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第1章 地方都市ガメル(仮
第10話 恐喝されました
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教会を出ると、大通りに出て冒険者ギルドに向かう。
ケイ少年の知識によると、冒険者ギルドに入った事は無いけど場所は知っていた。
今更だが、ここはホルーン王国にある地方都市ガメル。特にこれと言った特産もない、街道の中間地点にあり宿場町が発展して栄えた街だ。
人口は1万人に届かない程度。国の中では中規模の都市らしい。1万人を超える都市は大都市と呼ばれているそうだ。
「らしい」とか「そうだ」と付けたのはケイ少年がこの街から出た事が無いからだ。他の街については噂程度しか知らない。
《私がお話しましょうか?》
知識の泉なら色々と知ってるだろうけど、まあそこはまた今度でいいかな? 必要になったら教えてもらう事にして、今は冒険者ギルドに向かおう。
《承知しました》
ケイ少年の知識を元に冒険者ギルドに向かうが、そんなに行き慣れた場所では無いのでうろ覚えだ。だんだんと人気の無い道に入っていく。
あれ? こっちで合ってるよね? そう思いつつ更に進むが、一向に冒険者ギルドは見つからない。
うん。どう見ても間違えた。ここは完全に裏通りだ。寧ろスラムに近いかも。
《10分程前の交差点で逆方向に進んだようです。僭越ながら、道案内致しましょうか?》
ああ、やっぱり間違えてるよね。と言うか知識の泉は道案内まで出来るのか。最初からお願いしたら良かった。
とりあえず10分程、来た道を戻るしか無いのかな。
俺が回れ右して引き返そうとすると、後ろを歩いていた男が真っ直ぐ俺の方に向かってくる。何だろう?
《どうやらアタリ屋のようですね。避けて下さい》
知識の泉に言われてスッと横に避ける。勢いよく避けたので、身体に負荷がかかる。
──ボキっ!
あ、また骨がいった。すぐに治るけど痛い。
「うおっ! ぐへぁ!」
男の方も、俺に体当たりでもしようとしていたのか、勢い余って変な声を出しつつそのまますっ転んだ。
よし、今の内にさっさと逃げよう。絶対に絡まれる。
俺は駆け足でその場を後にする。しかし、少し進んだところで路地裏から別の男が出てきて、行く手を阻まれた。
「おいおい、兄ちゃん。俺の舎弟が世話になったようだな」
どうやら、アタリ屋のお仲間さんらしい。
「え? 何の話ですか? あっちの人は、1人で急に転んだだけですよ?」
避けたからね。
「は? え? そうなのか?」
路地から出てきた男は、何とか起き上がり追いついてきた男に尋ねる。男達に挟まれてしまった。
「あ、ああ。こいつ振り向いたと思ったら急に避けやがって、そのまますっ転んじまった」
「なるほど・・・。あー! もういい! 面倒だ。
おい坊主。痛い目に合いたくなければ有り金全部置いていきな!」
開き直った男がそんな事を言い出した。痛い目ならもう合いました。
普段ならお金をそんなに持ってないけど、今日は冒険者ギルドの登録料が必要なので結構持っている。
ケイ少年が貯めていたお金だけど、そこは許して貰いたい。
「どうした? 持ってないのか? ちょっと飛び跳ねてみな?」
どこの世界もカツアゲの方法は同じなんだね。ジャンプしたらお金を持ってるのがバレてしまう。
《森魔法を使って逃亡しますか?》
そんな都合の良い魔法があるなら、是非お願いします。出来るだけ穏便な奴で。
《承知しました。では森魔法・隠れ蓑を使用します》
「なっ、何だ!? 急に消えやがったぞ!」
俺は全く動いていないのに、男達からは見えなくなったようだ。え? 透明になる魔法? 男のロマンがここに!?
《感動しているところ失礼します。見えないだけで、実際には触る事もできますので、まずは移動して下さい》
あっ、はい。すみません。
俺はその場を出来る限りそっと、音を立てずに移動したのだった。
《森魔法・隠れ蓑は音も消しますので、そっと移動する必要はありません》
先に言って! 俺の努力を返して下さい!
とりあえず道を間違えたせいで大変な目にあった。まさに骨折り損のくたびれ儲けだ。
ケイ少年の知識によると、冒険者ギルドに入った事は無いけど場所は知っていた。
今更だが、ここはホルーン王国にある地方都市ガメル。特にこれと言った特産もない、街道の中間地点にあり宿場町が発展して栄えた街だ。
人口は1万人に届かない程度。国の中では中規模の都市らしい。1万人を超える都市は大都市と呼ばれているそうだ。
「らしい」とか「そうだ」と付けたのはケイ少年がこの街から出た事が無いからだ。他の街については噂程度しか知らない。
《私がお話しましょうか?》
知識の泉なら色々と知ってるだろうけど、まあそこはまた今度でいいかな? 必要になったら教えてもらう事にして、今は冒険者ギルドに向かおう。
《承知しました》
ケイ少年の知識を元に冒険者ギルドに向かうが、そんなに行き慣れた場所では無いのでうろ覚えだ。だんだんと人気の無い道に入っていく。
あれ? こっちで合ってるよね? そう思いつつ更に進むが、一向に冒険者ギルドは見つからない。
うん。どう見ても間違えた。ここは完全に裏通りだ。寧ろスラムに近いかも。
《10分程前の交差点で逆方向に進んだようです。僭越ながら、道案内致しましょうか?》
ああ、やっぱり間違えてるよね。と言うか知識の泉は道案内まで出来るのか。最初からお願いしたら良かった。
とりあえず10分程、来た道を戻るしか無いのかな。
俺が回れ右して引き返そうとすると、後ろを歩いていた男が真っ直ぐ俺の方に向かってくる。何だろう?
《どうやらアタリ屋のようですね。避けて下さい》
知識の泉に言われてスッと横に避ける。勢いよく避けたので、身体に負荷がかかる。
──ボキっ!
あ、また骨がいった。すぐに治るけど痛い。
「うおっ! ぐへぁ!」
男の方も、俺に体当たりでもしようとしていたのか、勢い余って変な声を出しつつそのまますっ転んだ。
よし、今の内にさっさと逃げよう。絶対に絡まれる。
俺は駆け足でその場を後にする。しかし、少し進んだところで路地裏から別の男が出てきて、行く手を阻まれた。
「おいおい、兄ちゃん。俺の舎弟が世話になったようだな」
どうやら、アタリ屋のお仲間さんらしい。
「え? 何の話ですか? あっちの人は、1人で急に転んだだけですよ?」
避けたからね。
「は? え? そうなのか?」
路地から出てきた男は、何とか起き上がり追いついてきた男に尋ねる。男達に挟まれてしまった。
「あ、ああ。こいつ振り向いたと思ったら急に避けやがって、そのまますっ転んじまった」
「なるほど・・・。あー! もういい! 面倒だ。
おい坊主。痛い目に合いたくなければ有り金全部置いていきな!」
開き直った男がそんな事を言い出した。痛い目ならもう合いました。
普段ならお金をそんなに持ってないけど、今日は冒険者ギルドの登録料が必要なので結構持っている。
ケイ少年が貯めていたお金だけど、そこは許して貰いたい。
「どうした? 持ってないのか? ちょっと飛び跳ねてみな?」
どこの世界もカツアゲの方法は同じなんだね。ジャンプしたらお金を持ってるのがバレてしまう。
《森魔法を使って逃亡しますか?》
そんな都合の良い魔法があるなら、是非お願いします。出来るだけ穏便な奴で。
《承知しました。では森魔法・隠れ蓑を使用します》
「なっ、何だ!? 急に消えやがったぞ!」
俺は全く動いていないのに、男達からは見えなくなったようだ。え? 透明になる魔法? 男のロマンがここに!?
《感動しているところ失礼します。見えないだけで、実際には触る事もできますので、まずは移動して下さい》
あっ、はい。すみません。
俺はその場を出来る限りそっと、音を立てずに移動したのだった。
《森魔法・隠れ蓑は音も消しますので、そっと移動する必要はありません》
先に言って! 俺の努力を返して下さい!
とりあえず道を間違えたせいで大変な目にあった。まさに骨折り損のくたびれ儲けだ。
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