愛玩洞窟〜汝洞窟を愛せよ、奥に深く深淵に

黒船雷光

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ムーンライト・ホーリースライム編

洞窟の精霊とギルドマスター

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「ところで、ここに落ちて来た他の人たちは?」

 ひとしきり、誓約をして受肉した洞窟精霊の雫を抱いてぷよぷよした床の上でピロートークしながら聞いた。

「最初に言いましたが、全員死にました」
 確かに聞いた。その死体とか…と思っていると、ぷよぷよの床の下の方からゆらゆらと死体…と言うべきか、白骨化した遺体が浮かんできた。

「うわぁ…これ全部そうなの?」
 ざっと30体分くらいはある…

「はい。この方たちは皆、明かりを灯して命の火を失った方たちです」
 というか、この床って…
「はい、私の本体です。『月下の雫』…人の世では『ムーンライト・ホーリースライム』と呼ばれている様です」
 なんかカッコイイな…ホーリーって神聖なとかだしムーンライトはそのまま月光か…ふむふむ。

「そういえば、汝の名を聞いていなかった…名を名乗りなさい」
「え?あ、そうだっけ…名前…ねぇ」記憶喪失で忘れてて気にもしていなかった。意外と名乗らないでもどうにかなるものだと思いながら考えた。
「えーっと…シェル…としておいてくれ」「わかったシェル…我が主人よ」契約前に名前知らないとか大雑把だなと思いながら周りに浮かんできた遺体をどうしようか途方に暮れる。
「この遺体を外に持ち出したい…骨しか残ってないけど、遺留品は残っているし」
「シェルは私を置いて外の世界に帰るのか?」
「ホーリースライム本体は無理でも、雫は付いてこれないのか?」「ナルホド…確かにお前の特性を併せ持つこの分身なら問題なく外の世界でも行ける…と思われるな」

 よし決まりだ。
 スライムの雫と本体の…スレインだっけ…?かはどういう食生活をしているのか…知らないことにして置くが、オレは一部の体液を出し尽くしているので、腹が減って耐えられない。
 飯を食うためにも街に戻りたい。
 雫を連れて行くにしても、素っ裸はマズイので、遺体から幾つかの外套や腰布を拝借して組み合わせて着せる。
 唯一の生存者という体で街に連れ込もう…

 遺体を数体分、申し訳ないが所持しているお金は本人のモノと証明できないので頂戴した…が、遺品と共にギルドに持ち帰った。

 受付に声を掛けると、デコ巨乳眼鏡のおねーさんが化物でも見るような目でオレを見てきた。
「ま、まさか生還されるとは思っても…すいません、よく無事で…そちらの方は?」
 俺の隣でフードを被って目立たないようにさせていた雫に気づく。
「この子は洞窟内で保護した」
「捜索願が出ている方は男性なのですが…どういう経緯か説明頂けますか?」
「オレも分からない。彼女は洞窟内で倒れているところを保護した。そして…」
 おれは適当に集めて持てるだけの分で運んだ遺体と遺品を見せる。

「おそらく前任者たちなのかな?…適当に見繕っただけで全部ではないが…」
「少々お待ちください…」眼鏡ちゃんは奥に引っ込むと、厳ついオッサンを連れて戻って来た。

「あの洞窟から生還したんだって?」ライオンみたいな顔をしたオッサンはマックスと名乗った。
 ギルドマスターらしい。半袖からみえるたくましい腕に残る古傷は元冒険者の類だろう。
「先ずは、行方不明者の遺体の一部回収に感謝する。大きな進展だ…まあ、遺族には説明に苦労するがな…それより知りたい…どうやってあの洞窟から戻ることが出来たのか…」

「そ、それより生還の証拠もあるんだ…懸賞金…10万Gを…二日ほど飯を食って無くて…」
「な?!それは難儀だったな…よし、奥の宿屋で飯を食いながら話をしよう」
 マックスは笑いながら裏口から最初にオレに服を都合してくれた宿屋に連れて行ってくれた。

 掻い摘んでスライムと契約したという話は端折り説明した。
「なるほど…で、その『雫』さんという女性も洞窟内で出会ったと…彼女も記憶が無いと…」
「はい、言葉も通じますし、少し変わったところはありますが一緒に脱出してきました」

「結局他の冒険者たちの命を奪ったのは…」
「巨大なスライムだったようです…」
 オレは運ばれてきたスープとパンを貪り、ハンバーグを丸のみしながらモグモグ答えた。

「何?!」
「オレはたまたま明かりも無しに飛び込んでそのスライムの上に落ちて助かりましたが、他の冒険者は明かりをつけていたが故にスライムに攻撃を受けて全滅したのではないかと…」嘘は言っていない。
 隣でパンが気に入ったのかモフモフ食べている雫はその美しい容姿が悪目立ちするが、こうしてみていてもスライムの精霊から生まれた娘とは気づかない。…多分。
 マックスは保護者がオレだというと「そうか」と言い、あまり言及してこなかった。

「ふうむ…スライムが…そんな巨大で強力なスライムの話など余り聞いたことがないが…」
「そうなんですね…てっきりホーリースライムとかそう言う類なのかと…」
 うっかり、俺が口にしたその【単語ワード】にマックスは過剰に反応した。

「おい、今って言ったのか?」
「うえぇ?な、何ですか?」
「ホーリースライムってのはな…伝説というか神話級の存在で、ここ数百年の歴史に名前が出てきたことは無いから最早おとぎ話とまで言われている存在だ。どこでその話を聞いた?」
「え、いや…その…子供の頃に教会とかで聞かされた…とか?」適当なこと言ったら納得してくれた。

「ふむ…今は教会の孤児院にある養育施設の図書室にある絵本に載っているくらいしか無いが…その中の話では『サンライト・ムーンライト・アクアライト・アースライト』という四大ホーリースライムが創世期に最初に地上に降り立った生物で、世界の発展と共にその分身が世界に溶け込み、本体は概念だけになって世の中の全ての知恵と力を集めている…という話だからな…」
「そんな話でしたっけ…ははは…」え?オレの隣にいる雫ってそんなヤバイ奴なの?と思いながら話を聞いていた。

「ともかく、その洞窟には本国に掛け合って討伐隊と、他の遺体を回収する探索隊を派遣要請しよう。シェルにはその時に水先案内人になってもらう可能性が高い」よろしく頼むと言って飯代を払ってもらった。
 ギルドで報奨金を改めてもらうと、宿屋の親父に礼を言って金を払おうとすると「いいから気にするな…その代わり泊って行ってくれ」というので、部屋を取って雫と肌を重ねる。

 ベッドの上で雫を抱くと、いよいよ彼女の美しさが映え、また日常というシチュエーションがオレを萌えさせた。
 彼女の体は半分俺の要素で出来ている…と考えると一寸萎えそうになるが、オレの想いを汲んで反応してくれる。
「汝が望むなら、どんなことでも…」と言い、明るい部屋の中でもどんな痴態にも応じてくれる。何度も何度も求め合い、あらゆる体液を交換しつつ果てた。
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