不要とされる寄せ集め部隊、正規軍の背後で人知れず行軍する〜茫漠と彷徨えるなにか〜

サカキ カリイ

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第一章

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本隊は鳥魔物討伐の後、ダムス砦についてどう扱うか頭をひねっていた。砦の元々の人員は全滅してしまったため新たな人員の配属が必要なのである。

行軍から砦に人員をさく案は戦力を削ぐため難しいが、かと言って見張りがいないと中央まで魔獣が侵入しても報せるものがいない。これは悩みの種だった。

本隊のほうでは、中央に使いを出し、砦を守る人員の補充や、食糧、武器なども依頼した。

武器に関しては、鳥魔物用の装備の補充がメインだった。これは本隊も行軍中に必要となりそうなので、持っていく必要があったためこちらに置いてゆけないからだ。

鳥魔物はこれまであらわれたことがないため、最初の戦では敗北を喫してしまったが、この前の戦法と武器があれば、補充でくる新しい人員でも撃退が可能であろう。

その他の魔物に対しては、これまで通りの戦法で戦えるはずなので、普通に撃退可能なはずである。

連絡に関しては、前回は伝書鳥や馬などがやられてしまったが、鳥魔物用の網が敵の動きをとどめることが可能なので、今後は問題なく連絡できるのではと思われた。
 
ただ中央からここまで人員や武器などが届く間には時間がかかる。

そのため本隊はしばらくダムス砦に逗留することになった。

逗留しながらできるだけ先の方を偵察したいところだが、地形が通りにくいように見えるため、遠くまで行って戻ることは困難であろう。近場の偵察になりそうである。

こういう時間の空白ができているときには武器の修理や改良などをしたいところだか、と話をしていたら、このあたりの地方魔獣討伐に参加していたことがある兵士が、昔ここいらには鍛冶屋があったというので、一同は場所を聞こうとしたところ、いまは場所はわからない、もっと森の奥へ引っ越したらしいがと言う話だった。

その森には泉があり仙女がすんでいるとの伝説がある。

仙女は泉に落とし物をすると金や銀の同じものを渡そうとするが、最初に落したものを正直に話すと、正直者の褒美として、本人が落したものと、最初に見せた金や銀のものを、全てくれるらしい。

もちろん噂である。

そもそも泉は水回りなので魔物に化かされたか、魔物が人を誘い泉へ引きずりこむための罠かもしれない。

どちらかというと、褒美をくれるという話より、恐ろしい魔物が人を引きずりこむという話の方がありそうだと皆思っているようだった。

鍛冶屋をさがす案もあったが、はっきりした場所も、そもそも本当に居るかわからないのにむやみに行くわけにはいかないので、偵察中に幸運にも見つけられればよいという話で終わった。
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