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「どういうことだ?」学園の廊下を歩いているといきなり手首を掴まれたので振り返ると、金髪碧眼の美青年が目に入った。
痩身なのに引き締まった体格をしている。
ジェイド・ヴァンダル伯爵令息だ。
学園での上級生だがこれまで接点はない。挨拶を交わしたことすらもない。
そんな彼がいきなり私の手首を掴んでくるなんて。
「え…」驚きすぎて、まともにきちんとした返答もできずにいる私の第一声はこれだ。
「どういうことだと聞いている!!」
心中では、なにか自分やらかしたかな?と必死に考えを巡らせてはいるが、緊張のあまり自分の口からは何も言葉が出てこない。
それもそのはず、彼は私が以前から心密かに憧れていた方なのだ。
彼はヴァンダル伯爵家の嫡男、後継ぎだ。
父親であるヴァンダル伯爵の領地が海に面しているからか、領地周辺の海域では伯爵主導で海賊の討伐がなされている。
嫡男である彼が、父とは別に領地内の海賊を討伐した、という武勇伝も聞こえてきていた。
学生なのに海賊の討伐などで学業の時間をとられはしないだろうか。
私は自分が時間をかけないと勉強を飲み込めないたちのせいか、無関係な彼に余計な心配をしてしまっていたのだが、彼の成績は中間やや上あたりだ。
勉学にかけられる時間を考えると、かなり要領はいいと思う。
海賊とじかに戦うなど危なくはないのだろうかと思うけれども、彼は武芸の練習は日々欠かさないという話を取り巻き連中に話しているのを漏れ聞いたことがある。
どうやらこういったことを好んでいるらしく、文武両道というよりは武の部分が強いタイプだ。
学生の身でありながら、独自に海賊討伐した話は有名で、同世代からも親世代からも評判だ。
その美貌も相まって、彼にはファンが多い。非公認のファンクラブやら、取り巻きの女性達が存在するほどだ。
まず間違いなく、学園ではNo.1の人気だろう。
ヴァンダル伯爵家からはカリスマ性がある者がよく出るという話があるが、彼の人気を考えると納得する話だ。
そんな彼のことを遠目で眺めるのが、この学園に入学してからの自分の密かな楽しみだった。
このくらいの年齢で婚約者がいるのが普通だった一昔前とは異なり、今は恋愛で結婚相手を決めるのが主流なため、現在、彼に婚約者はいない。
そのため、ファンクラブや取り巻き女性達はあわよくばと、引きも切らず彼を取り囲んでいるのが通常の光景だ。
自分もそこに混ざりたい感はあるが、口をきくことを考えただけでも恥ずかしくて倒れそうなので無理だ。
自分の希望は、デートしてみたいでも、付き合いたいでも、結婚したい、でもない。
一度でいいので、笑顔で「こんにちは」と同じ学園の顔見知り程度としてお互いに挨拶すること。ただそれだけだった。
最も向こうから声をかけてもらえないと挨拶などはできない。
そして声をかけてもらうことを想像するだけで、恥ずかしすぎていたたまれなかった。そのため、これまで成功していない。
だが今の彼はこちらを睨みつけている。これまでいかなる関係を持ったこともないはずなのに、まるで敵を見る目つきだった。
自分の憧れの相手にそんな目つきで見られ、もう胸が痛すぎる。
以前思い描いていた、一度でいいから笑顔で挨拶をかわしたいという、ささやかな願いが叶うことはもうないだろう…
今この瞬間にも取り巻きの女性達がこちらをにらんでいるのが目に入る。
すみません、こちらもなんのことやらわからないんです!と、内心冷や汗をかきながら心の中で謝る。
今はこちらをにらんでいる彼の対応が先なのだ。
痩身なのに引き締まった体格をしている。
ジェイド・ヴァンダル伯爵令息だ。
学園での上級生だがこれまで接点はない。挨拶を交わしたことすらもない。
そんな彼がいきなり私の手首を掴んでくるなんて。
「え…」驚きすぎて、まともにきちんとした返答もできずにいる私の第一声はこれだ。
「どういうことだと聞いている!!」
心中では、なにか自分やらかしたかな?と必死に考えを巡らせてはいるが、緊張のあまり自分の口からは何も言葉が出てこない。
それもそのはず、彼は私が以前から心密かに憧れていた方なのだ。
彼はヴァンダル伯爵家の嫡男、後継ぎだ。
父親であるヴァンダル伯爵の領地が海に面しているからか、領地周辺の海域では伯爵主導で海賊の討伐がなされている。
嫡男である彼が、父とは別に領地内の海賊を討伐した、という武勇伝も聞こえてきていた。
学生なのに海賊の討伐などで学業の時間をとられはしないだろうか。
私は自分が時間をかけないと勉強を飲み込めないたちのせいか、無関係な彼に余計な心配をしてしまっていたのだが、彼の成績は中間やや上あたりだ。
勉学にかけられる時間を考えると、かなり要領はいいと思う。
海賊とじかに戦うなど危なくはないのだろうかと思うけれども、彼は武芸の練習は日々欠かさないという話を取り巻き連中に話しているのを漏れ聞いたことがある。
どうやらこういったことを好んでいるらしく、文武両道というよりは武の部分が強いタイプだ。
学生の身でありながら、独自に海賊討伐した話は有名で、同世代からも親世代からも評判だ。
その美貌も相まって、彼にはファンが多い。非公認のファンクラブやら、取り巻きの女性達が存在するほどだ。
まず間違いなく、学園ではNo.1の人気だろう。
ヴァンダル伯爵家からはカリスマ性がある者がよく出るという話があるが、彼の人気を考えると納得する話だ。
そんな彼のことを遠目で眺めるのが、この学園に入学してからの自分の密かな楽しみだった。
このくらいの年齢で婚約者がいるのが普通だった一昔前とは異なり、今は恋愛で結婚相手を決めるのが主流なため、現在、彼に婚約者はいない。
そのため、ファンクラブや取り巻き女性達はあわよくばと、引きも切らず彼を取り囲んでいるのが通常の光景だ。
自分もそこに混ざりたい感はあるが、口をきくことを考えただけでも恥ずかしくて倒れそうなので無理だ。
自分の希望は、デートしてみたいでも、付き合いたいでも、結婚したい、でもない。
一度でいいので、笑顔で「こんにちは」と同じ学園の顔見知り程度としてお互いに挨拶すること。ただそれだけだった。
最も向こうから声をかけてもらえないと挨拶などはできない。
そして声をかけてもらうことを想像するだけで、恥ずかしすぎていたたまれなかった。そのため、これまで成功していない。
だが今の彼はこちらを睨みつけている。これまでいかなる関係を持ったこともないはずなのに、まるで敵を見る目つきだった。
自分の憧れの相手にそんな目つきで見られ、もう胸が痛すぎる。
以前思い描いていた、一度でいいから笑顔で挨拶をかわしたいという、ささやかな願いが叶うことはもうないだろう…
今この瞬間にも取り巻きの女性達がこちらをにらんでいるのが目に入る。
すみません、こちらもなんのことやらわからないんです!と、内心冷や汗をかきながら心の中で謝る。
今はこちらをにらんでいる彼の対応が先なのだ。
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