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……二年目……
【18】初日の夜(☆)
「す、少し早いが、夕食を作るか」
先に沈黙を破ったのは、遠園寺だった。俺は勢いよく何度も頷いて、動揺を消す努力をした。メニューは、初日は二人きりでちょっと寂しいがBBQをする事になっていた。明日は花火大会で買い食い予定、明後日は釣りに行くのだったかな……ダメだ、キスの衝撃が強すぎて計画を忘れてしまった。最終日はカレーを作るのだったと思う。
こうして作るというほどでもないが、俺と遠園寺は一階に降りて、野菜を切ったり、肉や海鮮の用意をした。それから外へと出て、BBQ用の炭や網の準備をした。俺も遠園寺もお互いの事を意識しすぎているのか、完全におかしな空気が漂っていたが――火を起こす頃には、落ち着いていた。
遠園寺家のシェフお手製の焼肉のたれが非常に美味しかった。二人ではちょっと食べきれない量だったので、少し多く焼いた分は朝食用に、残りは冷凍庫や冷蔵庫に放り込む事とした。
「温泉もあるらしい」
遠園寺がそう言ったのは、別荘の浴室から出てきた時の事である。冷蔵庫に食材を戻していた俺はそれを聞いて頷いた。入れ違いに、俺が風呂に入る事にする。皿洗いは遠園寺がやってくれると話していた。
お湯に浸ってから、俺は鏡の前で座った。体を洗う泡を立てながら――思い出すのはキスの事である。そうだ、そうだよ、これから一週間、二人きりなんだよ!
今となっては、お試し期間であるというのを、俺は忘れつつある。相応に、遠園寺の事が好ましい気もするし……キス、嫌じゃなかった……。それが全てだろう……。
「もしかして俺は、これが校内だったら、不純同性交友として始末書を提出させるような行為をするのか……? え?」
体を念入りに洗いながら、俺は呟いた。まずもってそもそも、遠園寺は上か下かどちらでも良いのか、それからして俺は知らない。これまで遠園寺が俺に、そうしたネタを振ってきた事は一度もないのだ。なのだから、俺の考えすぎか? いいや、押し倒すと言ったのは奴だ。という事は、俺を下だと奴は想定しているのか? 遠園寺は即ち上か?
大混乱状態で体を洗い終えて、俺は再び浴槽に沈んだ。
そうして戦々恐々としながらお風呂から出ると、遠園寺が宣言通りお皿を洗い終えた所だった。紙皿類は捨てている。
「明日に備えて、今日は早めに休むか」
遠園寺が俺を見ていった。再び俺は、自分の考えすぎの可能性を検討した。
「そ、そうだな」
なので小刻みに顎を動かして同意すると、遠園寺が苦笑した。
「意識して欲しいとは思っていたがなぁ、そこまで緊張されるとそれはそれで寂しいぞ」
「き、緊張などしていない!」
「そうか? じゃ、寝るか」
「ああ」
こうして俺達は寝室へと向かった。今更ながらに巨大なベッドの存在感に戦慄する。完全にぎこちない俺とは異なり、現在の遠園寺は余裕が有るように見える。掛け布団を手にしている遠園寺は、それから壁際に詰めた。そして俺を見る。
「さっさと来い」
「……あ、ああ」
考えすぎだと再度念じて、俺は寝台へと向かった。すると遠園寺が俺の腕を引っ張った。
「!」
「俺と同じ匂いがするお前っていうのも良いな」
「は、離せ……!」
同じシャンプーを使ったのだから当然だろうと言いたかったが、緊張から雑談する気分ではなくなってしまった。遠園寺の腕の中で、その胸板を押し返そうとジタバタもがいた俺であるが、やはりビクともしない。
「前から思っていたのだが、遠園寺は護身術をどのくらい極めているんだ?」
「物心つく前から習ってきたが? 澪標学園でも、生徒会役員は特に全員定期的に護身術の訓練を受けているしな」
「そうなのか。風紀委員にもそれを取り入れるべきかも知れない」
「好きにしろ。だが、今は学園の事は忘れろ。いきなりなんだ?」
「だってお前を振り払えないなんて、こんなのは、だから、その……」
「俺様の腕の中に収まっていれば良いだろうが」
遠園寺が小さく吹き出した。俺は小さく遠園寺を睨んだ。唇を尖らせて、抗議しようと言葉を考える。するとその時、またキスをされた。触れるだけのキスだった。
「今のはお前が悪い。可愛い顔をした郁斗が悪い」
「俺が可愛いだと? それは褒めているのか? 馬鹿にしているのか?」
「褒め言葉だ」
喉で笑った遠園寺は、それから俺の首筋に唇を落とした。流れるような動作だったものだから、俺は無抵抗でそれを受け入れていた。
「!」
ツキンと僅かにその箇所が疼き、キスマークを付けられたのだと分かる。
「脱げよ」
顔を上げた遠園寺が、少し掠れた声で囁くように言った。俺は真っ赤になって俯いてから――小さく頷く事にした。それからチラリと目を開けて遠園寺を見ると、遠園寺もまた真っ赤だった。遠園寺が俺のTシャツを脱がせにかかる。俺もまた遠園寺の服に手を伸ばした。すると遠園寺が言った。
「俺様は脱がなくて良い」
「俺だけ脱ぐなんて不公平だ」
「――脱いだら、俺様は満足するまで、つまり最後までするぞ?」
「え?」
「最初だし、郁斗を慣らしてやるから、大人しく俺様に従っておけ」
「な……」
「イメージトレーニングはばっちりだから、俺様に任せておけ」
どんなイメトレだ。俺は叫びたかったが言葉にならない。こうして結局、俺だけが服を脱いだ。遠園寺は、そんな俺の萎えきっているブツをじっと見た。恥ずかしすぎて俺は足を閉じた。すると少し強引に、遠園寺が俺の太ももの間に膝をついた。思わず俺が上半身を起こして抵抗しようとすると、そのまま押し倒してきた。
「ッ……っ……あ、おい、と、遠園寺……」
遠園寺が、俺の右乳首を唇で挟んだ。そしてチロチロと舌先で乳首を転がす。その感触に俺はド緊張して抵抗をやめた。続いて遠園寺が左の乳頭を舌で嬲りながら、右手を俺のブツに伸ばしてきた。普段は存在すらよく覚えていない乳首への刺激とは異なり、ブツを握りこまれるとさすがに全身がゾクリとした。
「っ……ぁ……」
ゆるゆると遠園寺が手を動かし始める。するとすぐに俺のモノはガチガチに反応してしまった。筋をなぞるように動かされたり、先端を親指で強めに刺激されると、それだけで達してしまいそうになった。
「気持ち良いか?」
「聞かないでくれ……っ、ン……」
「聞きてぇんだよ。もっと郁斗の声も聞きたい」
遠園寺はそう言うと、体を起こして、少し位置を変えた。そして俺のブツを、口に含んだ。両手を添えて扱きながら、俺の息子を舐め始めた。温かい遠園寺の口の感触に、俺はビクッとした。遠園寺は唇に少し力を込めて、重点的に俺のカリ首を刺激する。そうされると、腰から感覚が無くなりそうになった。俺は快楽というより困惑から、思わず目を潤ませた。気持ち良いが、これは怖い。誰かに触られるのは初めてなのだ。
「あ……と、遠園寺……ッ、う……ああッ」
俺の声が震えた。俺はもう出てしまいそうだと思い、慌てて遠園寺の頭に手を伸ばす。すると遠園寺の口の動きが早くなった。
「ダメだ、出るから、離し――っ、うあ!」
結局そのまま、俺は呆気なく放ってしまった。肩で呼吸をしながら、俺は遠園寺が俺の出したものを飲み込んだ姿を目にして、気が遠くなりそうになった。恥ずかしい。
「吐き出せ、馬鹿」
「――俺様の手で、イかせられてまず一つ満足だ」
「手というか、口だな」
「……だから、雰囲気をぶち壊すツッコミを入れるな」
遠園寺はそう言うと、ベッドサイドから、ローションのボトルを手に取った。そして指にローションをタラタラと垂らした。それを見て、俺は完全に硬直した。学園ではよく没収している品だが、まさか自分が使う日がくるとは思ってもいなかったのである。
「力を抜け」
「っ……」
命令するな、と、言ってやりたい所だったが、冷たいローションの感触で言葉が俺の脳裏から消失した。ぬめる感覚以外、何も理解できなくなる。ゆっくりとそんな俺の中へと遠園寺の指が入ってくる。
「……ッ、ァ」
人差し指を根元まで入れられて、先端を軽く折り曲げられた瞬間、変な声が出てしまった。そうされると、ジンと体全体に気持ち良さが響いてくると知った。
「ここか?」
「あ、あ、あ」
「ここみてぇだな」
「遠園寺……ッ、あ……んンっ!」
ローションの熱が体の温度と同化してしまったようになる。指を動かされる度にそれでもくちゅりと音がする。その時、指が二本に増えた。押し広げられるような感覚がして、俺のブツが再び反応を見せ始める。今度は二本の指先を揃えて、感じる場所を刺激された。すると完全に射精感に似た気持ち良さに全身を絡め取られそうになり、俺は必死で声を押し殺すはめになった。
「三本目」
「ぁ……ああ、ッ!」
指がさらに増えた。俺は体を震わせながら、首を振った。
「無理だ、もう入らない」
「俺様のものはこれよりも太い」
「つまりは、入らないってことだ!」
「……入るように慣らすから任せておけ」
「ん――!」
三本の指を抜き差しし、時にバラバラに遠園寺が動かす。俺は次第にわけがわからなくなり始めた。衝撃が強すぎる。気持ち良いとか悪いという次元を超えていた。完全に未知との遭遇だ。
「あ、あア! あ、ああっ……あ、あ、ダメだ、遠園寺、も、もう……――っく」
その後、俺は今度は中を弄られている内に放ってしまった。そんな自分の体に愕然とした。怖くなって涙ぐんでいると、遠園寺が手の動きを一度止めた。そしてニヤリと笑った。
「今夜はたっぷり慣らしてやるから安心しろ」
「何一つ安心出来無い! 早く寝るんじゃなかったのか!?」
「――まだ夜はこれからだからな」
「おい!」
結局その夜、俺は何度も指で解され、最終的には気持ち良くなってしまい、遠園寺に流されたのだった。なお、最後まで遠園寺が服を脱ぐ事はなく、奴は俺が力尽きそうになった頃、二度目のシャワーを浴びに行ったのだった。多分、右手で処理したのだろう。
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