スーパーコンパニオンさくらのデート

椎畑庄三郎

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アプローチ

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「アルバイトしてみない?」
少し私に気を許しているように思え、コンパニオンの「さくら」にそう話しかけた。
「えっ、どんなバイト?」
かわいらしく首をかしげて聞き返してきた。そのあどけない顔に胸が痛みを感じ、
「いいや、無理だからやめよう。」
と、目をそらした。
「会長、どんなバイトなの?変なバイト?」
私のそらした目を追いかけるようにして聞き返してきた。

 私はある自治会の会長をしている。今日はその自治会が主催して地元消防団への感謝会で私のほか消防団員や自治会役員数十人が出席している。座を盛り上げるため数名のコンパニオンを呼んであり「さくら」はその一人だ。前回の感謝会にも彼女が来ていて今日は二度目になる。心地いい話し方が私はすっかり気に入り今日は「さくら」に会えるのが楽しみで宴会に参加している。

「ううん、よわったな、変じゃないけど・・・」
 私は彼女ともっと親しくなりたいと思う。私は古希を間近にした老人であり、彼女は二十歳そこそこのうら若き淑女、当然男女の仲は望むべくもないが、二人だけの時間を一時間でも持てたらとおぼろげに考えていた。そして、彼女の時間をバイトの形で求めたら、例えば1万円で二時間ほど話す時間を作ってもらうのは可能かなとの下心で「バイトしない?」と話しかけたのだ。

「どんなバイトかしら。わたしにも出来ますか?」
 当然あなたにしか出来ませんとは思うもののそうとは言えない。

「うん、思い切って言いますよ。」
私は断わられることを覚悟して

「さくらちゃんに二時間働いてもらいたい。時給は5千円。」
「えっ、そんなに。でもどんな仕事?」

 興味津々の顔で聞いてきた。コンパニオンの仕事も似たような時給だろうから普通のバイトより割はいい方だろう。

「恥ずかしいけど・・・、さくらちゃんの事務所に内緒で、うん、僕だけのコンパニオンになって、二時間ほどデートして欲しいんだけど、どうかな?」

目が倍ほど大きく見開かれ、

「デ、デート?」

 声を呑み込むようにして聞いてきた。隣にいた自治会の会計がそんな彼女を不思議な顔で見ているが話の内容までは知らないだろう、すぐよそを向いてしまった。

「うん、例えば映画を見て、そのあとお茶する、それだけだけど、どう?」

すると考え込んでる表情を一瞬し、さらに上目遣いで私を見つめ、

「いいよ、会長が望むなら。」

と小さな声で答えた。
 ドキッと心臓が脈打ち、さらに高鳴る。断られる前提でいた私は嬉しさと戸惑いのカオスの中に堕ちていた。
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