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―― 第四章 ――
【第三十二話】復帰
しおりを挟む三日間の休暇が終わり、昼斗は通常任務に復帰した。休暇中はずっと昴に甘やかされていたから、久しぶりに基地のエレベーターに乗った時には、意識して気を引き締めなければならなかった。隣に立つ昴の存在が、じわりじわりと心を侵食してくるから、冷静になろうと幾度も試みて、けれどその度に改めて視界に捉えては、煩くなる胸の動悸に苛まれた。
「じゃあ、また後でね」
本日も司令官室に行くのだという昴は、エレベーターを降りる間際に、昼斗の唇に触れるだけのキスをした。見送ってから、扉が閉まるのを見ていた昼斗は、片手で唇を覆い、暫しの間赤面していた。
こうして久方ぶりに向かった訓練フロアで、まずは筋力トレーニングをした。
すると環が顔を出した。
「昼斗、もう大丈夫なのか?」
年下の研究者の声に、静かに昼斗が頷く。それを見て笑顔を浮かべた環は、白衣のポケットに両手を入れると、深々と嘆息した。
「実は、A-001シリーズ……第一世代オリジナル機の復古計画があるだろ?」
切り出した環は、ポケットから栄養ドリンクの瓶を一本取り出し、昼斗に差し出した。受け取りながら、昼斗は頷く。すると環が続けた。
「回収したA-002からA-011の機体の一部を繋ぎ合わせて、欠落している部品は、第二世代と第三世代機のを組み合わせて、どうにかオリジナルを復元できないかと頑張ってるところで、元々は他国の基地が主導だったんだけどな、今回この北関東基地で稼働実験をする事になったんだよ」
話だけは聞いた事のあった昼斗は、瓶の蓋を捻りながら頷く。
「というのも、他の基地じゃ、ピクリとも動かなかったからなんだよ。今、保が起動テストをしてるけど……今のところ、北関東基地でも起動しない。なぁ、昼斗? 第一世代機は適性パイロットじゃないと動かせないだろ? でも、保は適性が確認されてるのに動かないんだ。遺伝子レベルでコーディネートされてて適性が更にあるはずの瀬是でも動かない。何か、コツみたいなのってあるのか?」
困ったような環の声を聴き、栄養ドリンクを飲みながら、昼斗は思案した。己の場合は、本当に偶発的にパイロットになってしまっただけであるから、コツと言われても分からない。操作技法の訓練は、それこそ自分以外の人々の方が幼少時より専門的に受けている事も理解している。
「俺には分からない」
「うーん……試しに乗ってみてくれないか?」
「ああ、それは構わないけどな」
こうして二人は、格納庫へと向かう事になった。
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