福じゃないし、お母様は帝国より遥か離れたところの出身だから、いろいろ習わしが違い、帝国の作法を知らなかったから、そうなったみたいなの。
書籍などで調べたりして、どうにか形になるようにしたのよ。
礼儀作法や話し方って、身につけるのは大変よね。」
そう言いながら、リデルはミネルヴァへ自然な笑顔を向けてくれたのだった。
モリウス男爵家は平民を大切に扱っている。
少なくとも、現在の当主、リデルの父親は、そうであるという評判で有名だ。
娘であるリデル本人も、きっとその影響下にあるのだろう…
ミネルヴァの母はリデルとミネルヴァが友人になったことを聞くと、やったじゃない!と大変喜んでいた。
しかしモリウス男爵家が裕福とはほど遠いことを知ると、なかなかうまいこといかないもんだわねえ、とがっかりしていた。
ミネルヴァはそう言われてカチンと来てしまった。
そんな、それだけが大事なことじゃないでしょ!と怒鳴りそうになり、慌てて口を閉じた。
そうしながら、自分の気持ちに気づいた。
どうやら、リデルにたいしては、計算づくではない友情らしき思いを、自分は抱いているらしかった。
リデルはこちらの近づいた思惑なんかには、まるで気づいてなさそう。普通に友達と思ってくれているようだ。
うん、リデルは友達。ミネルヴァは思った。
その友達が、今、妙なことに巻き込まれている。
早く事態を解決してあげたい。
可能な限り、商売の情報網を使って、調べあげるんだから。
待ってて、リデル。
だが彼女本人は平民の育ちである。爵位は金で買ったものであり、本人も貴族でございという意識は全くない。
そんな彼女が男爵家のリデルと友人となったのには、当初、思惑があった。
ミネルヴァには歳の離れたいとこがいる。
クガヤという名前の男性だ。
彼は若くして商人として成功した。
クガヤは親戚ではあるのだが、ミネルヴァの家では彼のことをダークホース的な成功者として注視していた。
ミネルヴァの母はよく言うのだった。
「あそこの家では彼は三男で、店舗どころか資金もびた一文持たされていなかったはずなのに、ひどくうまいことやったもんだわ。
どうやら、身分の高い人と友人となれたそうなのよ。そのへんが成功の要因らしいわ。」
そしてミネルヴァに言うのだった。
「お前も、なんとしても貴族の友人を作りなさい!
商売の基礎はもう仕込んであるから、学園では人脈作りに精を出すのよ!
結婚相手なんて探すのはその後でいいわ。
人脈ができれば、自然にいい相手が寄ってくるものです!」
ミネルヴァは、母に全面的に賛成というわけではなかった。
確かに貴族の友人ができたら、商売では有利だ。家のためになる。家のためになると、回り回って自分が得をする。
そのことはわかってはいたが、いざ実行するとなると、これがまた難しい。
そもそも、貴族達から、自分達新興貴族に、仲良くなろうなんて向こうからすり寄ってなど来ないものだ。
こちらからおべっかを使いながら寄っていかないと、話すらできないのだ。
そして、ミネルヴァの試みは、貴族達からは蔑みや憐れみの笑みで迎えられることとなった。仲良くなるどころではなかった。
ミネルヴァはちょっとしたことで平民の口調が出たりするが、
そんな時、貴族達は酷く面白そうな目で彼女を見るのだった。
彼らは、はっきり口に出して貶めるようなことは言わないし、口元は笑みをたたえたままだ。
しかし、目は口ほどに物を言う。
彼らから見下されていることを思い知らされるのだった。
そのことを苦痛に思い始めると、ますます立ち居振る舞いにミスが出て、さらに嘲笑される。
そんなことの繰り返しで、何もかも嫌になりそうだった。
そんな中、リデル・モリウス男爵令嬢だけが、ミネルヴァにまともに相手をしてくれたのだった。
初対面の挨拶で緊張し、うっかり平民の口調が出てしまい謝るミネルヴァに対し、リデルはこう言うのだった。
「私ね、デビュタントから、立ち居振る舞いが、あまりよろしくなくて。
恥ずかしくて逃げるようにすぐ帰ったの。そのせいで、その時は誰とも話せなかったのよ。
私、帝国での正式な立ち居振る舞いとか、礼儀作法とか、ちゃんと教わることがなかったの。
デビュタントでそのことに気がついたの。他の子はみんなできていたのに…
うちは教育係がつくほど裕福じゃないし、お母様は帝国より遥か離れたところの出身だから、いろいろ習わしが違い、帝国の作法を知らなかったから、そうなったみたいなの。
書籍などで調べたりして、どうにか形になるようにしたのよ。
礼儀作法や話し方って、身につけるのは大変よね。」
そう言いながら、リデルはミネルヴァへ自然な笑顔を向けてくれたのだった。
モリウス男爵家は平民を大切に扱っている。
少なくとも、現在の当主、リデルの父親は、そうであるという評判で有名だ。
娘であるリデル本人も、きっとその影響下にあるのだろう…
ミネルヴァの母はリデルとミネルヴァが友人になったことを聞くと、やったじゃない!と大変喜んでいた。
しかしモリウス男爵家が裕福とはほど遠いことを知ると、なかなかうまいこといかないもんだわねえ、とがっかりしていた。
ミネルヴァはそう言われてカチンと来てしまった。
そんな、それだけが大事なことじゃないでしょ!と怒鳴りそうになり、慌てて口を閉じた。
そうしながら、自分の気持ちに気づいた。
どうやら、リデルにたいしては、計算づくではない友情らしき思いを、自分は抱いているらしかった。
リデルはこちらの近づいた思惑なんかには、まるで気づいてなさそう。普通に友達と思ってくれているようだ。
うん、リデルは友達。ミネルヴァは思った。
その友達が、今、妙なことに巻き込まれている。
早く事態を解決してあげたい。
可能な限り、商売の情報網を使って、調べあげるんだから。
待ってて、リデル。
0
あなたにおすすめの小説
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです
果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。
幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。
ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。
月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。
パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。
これでは、結婚した後は別居かしら。
お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。
だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。
サバ読み令嬢の厄介な婚約〜それでも学園生活を謳歌します!〜
本見りん
恋愛
療養中の体の弱い伯爵令嬢と、4つ年上の庶子の姉。
シルビア マイザー伯爵令嬢は生まれつき体が弱かった。そんな彼女には婚約者がおり、もうすぐ学園にも通う予定だったが……まさかの駆け落ち。
侯爵家との政略結婚を断れない伯爵家。それまで病弱で顔の知られていなかった妹の代わりに隠された庶子の姉フィーネがその身代わりになり学園に通うことに……。
まさかの4歳もサバを読んで。
───王立学園での昼下がり、昼食の後お喋りに花を咲かせる令嬢たち。
「───シルビア様は、本当に大人びて……いえ、……落ち着いていらっしゃるわねぇ」
「ま、まあ……。そうですかしら? うふふ?」
……そりゃ、そうですわよね。
だって本当は私、貴女方より4歳も年上なんですもの……!
今日もフィーネは儚げな笑顔(演技)で疑惑を躱しつつ、学園生活を楽しむ。しかしそんな彼女の婚約者は……。
サバ読み令嬢の、厄介な婚約の物語
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。
だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。
失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。
どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。
「悪女に、遠慮はいらない」
そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。
「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。
王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」
愛も、誇りも奪われたなら──
今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。
裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス!
⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる