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―― 第六章 ――
【第四十三話】発熱
しおりを挟む「ストレス性の発熱ですね」
車内も無言で、無表情の昴の隣にいた昼斗は、基地の病院でそう告げられた。
最初、何を言われたのか、上手く理解出来なかった。
「体には異常がありません。何か、最近ありましたか?」
医師の相良早織の言葉に、昼斗は首を振る。黒縁の眼鏡をかけた青年医師は、腕を組み、チラリと背後に立っていた昴を一瞥した。昴は相変わらずの無表情だ。
「まぁ、俗にいう知恵熱です。ただ、高熱ですから相応に体は疲弊します。なるべくストレスを貯めないように、安静にする事が大切ですね」
相良の診断に、昼斗が頷いた。しかし本人の意識上には、本当に心当たりは特になかった。診察後、今日はそのまま帰宅する事になり、二人は車に乗り込んだ。するとハンドルに右手を置き、昴が前を見たままで述べた。
「そんなに昨日の事は、ショックだったの?」
「昨日の事? いいや?」
「じゃあ何か他にストレスが?」
「昴、お前のせいじゃないぞ。お前は、正しい事しか言っていない」
「……そうだね。俺はそう思ってるよ」
「知恵熱だっていうし、明日には落ち着いているだろう。明日の朝こそ、俺が作る」
昼斗はそう言うと――唇の端を持ち上げた。めったにこれまで笑わなかった昼斗だったが、自然と笑う事が出来たのは、昴を安心させたいという気持ちがあったからだ。チラリとそれを見た昴は、無表情のままで、ただ不機嫌そうな顔をしているだけだった。
その言葉の通り、翌朝には昼斗の熱は下がっていた。
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