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8 幼い頃の回想 二
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その時は兄について行き男の子に混ざって庭で遊んだのだった。そのうち海賊ごっこになり、海賊と海軍が戦うのでチームに別れた。
自分は海賊役側に人質として参加した。弱っちそうという理由だった。
女の子の服着てても問題なかったかもしれない。むしろ盛り上がったかもしれなかった。
ところが、海賊が倒されて人質を開放する段になった時、海賊役の男の子が役柄にのめり込みすぎて、本物の刃物を出したのだ。「ち、近寄るとこいつの命はないぞ!」そうして刃物をこちらの顔に近づけたのだった。
警備の者とメイド達が「皆様!お静かに!そこまでです!」と、叫び走ってきたが、海軍役のリーダーの男の子が「この卑怯者!」と叫び、海賊役の子に飛びかかった。
近くにいた自分は二人を避けようとしたが、まくったはずのズボンの裾がおりてしまい、それを踏んで地に転がってしまった。
その間、海軍役のリーダーの子は、本人は武器をもっていないのに、海賊役の子から、刃物を無事見事に取り上げたのだ。
ただそのすぐ後で、地面に転がる自分の耳近くの髪の生え際あたりを、海軍役リーダーが持っていた、回収した刃物の刃先が触れてしまったのだった。
少し切れて血が出てしまった。
「あっ!ごめん!」海軍役のリーダーの子はこちらをのぞきこんだ。二人の目と目が合う。
傷口は大したことはなく、その場にいたメイドにすぐ手当してもらった。だがその後年月を経てみると、近くで見るとわずかに傷跡があるのはわかる。
女の子の服を着ていたなら、騒がれたかもしれなかったが、その場では男の子で通していた。
処置をしてくれたメイドはその日に交代となったらしく、その後会うこともなかった。
この件で男の子たちと遊ぶのが怖くなったので、滞在が終わるまでは一人でいいですと部屋に引きこもり状態で過ごした。
兄は、傷口が翌日にふさがったのを確認すると、黙っててね、とこちらに頼み、自分も了承した。二人共、別段大したことだと思っていなかった。
両親からも何も言われなかったので、おそらくこの件は誰からも報告されなかったのだと思う。
子供だった自分は大したことではないと思っていたが、成長するにつれ、顔に傷があれば貴族令嬢としては致命的であることを知った。たまたま手にした書籍にかかれていたのだった。その時は恐怖だった。
読んだ時には自分はもう貴族には嫁げないんだと思った。何も悪いことはしていないのに。両親には大事にしてもらっているのに。こちらがわがまま言って兄についていったせいで…
特に父が必死で働いているのを知っていたので、どんなに悲しませることになるだろうと思うと目の前が暗くなった。
本の続きは、衝撃でそこからなかなか先に読みすすめなかったのだが、
腹をくくって読み進めた先にはこうあった。
近年これらのことはそこまで重視されなくなってきている。
また、まだ重要視されているにしても、それらは高位貴族の話である、と。
…うちのような男爵程度では該当しない。高位貴族に嫁入りするなら別だが。
それに、高位貴族であっても、最近は昔ながらの慣習は薄らいできているということだった。
それらのことをしるにつれ、気分はだいぶ落ち着いた。ただ傷があることを広めるのはやはりよろしくないだろう。
まあ、跡は目立たないし髪をおろせば完全に隠れたので現状別に困ってはいない…
回想しながら、あの当時の男の子たちは今はどうしてるだろう、などと考えた。しかし名前も知らなかったし、知るすべもなかった。兄に聞けばわかるとは思うけど、彼も忙しいのでそんな些細で昔のことを聞きだすのは躊躇してしまう。
できることなら、子供たち皆に忘れていて貰えば助かる。またただ一度、半日程度遊んだだけなので、皆忘れてくれているだろう。男の子で通したこともあるし、こちらに結びつけて考える者もいないだろう。
そしてこの件を両親に話すのもやめたのだった。下手をすると両親から兄が責められるかもしれないと思ったのだった。
自分は海賊役側に人質として参加した。弱っちそうという理由だった。
女の子の服着てても問題なかったかもしれない。むしろ盛り上がったかもしれなかった。
ところが、海賊が倒されて人質を開放する段になった時、海賊役の男の子が役柄にのめり込みすぎて、本物の刃物を出したのだ。「ち、近寄るとこいつの命はないぞ!」そうして刃物をこちらの顔に近づけたのだった。
警備の者とメイド達が「皆様!お静かに!そこまでです!」と、叫び走ってきたが、海軍役のリーダーの男の子が「この卑怯者!」と叫び、海賊役の子に飛びかかった。
近くにいた自分は二人を避けようとしたが、まくったはずのズボンの裾がおりてしまい、それを踏んで地に転がってしまった。
その間、海軍役のリーダーの子は、本人は武器をもっていないのに、海賊役の子から、刃物を無事見事に取り上げたのだ。
ただそのすぐ後で、地面に転がる自分の耳近くの髪の生え際あたりを、海軍役リーダーが持っていた、回収した刃物の刃先が触れてしまったのだった。
少し切れて血が出てしまった。
「あっ!ごめん!」海軍役のリーダーの子はこちらをのぞきこんだ。二人の目と目が合う。
傷口は大したことはなく、その場にいたメイドにすぐ手当してもらった。だがその後年月を経てみると、近くで見るとわずかに傷跡があるのはわかる。
女の子の服を着ていたなら、騒がれたかもしれなかったが、その場では男の子で通していた。
処置をしてくれたメイドはその日に交代となったらしく、その後会うこともなかった。
この件で男の子たちと遊ぶのが怖くなったので、滞在が終わるまでは一人でいいですと部屋に引きこもり状態で過ごした。
兄は、傷口が翌日にふさがったのを確認すると、黙っててね、とこちらに頼み、自分も了承した。二人共、別段大したことだと思っていなかった。
両親からも何も言われなかったので、おそらくこの件は誰からも報告されなかったのだと思う。
子供だった自分は大したことではないと思っていたが、成長するにつれ、顔に傷があれば貴族令嬢としては致命的であることを知った。たまたま手にした書籍にかかれていたのだった。その時は恐怖だった。
読んだ時には自分はもう貴族には嫁げないんだと思った。何も悪いことはしていないのに。両親には大事にしてもらっているのに。こちらがわがまま言って兄についていったせいで…
特に父が必死で働いているのを知っていたので、どんなに悲しませることになるだろうと思うと目の前が暗くなった。
本の続きは、衝撃でそこからなかなか先に読みすすめなかったのだが、
腹をくくって読み進めた先にはこうあった。
近年これらのことはそこまで重視されなくなってきている。
また、まだ重要視されているにしても、それらは高位貴族の話である、と。
…うちのような男爵程度では該当しない。高位貴族に嫁入りするなら別だが。
それに、高位貴族であっても、最近は昔ながらの慣習は薄らいできているということだった。
それらのことをしるにつれ、気分はだいぶ落ち着いた。ただ傷があることを広めるのはやはりよろしくないだろう。
まあ、跡は目立たないし髪をおろせば完全に隠れたので現状別に困ってはいない…
回想しながら、あの当時の男の子たちは今はどうしてるだろう、などと考えた。しかし名前も知らなかったし、知るすべもなかった。兄に聞けばわかるとは思うけど、彼も忙しいのでそんな些細で昔のことを聞きだすのは躊躇してしまう。
できることなら、子供たち皆に忘れていて貰えば助かる。またただ一度、半日程度遊んだだけなので、皆忘れてくれているだろう。男の子で通したこともあるし、こちらに結びつけて考える者もいないだろう。
そしてこの件を両親に話すのもやめたのだった。下手をすると両親から兄が責められるかもしれないと思ったのだった。
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