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風がリデルの部屋の外を吹き荒れていた。
リデルが窓を開けてみると、木の葉が強い風に吹かれて小さなつむじ風になっているのが見えた。
ここからいくら外をながめても、待っている人はもう来ない…
リデルはジェイド様との婚約中は、よくここから外をながめて、彼の訪れを持っていたことを思い出した。
ヴァンダル伯爵家はリデルに対しきちんとした扱いをしてくれたので、リデルについて悪い評判がたつことはなかった。
ヴァンダル伯爵家の流した噂はこのような感じだった。
ジェイド様がリデル嬢に、誤解があって良からぬ言をはいてしまい、その結果リデル嬢は気に病んで学園を去るしかなくなった。
誤解の詫びとして、また両家の円満な関係をアピールするために、ジェイド様がリデル嬢を様々な場所に招待し連れ回していたのだ…
そういった無難な噂が世間に広められていたのだった。
ジェイド様は無事に意中の彼女と婚約し、そして卒業後つつがなく結婚した。
リデルは最近、シェリル嬢をまた街で見かけたが、彼女はこちらを見ると、目を伏せて礼をしたのだった。
おそらく、シェリル嬢については、ジェイド様から直接事情を説明されたのかもしれなかった。
だが、彼女は、実際はリデルとジェイド様が一時期婚約していたことは、今後も口走ったりしないだろう。
まずはヴァンダル伯爵家が口止めしているだろうし、ジェイド様が困ることはシェリル嬢は決してしないだろう。
また、今ではこちらも伯爵で子爵より上の立場であるから、こちらに不都合となる話はそうそうできないだろう。
そうも思うのだった。
リデルは、シェリル嬢と学園のことを思い返しているうちに、学園にいる時、自分がジェイド様に挨拶したがっていたことを思い出した。
当時のリデルは、一度でいいから彼に笑顔で挨拶をしたい、と無邪気に考えていたのだった。
そして、ふと、最後に片手をあげてこちらに挨拶をしたジェイド様を、ごきげんようと笑みを浮かべて見送ったことを思い出した。
笑顔で挨拶、その夢、叶ってるじゃない!…リデルはそう思った。
それがこんにちはではなく、さようならの別れの挨拶であることは、つとめて考えないようにしながら…
…リデル、リデル。あなたがしたかったことは叶ったの。
もちろん、あの時だけじゃなく、来られた時は何度も笑顔で挨拶できてたでしょ?
それに、挨拶だけじゃないわ!
演劇やら舞台やら、やたら連れて行ってもらえたわ。
デートよデート。
遠巻きに見ていたファンの立場からしたら、夢のようなものだわ。
だからもう、自分を憐れむのは終わりにしないと…
リデルがジェイド様と過ごした様々な思い出をたぐっていくと、心の底にある、少年である彼の笑顔が思い起こされてきた。
貧しい子供を救い出していた彼の天使のような笑顔。
…ああ、彼は変わってしまっていたわ。
当時、私が憧れていた彼と、今のジェイド様とは、別人なのね。
リデルは成長した彼が平民を見下すように語った言葉を思い浮かべるのだった。
成長の過程で、何が彼にあったのかはわからない。
だが自分は、彼を少年の時の印象を重ねて恋をしていたのだ。
そして彼の方では、私を、愛する彼女のつもりで見ていた…
…私達、お互いにお互いを、
良く見ていなかったのね。
二人の道が同じ方向へ行かないのは、無理もないわ…
リデルはこう考えた。
そうすると、なにやらこれまでになくすっきりとした気持ちになれたのだった。
…あの少年時代の当時の彼は、もういないのね。
あの輝かしい思い出は、まるで木漏れ日のきらめきのようだわ。
ふとした瞬間に眩しく、そしてすぐ消えてゆくの…
リデルは笑みを浮かべた。それは久しぶりに浮かべる心からの笑みだった。
彼女は思い出をしまいこみ、そして先にゆく決意ができたのだった。
…私、きっと踏ん切りをつけなさいって自分を説得し、成功したのかもしれないわ!…
そう考えながら。
リデルが窓を開けてみると、木の葉が強い風に吹かれて小さなつむじ風になっているのが見えた。
ここからいくら外をながめても、待っている人はもう来ない…
リデルはジェイド様との婚約中は、よくここから外をながめて、彼の訪れを持っていたことを思い出した。
ヴァンダル伯爵家はリデルに対しきちんとした扱いをしてくれたので、リデルについて悪い評判がたつことはなかった。
ヴァンダル伯爵家の流した噂はこのような感じだった。
ジェイド様がリデル嬢に、誤解があって良からぬ言をはいてしまい、その結果リデル嬢は気に病んで学園を去るしかなくなった。
誤解の詫びとして、また両家の円満な関係をアピールするために、ジェイド様がリデル嬢を様々な場所に招待し連れ回していたのだ…
そういった無難な噂が世間に広められていたのだった。
ジェイド様は無事に意中の彼女と婚約し、そして卒業後つつがなく結婚した。
リデルは最近、シェリル嬢をまた街で見かけたが、彼女はこちらを見ると、目を伏せて礼をしたのだった。
おそらく、シェリル嬢については、ジェイド様から直接事情を説明されたのかもしれなかった。
だが、彼女は、実際はリデルとジェイド様が一時期婚約していたことは、今後も口走ったりしないだろう。
まずはヴァンダル伯爵家が口止めしているだろうし、ジェイド様が困ることはシェリル嬢は決してしないだろう。
また、今ではこちらも伯爵で子爵より上の立場であるから、こちらに不都合となる話はそうそうできないだろう。
そうも思うのだった。
リデルは、シェリル嬢と学園のことを思い返しているうちに、学園にいる時、自分がジェイド様に挨拶したがっていたことを思い出した。
当時のリデルは、一度でいいから彼に笑顔で挨拶をしたい、と無邪気に考えていたのだった。
そして、ふと、最後に片手をあげてこちらに挨拶をしたジェイド様を、ごきげんようと笑みを浮かべて見送ったことを思い出した。
笑顔で挨拶、その夢、叶ってるじゃない!…リデルはそう思った。
それがこんにちはではなく、さようならの別れの挨拶であることは、つとめて考えないようにしながら…
…リデル、リデル。あなたがしたかったことは叶ったの。
もちろん、あの時だけじゃなく、来られた時は何度も笑顔で挨拶できてたでしょ?
それに、挨拶だけじゃないわ!
演劇やら舞台やら、やたら連れて行ってもらえたわ。
デートよデート。
遠巻きに見ていたファンの立場からしたら、夢のようなものだわ。
だからもう、自分を憐れむのは終わりにしないと…
リデルがジェイド様と過ごした様々な思い出をたぐっていくと、心の底にある、少年である彼の笑顔が思い起こされてきた。
貧しい子供を救い出していた彼の天使のような笑顔。
…ああ、彼は変わってしまっていたわ。
当時、私が憧れていた彼と、今のジェイド様とは、別人なのね。
リデルは成長した彼が平民を見下すように語った言葉を思い浮かべるのだった。
成長の過程で、何が彼にあったのかはわからない。
だが自分は、彼を少年の時の印象を重ねて恋をしていたのだ。
そして彼の方では、私を、愛する彼女のつもりで見ていた…
…私達、お互いにお互いを、
良く見ていなかったのね。
二人の道が同じ方向へ行かないのは、無理もないわ…
リデルはこう考えた。
そうすると、なにやらこれまでになくすっきりとした気持ちになれたのだった。
…あの少年時代の当時の彼は、もういないのね。
あの輝かしい思い出は、まるで木漏れ日のきらめきのようだわ。
ふとした瞬間に眩しく、そしてすぐ消えてゆくの…
リデルは笑みを浮かべた。それは久しぶりに浮かべる心からの笑みだった。
彼女は思い出をしまいこみ、そして先にゆく決意ができたのだった。
…私、きっと踏ん切りをつけなさいって自分を説得し、成功したのかもしれないわ!…
そう考えながら。
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