黒薔薇の刻印

猫宮乾

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【五】絶望の始まりⅡ

 ――次に目を覚ますと、俺は馬車から降ろされようとしていた。俺を抱き上げているベリアス将軍は、実に楽しそうに笑っている。

「今から火の国の国王陛下に、お前を報償として貰い受ける交渉をする」

 俺を横抱きにしたまま、ベリアス将軍が歩き始めた。何も考えられないままで、俺は彼の胸の服を掴んでいた。既に点滴は外れていたが、全身が熱いままだ。

 火の国の宮殿は豪奢で、樹の国の造りとは異なっていた。等間隔に甲冑や彫刻が並んでいる。ぼんやりとそれらを見たまま進み、俺は玉座の間へと連れて行かれた。

「よく帰還した、ベリアスよ」

 近衛騎士が開けた扉から、俺を抱いたまま将軍が入場すると、玉座に腰を下ろしていた火の国の国王陛下が立ち上がった。そして俺を一瞥すると、顔を背けた。

「全て殺せと命じたはずだが? その魔力気配、樹の国の王族では無いのか?」
「なに、このような弱い子供など、飽きたらいつでも殺せます。それより陛下、暫し、私めにこの者を玩具としてお与え下さい」
「――好きにせよ。飽きたら殺すのだぞ?」
「ええ」

 その言葉に怯える余裕さえ無かった。一礼するとベリアス将軍は、そのまま俺を連れて宮殿を後にした。終始ぼんやりとしたまま、俺は今度は豪邸に連れて行かれた。使用人達がベリアス将軍を出迎える。彼の邸宅なのだろう。

 抱き上げられたままでその後連れて行かれたのは、窓の無い一室だった。室内には、巨大な寝台の他は、拷問器具のようなものしか存在しない。

「ありとあらゆる快楽を叩き込んでやる」
「……」

 寝台に俺を押しつけたベリアス将軍は、輪がはまったままの俺の陰茎を口に含んだ。ねっとりとしゃぶられると、すぐに俺の体は再び熱くなり、俺は泣くしか出来なかった。筋を舌で舐めあげられ、鈴口を刺激される。陰嚢を手でもみしだかれ、俺は全身から力が抜けてしまい、ぐったりとしていた。

 気持ち良い。もう、それしか考えられない。

「まだ傷が残っているな。これでは楽しめないか」

 傍らの棚から魔法薬の瓶を手に取ると、ベリアス将軍が俺の菊門の傷に塗り込め始めた。グラグラする思考で、俺はその刺激にまで感じるようになってしまった己の体を不思議に思っていた。まるで自分のものではないような感覚がする。思考が一歩引いた場所にあるようにさえ思える。強烈な離人感のもと、俺は体が癒えていく事だけを漠然と理解していた。

「さて、どうしようかな」

 今度は棚から黒い箱を取り出し、ベリアス将軍が何かを選び始めた。虚ろな視線を向けていると、細長い張り型を将軍が取り出したのが見えた。将軍は、ダラダラと香油をそれに垂らすと、俺の菊門に押しつけた。

「暫くは拡張するとするか」
「ひ!」

 張り型が突き立てられた。それをベリアス将軍が、かき混ぜるように動かす。既に解れきっていた俺の中が、それを受け入れる。

「あ、あ――、――ァ!!」
「ここが感じるのだったな。もう覚えたぞ」

 黒い髪を揺らし、残忍にベリアス将軍が笑う。獲物を捕食するような顔だった。その時、バチンと音を立てて、俺の根元の輪を外した将軍は、張り型を激しく動かし始めた。既にそそり立っていた俺の陰茎の先端から、透明な先走りの液が零れ始める。

「あ、ァ!」

 そのまま張り型で貫かれ、俺は果てた。飛び散った白液を、ツツツとベリアス将軍が指で掬う。そしてペロリと舐めると、吹き出した。

「どうだ? 父を殺し、母を捕らえた男に、感じさせられる気分は」
「あ、あ、ァ……ああ……待ってくれ、まだ動かさないで……いや、ァ」

 止めどなく涙が溢れてきて、俺の頬は乾かない。壮絶な快楽と恐怖、絶望感に苛まれ、何も考えたくなくなっていく。もう快楽に飲まれてしまいたい。一瞬だけそう思ったが、気づいた時にはそうなっていると直感した。

「あああああ、またイく、いやああああ」

 その夜俺は、何度も何度も果てさせられたのだった。




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