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第一章
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薬草部隊は次に目に止まった村に寄った。
今度は排他的な住民の住む地ではなかったため、追い払われずにすんだ。
薬草を納品する窓口があるか訪ねたところ、軍で使う物資を集めておく場所は設置されていた。
地図のことを聞こうと担当者を探したが、ちゃんとした担当者はいないんだがまあ少しならわかる、と、首をひねりながら窓口の人がいうので、一同は喜んだ。
印をつけてある場所に行くように言われてるのだが、確認したいのだがと問うと、窓口の者は、地図のにじんだ部分の大きい赤丸の部分を指さしながら「ここに向かうという話は聞いている」といい、赤丸がある方角はこちらだと、指でしめしながら話を続けた。
「ここに向かうなら、今指をさしている方角になるが、かなりざっくりだし、まっすぐ向かう道があるわけではない。
また、ここ自体も正確な位置をしるしているわけではないんだ。
本隊と合流できたら再度聞いてみる方がいいだろう。
行く途中また町や村があるだろうから、その都度立ち寄って聞くのがいい。
もっと話のわかるやつがいるだろうから。」
この窓口の人物は薬草部隊の向かう場所や事情までは知らず、本隊の行く場所は確かにここであると述べたに過ぎなかった。
実際のところは、地図には最初から本隊の向かう場所である大きい赤丸をつけてあって、地図を渡してくれた者が、行先のおすすめの村として小さい赤丸をつけてくれた、というのが真実であった。
つまり、クガヤの言っていたことが、半分ほど正しかったことになる。
盲点としては、赤丸をつけた者が、現在地の地図上での場所を説明しなかったことだ。
その者の中では、そんなことは当然わかっているものだとなっており、頭の中から抜けてしまっていたのだ。
ただ、最初に地図を渡した担当者は、一応は、自分が印をつけた村と、その周辺の町村の担当に話を通してくれていたので、本来はそこ周辺に行って話をして、何度か納品して、任務は終わるはずだった。
しかし今の話の流れから、薬草部隊の行き先は、大きく赤丸がつけてある場所、決戦が予想される場所になってしまった。大した武装もないのに。
それでも薬草を採取しながら村や町を探して進んで来たので、運が良ければ話を通してある町村にたどり着け、ちゃんとした話を確認するチャンスはあったかもしれない。
ただそこははるか前に通り過ぎてしまっていた。
山の方へ行って平地の町村へ戻ることを繰り返している薬草部隊なので、道は本隊と違ってジグザグに進む感じになったこともあり、運悪くそれらの町村を発見しないまま通り越してしまっていたのである。
しかし、誤解しながら、理解したつもりになった彼らは、行先がわかったつもりになり喜んでいた。
「やっぱり行先はここでよかったんじゃないですか」ヤトルは言った。
「そうだな、進み方は今までと同様、山際にいって薬草集めて、また町村に戻るのは変わらないが、進む方角がわかったのは良かったな。
正しい方角で、目についた町村によるようにすれば、納品窓口のないところに当たることも少なくなるだろうな。」サタヴァも言った。
全員不安の種が解消されてホッとした顔つきになっていた。
はたからみたら不安要素しかない話なのであるが…
ともあれ、今まで集めた薬草はいったんここに納品をした。
また、金や食糧をこの連中に渡せと言う話はよく知らんのだが、納品物の対価ということにしようとブツブツつぶやく窓口の者から、少し資金や食糧をもらった。
装備についてサタヴァが交渉したがやはり貰えず、それでも交渉した甲斐があったのか、狼煙をあげる道具を別に渡してもらえた。
一行はこの村に泊まることにした。
今度は排他的な住民の住む地ではなかったため、追い払われずにすんだ。
薬草を納品する窓口があるか訪ねたところ、軍で使う物資を集めておく場所は設置されていた。
地図のことを聞こうと担当者を探したが、ちゃんとした担当者はいないんだがまあ少しならわかる、と、首をひねりながら窓口の人がいうので、一同は喜んだ。
印をつけてある場所に行くように言われてるのだが、確認したいのだがと問うと、窓口の者は、地図のにじんだ部分の大きい赤丸の部分を指さしながら「ここに向かうという話は聞いている」といい、赤丸がある方角はこちらだと、指でしめしながら話を続けた。
「ここに向かうなら、今指をさしている方角になるが、かなりざっくりだし、まっすぐ向かう道があるわけではない。
また、ここ自体も正確な位置をしるしているわけではないんだ。
本隊と合流できたら再度聞いてみる方がいいだろう。
行く途中また町や村があるだろうから、その都度立ち寄って聞くのがいい。
もっと話のわかるやつがいるだろうから。」
この窓口の人物は薬草部隊の向かう場所や事情までは知らず、本隊の行く場所は確かにここであると述べたに過ぎなかった。
実際のところは、地図には最初から本隊の向かう場所である大きい赤丸をつけてあって、地図を渡してくれた者が、行先のおすすめの村として小さい赤丸をつけてくれた、というのが真実であった。
つまり、クガヤの言っていたことが、半分ほど正しかったことになる。
盲点としては、赤丸をつけた者が、現在地の地図上での場所を説明しなかったことだ。
その者の中では、そんなことは当然わかっているものだとなっており、頭の中から抜けてしまっていたのだ。
ただ、最初に地図を渡した担当者は、一応は、自分が印をつけた村と、その周辺の町村の担当に話を通してくれていたので、本来はそこ周辺に行って話をして、何度か納品して、任務は終わるはずだった。
しかし今の話の流れから、薬草部隊の行き先は、大きく赤丸がつけてある場所、決戦が予想される場所になってしまった。大した武装もないのに。
それでも薬草を採取しながら村や町を探して進んで来たので、運が良ければ話を通してある町村にたどり着け、ちゃんとした話を確認するチャンスはあったかもしれない。
ただそこははるか前に通り過ぎてしまっていた。
山の方へ行って平地の町村へ戻ることを繰り返している薬草部隊なので、道は本隊と違ってジグザグに進む感じになったこともあり、運悪くそれらの町村を発見しないまま通り越してしまっていたのである。
しかし、誤解しながら、理解したつもりになった彼らは、行先がわかったつもりになり喜んでいた。
「やっぱり行先はここでよかったんじゃないですか」ヤトルは言った。
「そうだな、進み方は今までと同様、山際にいって薬草集めて、また町村に戻るのは変わらないが、進む方角がわかったのは良かったな。
正しい方角で、目についた町村によるようにすれば、納品窓口のないところに当たることも少なくなるだろうな。」サタヴァも言った。
全員不安の種が解消されてホッとした顔つきになっていた。
はたからみたら不安要素しかない話なのであるが…
ともあれ、今まで集めた薬草はいったんここに納品をした。
また、金や食糧をこの連中に渡せと言う話はよく知らんのだが、納品物の対価ということにしようとブツブツつぶやく窓口の者から、少し資金や食糧をもらった。
装備についてサタヴァが交渉したがやはり貰えず、それでも交渉した甲斐があったのか、狼煙をあげる道具を別に渡してもらえた。
一行はこの村に泊まることにした。
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