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【SeasonⅡ】―― 序章:学校の噂 ――
【058】班分け
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それから、朝の会の時間になり、泰我先生が教室に入ってきた。
「みんなそろってるな。よし、今日はこれから一時間目までで、秋に行われる学習発表会の班を決めて、それぞれの展示物――各班で調べることを決めてもらうぞ。席ごとに四人一組になってくれ」
その言葉を聞いて、ぼくは隣の道家くんと正面の哀名、そして哀名の横、道家くんの前に座っている椿ちゃんを見た。椿ちゃんは、ぼくと三年・四年のクラスも一緒だった子で、最近は哀名とよく一緒に給食を食べている。
「よろしくね!」
椿ちゃんが哀名に声をかけている。哀名も小さく笑っている。
それからぼく達四人は机をあわせた。
「なんの発表をする?」
ぼくが聞くと、椿ちゃんが後ろの方をちらっと見てから、今度はぼくを見た。
「楠谷くんは、さっきの七海ちゃんの生首の話を調べるんでしょう?」
「うん。都市伝説。生首ドリブル」
「生首ドリブルっていうんだ? それは七不思議ではないけどさ、怖い話って意味では、おんなじでしょう?」
「そうだね」
どちらも学校に出るお化けだ。ぼくがうなずくと、椿ちゃんが笑顔になった。
「だったら、都市伝説とか、学校の七不思議を調べてまとめない? 楠谷くんが一つ調べるなら、もうそれで一個できるし、〝いっせきにちょう〟だもん」
それはおもしろいかもしれないと、ぼくは思った。
「いいね。哀名と道家くんはどう思う?」
「ボクはなんでもいいよ」
「私も賛成」
こうしてぼく達の班は、『学校の七不思議や都市伝説を調べて発表する』と決まった。
哀名がノートにそれをメモしている。
「男子と女子に分かれて、三つずつ調べない? 最後の七つ目は、知ると死ぬって言われてて、誰も知らないし」
椿ちゃんのていあんに、大きくぼくはうなずく。
「学校の七不思議のうち三つは、ええと……『トイレの花子さん』と『十三階段』と『ベートーベンの肖像画』と……あとはなんだっけ?」
ぼくが聞くと、椿ちゃんが指をおりまげて数えながら言う。
「『二宮金次郎像』と『黒板じじい』と……六つ目はなんだっけ……」
「『保健室の少女』だよ。ボクが知るかぎり」
すると道家くんが言った。
「道家くんって、すごいんだね。転校してきたばっかりなのに、もう七不思議を覚えてる!」
椿ちゃんが感動した顔になった。道家くんは、しまったという表情だ。
「都市伝説や七不思議の歴史を調べるのはどう?」
そのとき哀名が、無表情で続けた。話を変えてくれたのだと分かる。
「うん、うん、いいね! お父さんとかお母さんとか、あとはきょうだいとか、友達とか、周りの人に聞いてみようよ!」
椿ちゃんが哀名を見て、笑顔になった。
ぼくにはお母さんはいないけど、それにはもう慣れたから、ぼくはなにも言わない。
そのようにして話し合っていると、一時間目も終わった。
「みんなそろってるな。よし、今日はこれから一時間目までで、秋に行われる学習発表会の班を決めて、それぞれの展示物――各班で調べることを決めてもらうぞ。席ごとに四人一組になってくれ」
その言葉を聞いて、ぼくは隣の道家くんと正面の哀名、そして哀名の横、道家くんの前に座っている椿ちゃんを見た。椿ちゃんは、ぼくと三年・四年のクラスも一緒だった子で、最近は哀名とよく一緒に給食を食べている。
「よろしくね!」
椿ちゃんが哀名に声をかけている。哀名も小さく笑っている。
それからぼく達四人は机をあわせた。
「なんの発表をする?」
ぼくが聞くと、椿ちゃんが後ろの方をちらっと見てから、今度はぼくを見た。
「楠谷くんは、さっきの七海ちゃんの生首の話を調べるんでしょう?」
「うん。都市伝説。生首ドリブル」
「生首ドリブルっていうんだ? それは七不思議ではないけどさ、怖い話って意味では、おんなじでしょう?」
「そうだね」
どちらも学校に出るお化けだ。ぼくがうなずくと、椿ちゃんが笑顔になった。
「だったら、都市伝説とか、学校の七不思議を調べてまとめない? 楠谷くんが一つ調べるなら、もうそれで一個できるし、〝いっせきにちょう〟だもん」
それはおもしろいかもしれないと、ぼくは思った。
「いいね。哀名と道家くんはどう思う?」
「ボクはなんでもいいよ」
「私も賛成」
こうしてぼく達の班は、『学校の七不思議や都市伝説を調べて発表する』と決まった。
哀名がノートにそれをメモしている。
「男子と女子に分かれて、三つずつ調べない? 最後の七つ目は、知ると死ぬって言われてて、誰も知らないし」
椿ちゃんのていあんに、大きくぼくはうなずく。
「学校の七不思議のうち三つは、ええと……『トイレの花子さん』と『十三階段』と『ベートーベンの肖像画』と……あとはなんだっけ?」
ぼくが聞くと、椿ちゃんが指をおりまげて数えながら言う。
「『二宮金次郎像』と『黒板じじい』と……六つ目はなんだっけ……」
「『保健室の少女』だよ。ボクが知るかぎり」
すると道家くんが言った。
「道家くんって、すごいんだね。転校してきたばっかりなのに、もう七不思議を覚えてる!」
椿ちゃんが感動した顔になった。道家くんは、しまったという表情だ。
「都市伝説や七不思議の歴史を調べるのはどう?」
そのとき哀名が、無表情で続けた。話を変えてくれたのだと分かる。
「うん、うん、いいね! お父さんとかお母さんとか、あとはきょうだいとか、友達とか、周りの人に聞いてみようよ!」
椿ちゃんが哀名を見て、笑顔になった。
ぼくにはお母さんはいないけど、それにはもう慣れたから、ぼくはなにも言わない。
そのようにして話し合っていると、一時間目も終わった。
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