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サンライト・ホーリースライム編
最期の時…そして
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……………
………
…。
「…ぇぅぁ」
「シェル…様ぁ」
「ガハァ!!」うえぇ…口の中がどろどろの血だらけである…
オレは、天幕の中で目を覚ました。
「シェル様ぁ~」アストリッドのグシャグシャに乱れた顔が視界に入る。
彼女と雫が瀕死のオレをネクロノミコンの秘術でギリギリのところを救い出してくれたのが分かる。
頭を上げて、自分の胸を見下ろそうとする。あまりよく見えないが…鳩尾辺りに醜い再生跡が残っている。
それを自分で触ってみる…うおぉ…気持ち悪…何だか自分の心臓を直接触れるような感触がある。
頭部と首は護った。
首を飛ばされる、頭部を破壊されるのが即死コースの最悪パターンであったので、それ以外を捨てた。
オレの心臓を狙って突きだされた奴の太刀はオレの心臓を破壊するために当たりながら抉っていった。
だが、雫の強化魔法がオレの筋肉と骨をひたすら固くするものであった。固くし過ぎたら今度は破砕していたかもしれないが、だからと言って中途半端だと貫通して結局破壊される。オレは防御全振りした。
賭けではあったが上手くいったと言えるだろう。
アストリッドを前線から引っ込めておいたのも、オレを最速で再生してもらうためであった。
どうやら予防伏線回収成功であった。
そして周囲を見渡すと、雫と鉄魁、黒曜と娘、正面にエラリアがいて、それより遠くにレイラ、ナディア、ブリギッタそして、ラカスタの三人が控えている。
「……アルヴァは…?」
「死滅した…跡形も残しておらん」エラリアの冷徹な言葉が聞こえてくる。
「そうですか…」
今回のオレの勝因は考えなくても分かっていた。オレが勝ったわけではない。
奴の、奴らのためだけの正義に、オレ達の関わり合いを持つ同志の絆とそれに起因する連携とそれを信じて実行した結束力が最後に重なっただけだ。
「我が積年の恨み…シェルのお陰で果たせた。礼を言うぞ……トドメの一撃を託されたのも感慨深い。前回はその直前で封印を喰らったからの…」
エラリアは満足そうに鼻息荒くして居る。
最後のあの瞬間、雫に掛けてもらったマナ活性化の魔法はオレを強くするだけではなかった。
マナの異常なまでの極度集中による座標を周囲に知らしめる狼煙のようなものだった。
オレは最後にこの賭けを仕込み、みんなを抱き、みんなと同調してマナのシンクロを行った。
オレの放った精が彼女たちの中でオレと同期してすべてのタイミングを伝えるようにした。
彼女たちをコントロールするためでも、スキルを奪うためでもない、愛と言う名前のシンクロを行う儀式だった。
直前に到着した黒曜にはそれが叶わなかったが、彼女の登場は戦況をひっくり返し、奴と対峙するためには必要な演出だった。
彼女との密なる関係で生まれた娘は、初めての変化を行い黒曜が初めて人間に変化した時を思い出す幼女の姿になってあいさつに来た。
「しぇる様…しぇる様は、はは様と同じ匂いがします…しぇる様ははは様の何なのですか?」
「何なんだろうね…親?父?」
「やった!とと様なのですね!お会いできてうれしい!」
抱きつかれるとこそばゆい…と思ったけどそんなに甘くなかった…いてえぇ!力は半端なかった。
「名前は…決まっているのか?」
「決まってないよ?」
「お前も黒龍なんだよな…」
「はい、とと様」
「得意技は?」
「……はは様と同じことは出来ますヨ!」
「洛陽…はどうだ?」
周囲は何で?となったが、本人は納得してくれたので洛陽とした。
「それで、敵軍は…」
「大将を取られて逆らう輩はいなかった…それどころか……」
軍師的な立場で事後の采配を振るったブリギッタが戦況を報告する。
「それどころか…侍は…恭順し殉死しましたので…止めるのが大変でした」
殉死…切腹か…そこまでの仕える価値がある大将だったのだろうか…?
「ともかく、残ったモノは武装解除し、捕虜として捉えております」
「そうか…ブリギッタ…ありがとう」
「滅相もございません殿下…お気遣いいただき感謝いたします」
そうではない…彼女がガルバルディ自治領から連れて来てくれたヴェルヘルムの狙撃がオレ達の危機を救ってくれたのだ。
まあ、そのことを指摘したとしても彼女は当然のことをしたと笑うだろう。
実際、ガルバルディ自治領の火薬武器類の投入は初期から考えていたが、虐殺が過ぎて一方的になりかねなかったし、逆にアルヴァには警戒されて対峙することが叶わなかった可能性が高い。
とはいえ、その為にはあまりにも犠牲が多かった…
ケルベロスのメンバーは今回も多くの戦死者を出していた。
そして共に戦ってくれたドレグ=ヴァス…リザードマン達名も知らない戦士たちが、鉄魁の部下のオーク達共々失われた。
オーガのシンとヘイは重症ながら生き残った。鉄平と鉄心も戦線ではなく後方支援に回っていて無事だった。
あとは、契約者を失ったサンライト・ホーリースライムとアクアライト・ホーリースライムの統合を行うためにジパングに乗り込む必要はあった。
「雫…」「何であるか我が主?」「終わったのかな…」
「各ホーリースライムの共鳴者は互いの役目を終わらせたが故に、汝に統合される…終了したと言えるだろう」
「雫……ありがとう」
雫は少し驚いたような顔をしてから、優しく笑った。
「汝を主に迎えられて我も嬉しく思う…」
「そうだな…そう言ってもらえると、頑張った甲斐があるってものだ」
オレはこれまでのここでの暮らしを反芻してみる。
異世界転生から始まり、雫との出会い、エルダリア王国で出会った仲間と共にガルバルディ帝国を破り、亜人を仲間にして侍を破って完全勝利…
割とアレを端折ると短くなるものだ…と思いつつも、アレがあったおかげで今のオレがある。
「雫…」三度彼女の名を呼ぶと、彼女は身に纏う衣装を落してオレの上に重なる。
エラリアは少し呆れた顔をしてから、天幕を皆を引き連れて出て行った。
「後でちゃんとワシも相手せいよ?」と言い残しながら。
………
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「…ぇぅぁ」
「シェル…様ぁ」
「ガハァ!!」うえぇ…口の中がどろどろの血だらけである…
オレは、天幕の中で目を覚ました。
「シェル様ぁ~」アストリッドのグシャグシャに乱れた顔が視界に入る。
彼女と雫が瀕死のオレをネクロノミコンの秘術でギリギリのところを救い出してくれたのが分かる。
頭を上げて、自分の胸を見下ろそうとする。あまりよく見えないが…鳩尾辺りに醜い再生跡が残っている。
それを自分で触ってみる…うおぉ…気持ち悪…何だか自分の心臓を直接触れるような感触がある。
頭部と首は護った。
首を飛ばされる、頭部を破壊されるのが即死コースの最悪パターンであったので、それ以外を捨てた。
オレの心臓を狙って突きだされた奴の太刀はオレの心臓を破壊するために当たりながら抉っていった。
だが、雫の強化魔法がオレの筋肉と骨をひたすら固くするものであった。固くし過ぎたら今度は破砕していたかもしれないが、だからと言って中途半端だと貫通して結局破壊される。オレは防御全振りした。
賭けではあったが上手くいったと言えるだろう。
アストリッドを前線から引っ込めておいたのも、オレを最速で再生してもらうためであった。
どうやら予防伏線回収成功であった。
そして周囲を見渡すと、雫と鉄魁、黒曜と娘、正面にエラリアがいて、それより遠くにレイラ、ナディア、ブリギッタそして、ラカスタの三人が控えている。
「……アルヴァは…?」
「死滅した…跡形も残しておらん」エラリアの冷徹な言葉が聞こえてくる。
「そうですか…」
今回のオレの勝因は考えなくても分かっていた。オレが勝ったわけではない。
奴の、奴らのためだけの正義に、オレ達の関わり合いを持つ同志の絆とそれに起因する連携とそれを信じて実行した結束力が最後に重なっただけだ。
「我が積年の恨み…シェルのお陰で果たせた。礼を言うぞ……トドメの一撃を託されたのも感慨深い。前回はその直前で封印を喰らったからの…」
エラリアは満足そうに鼻息荒くして居る。
最後のあの瞬間、雫に掛けてもらったマナ活性化の魔法はオレを強くするだけではなかった。
マナの異常なまでの極度集中による座標を周囲に知らしめる狼煙のようなものだった。
オレは最後にこの賭けを仕込み、みんなを抱き、みんなと同調してマナのシンクロを行った。
オレの放った精が彼女たちの中でオレと同期してすべてのタイミングを伝えるようにした。
彼女たちをコントロールするためでも、スキルを奪うためでもない、愛と言う名前のシンクロを行う儀式だった。
直前に到着した黒曜にはそれが叶わなかったが、彼女の登場は戦況をひっくり返し、奴と対峙するためには必要な演出だった。
彼女との密なる関係で生まれた娘は、初めての変化を行い黒曜が初めて人間に変化した時を思い出す幼女の姿になってあいさつに来た。
「しぇる様…しぇる様は、はは様と同じ匂いがします…しぇる様ははは様の何なのですか?」
「何なんだろうね…親?父?」
「やった!とと様なのですね!お会いできてうれしい!」
抱きつかれるとこそばゆい…と思ったけどそんなに甘くなかった…いてえぇ!力は半端なかった。
「名前は…決まっているのか?」
「決まってないよ?」
「お前も黒龍なんだよな…」
「はい、とと様」
「得意技は?」
「……はは様と同じことは出来ますヨ!」
「洛陽…はどうだ?」
周囲は何で?となったが、本人は納得してくれたので洛陽とした。
「それで、敵軍は…」
「大将を取られて逆らう輩はいなかった…それどころか……」
軍師的な立場で事後の采配を振るったブリギッタが戦況を報告する。
「それどころか…侍は…恭順し殉死しましたので…止めるのが大変でした」
殉死…切腹か…そこまでの仕える価値がある大将だったのだろうか…?
「ともかく、残ったモノは武装解除し、捕虜として捉えております」
「そうか…ブリギッタ…ありがとう」
「滅相もございません殿下…お気遣いいただき感謝いたします」
そうではない…彼女がガルバルディ自治領から連れて来てくれたヴェルヘルムの狙撃がオレ達の危機を救ってくれたのだ。
まあ、そのことを指摘したとしても彼女は当然のことをしたと笑うだろう。
実際、ガルバルディ自治領の火薬武器類の投入は初期から考えていたが、虐殺が過ぎて一方的になりかねなかったし、逆にアルヴァには警戒されて対峙することが叶わなかった可能性が高い。
とはいえ、その為にはあまりにも犠牲が多かった…
ケルベロスのメンバーは今回も多くの戦死者を出していた。
そして共に戦ってくれたドレグ=ヴァス…リザードマン達名も知らない戦士たちが、鉄魁の部下のオーク達共々失われた。
オーガのシンとヘイは重症ながら生き残った。鉄平と鉄心も戦線ではなく後方支援に回っていて無事だった。
あとは、契約者を失ったサンライト・ホーリースライムとアクアライト・ホーリースライムの統合を行うためにジパングに乗り込む必要はあった。
「雫…」「何であるか我が主?」「終わったのかな…」
「各ホーリースライムの共鳴者は互いの役目を終わらせたが故に、汝に統合される…終了したと言えるだろう」
「雫……ありがとう」
雫は少し驚いたような顔をしてから、優しく笑った。
「汝を主に迎えられて我も嬉しく思う…」
「そうだな…そう言ってもらえると、頑張った甲斐があるってものだ」
オレはこれまでのここでの暮らしを反芻してみる。
異世界転生から始まり、雫との出会い、エルダリア王国で出会った仲間と共にガルバルディ帝国を破り、亜人を仲間にして侍を破って完全勝利…
割とアレを端折ると短くなるものだ…と思いつつも、アレがあったおかげで今のオレがある。
「雫…」三度彼女の名を呼ぶと、彼女は身に纏う衣装を落してオレの上に重なる。
エラリアは少し呆れた顔をしてから、天幕を皆を引き連れて出て行った。
「後でちゃんとワシも相手せいよ?」と言い残しながら。
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