愛玩洞窟〜汝洞窟を愛せよ、奥に深く深淵に

黒船雷光

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ジパング編

エルフの樹と世界の理

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 美しく澄んだ空気だが、常人が住めないこの空間を結界は守っているのか、守られているのか…

 オレ達は天上人ともいわれるエルフ達が支配の基盤をホーリースライムの使役で得ていると考えていた。
 その影響で間違いないと思われる論を展開した雫の弁は侍たちの無益な争いを諫めてしまった。

 小夜とアカツキ、お銀とサユリはこの国の住人だからか耐性を発揮して、オレとのキスから共有されるマナで立ち直った。
 逆にラカスタ達は対応しきれないとのことで残ってもらうことに。

 世界樹根、幹を小夜の案内でよじ登っていくと、中腹くらいの洞の中に巨大な宮殿が見えて来た。
「コレがエルフの宮か……?」
「はい、そうです。言い伝えの通りでした…しかし、人がここに立ち入ることはこれまで叶いませんでした」
 特に何か警戒されて襲撃されることもなく着いてしまったが…やはりこのマナの濃度の問題もあるのだろう。
 境内を歩き進むと……

「何じゃお前たちは…下級なヒトの身でここに至ったのか?」
 着流しを軽く身に着けただけで、全身大切なところを隠すこともなく丸出しのしなやかで美しい裸体を晒す薄い鶯色の長い髪を垂らしたエルフが宮殿入り口のテラスに座ってくつろいだ姿勢を崩すこともなく声を掛けて来た。

 サユリも人の中では相当美しい外見をしていると思ったが、本物のエルフは別格であった。

 その細く繊細だがメリハリの利いた美しいボディライン。驚くほど長い手足、隠しもしない豊かな胸は重力に逆らって前に突き出され自己主張を隠さない。下半身には自然と生え揃う草原とその奥に渓谷が見てとれる。
 肌は薄く金色に近い乳白色が透き通る様に輝きを称え、瞳は深い碧だ。
 どんな芸術作品もひれ伏すほどの美貌を持つが、表情は薄く言葉を発しても動く彫刻作品の様だ。

「オレ達は、サンライト・ホーリースライムの統合をしに来た。ここに居る雫という彼女は、オレと契約しているムーンライト・ホーリースライムの分体だ」

「サンライト…嗚呼、この世界樹の根幹をなす生命の核のことかの?……この数百年この地のみならず、世界の生命の根幹を支えている世界システムをどうにかしようというのか?愚かしい…」

「お前たちの王、アルヴァ=エリオス・シルヴァリオンは、ホーリースライムの代理戦争を仕掛けて来て、オレ達が打ち破った。審判は下った…日輪の霖は月下の雫と統合される」

 そこまで聞いて、そのエルフは初めて表情が変わった。
「アルヴァが何だって?」
「オレ達が倒した。何度も言わせるな」

「ふふふ…ははははは!面白い!」
 唐突に顔をゆがめて笑い出す女エルフ。
「数百年ぶりに笑ったわ…ここ最近感情が動いたことが無かったからな…その冗談は笑えるな」

「何か…どうしたのエルシオンティア?」もう一人奥からエルフが現れる。
 今度は葡萄を彷彿とさせる青紫色のウェーブの掛かった髪の毛が特徴な女性のエルフが登場する。無防備すぎるエルシオンティアと呼ばれたエルフよりはまともな格好をしている…様に見えたが、やはり着流し一枚を身につけているだけで前が開けて居るわけではないがその美しいメリハリのある体の凹凸を隠す気はない様だ…

「聞いてよイリュミナリア…この野蛮猿がアルヴァを倒したとか言うから…アハハ」
 エルシオンティアと言われたミドリの話を聞いて片眉を上げるイリュミナリアのムラサキは、少し警戒するように鋭い視線を向けてきている。

「低俗なる民族の愚か者たちよ…どうやってここまでたどり着いたのだ?奴婢ぬひらには個々のマナ濃度は耐えられまい?」
 やはり人除けのために、そういった処置をしているのか…にしても、目の毒な格好をしやがって…
 あ、ほら…お銀がしらけた目でこっち見てるぞ…

「そのマナのコントロール、世界樹を支えているのがサンライト・ホーリースライムなんだろ?オレ達はそれを統合しようとしに来た……悪いけどそのコアのところに案内してくれないかな?」

「何じゃと?キサマがアルヴァを倒しただと?…あの全知全能の勇者をか?…ありえんだろう」
「だから言ったじゃろ…笑かしよる……と」警戒するイリュミナリア(紫)と面白がるエルシオンティア(碧)の構図だが、二人が並んでこの自然の巨木の中央に組み込まれた木造建築の巨大な宮を背景に佇む姿はそれだけで絵になっている。

「アルヴァが敗れることなど、万が一にもあり得ないが…奴婢らがここに立っていることは憂慮すべきことじゃな…今なら穏便に済ます故草々に立ち去るがよい」

 あ、ダメだこの人たち会話が成立しないタイプだ…自分たちの尺度でしかものを見ず、人の話なんか聞かない…前世の嫌な記憶がよみがえる。

「ええと…みどりの人、さっき久々に笑ったと言ったね…」
「み、みどりの人?ワラワのことか?」エルシオンティアというエルフが反応する。
 オレは一つの賭けをすることにした。イリュミナリアという紫の方は、抜け目ない顔をしている。オレ達を舐めてはいるが、何か決定的な力を持っていそうである。制するならこちらを先に…だが、直接会話をするとこちらの意図を察する可能性が高い…

「うん?…オマエは…雄か?」
「そうだよ……興味あるか?」
「ふん…下種な野蛮族の…その…うん?」
 オレは無作為に距離を詰める。後ろには雫が付き添う…

「なんじゃ…奴婢が我らに近づくなど百年単位で無いことじゃぞ!」

「そうかい?…数百年ぶりに?ちょっと愉しい事をしようじゃないか?」
「む…」

 そう、オレは久々に本領を発揮している。フェロモンをマックス振りまきながら二人に近づいている。
 後ろに付き従う雫もそのブーストをかけている。濃密なマナは、常人には毒だが雫にとっては十二分に吸収できる力の源なのだ。しばらく大人しくして省エネモードだった彼女は本来のパフォーマンスを発揮し始めていた。
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