スーパーコンパニオンさくらのデート

椎畑庄三郎

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リリースその一

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それから長い一週間が過ぎた。

 私はライトライン(作者注・宇都宮の新型路面電車)で「トーホーシネマズ」に来ていた。さくらと午後の三時にロビーで待ち合わせている。まだ三十分も前でさくらの姿は当然まだ見えない。

 浮き立つ気持ちは青春時代そのもので初めてのデートで見た映画のことまで思い出している。それは大学一年の時で相手は一つ下の高校生だった。夏休み中、同じバイト先で知り合いその最後の日に思い切ってデートに誘い、快く受諾してくれて翌日、人生初のデートになった。

 喫茶店で待ち合わせ、しばし語らいの後映画を見た。パティ・デュークがでている「奇跡の人」という話題の映画でモノクロの今にして思えば暗い映画だったかもしれない。

 見えない、聞こえない、話せないという三重苦のヘレンケラーに、言葉と生き方まで教育したサリバン先生の物語で、サリバン先生は後の「卒業」というダスティ・ホフマンの主演の映画でロビンソン夫人を演じていたことを昨日のように思いだしていた。映画の感想を話し合うでもなく、しばし公園を散策した後「さよなら」をしてそれきりの初デートだった。

「会長。」

 後ろからさくらが声をかけてきた。古い思い出から現実に戻り、さらに少しの後ろめたさから全身が泡立つ感覚になった。我知らず時計を見ると待ち合わせの時間までまだ十分もある。

「待ちました?」

 時間前なのに殊勝なことを言って小さく頭を下げた。コンパニオンの時と違い質素な普通のお嬢さんといった服装が私には逆に眩しく思え、瞬きを繰り返してしまった。

「全然待ってないよ。今来たところだよ。」

嘘をつく。少なくともニ十分はここで思い出に浸っていたのだが、その素振りは微塵も見せてはいけない。

「ふふっ、わたし待つつもりで早めに来たのに負けちゃいました。」

 そう言って上唇に舌を這わせた。可愛いい。計算でしてるとは思えない。彼女を隣にして映画を見る楽しみが数十倍に膨らんだ
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