図書室ピエロの噂

猫宮乾

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【SeasonⅡ】―― 第三章:放送室の幽霊 ――

【070】星占い

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 九月も終わりに近づいた。
 学校へ行く準備を終えて、朝ご飯も食べ、ぼくはなにげなくリビングのテレビを見た。
 朝のニュースが流れてくる。

『今日の十二位は、天秤座でーす! ごめんなさい』

 ぼくは朝から〝ゆううつ〟な気分になった。ぼくは天びん座だ。
 来月に入ってすぐ、ぼくのたんじょうびがある。
 だけど今日は、最悪の運せいだ……。別にぼくは、占いを信じているわけじゃないけど、最下位だと、なんとなく落ち込んだ気分になる。

 外に出て、ぼくは登校班の子たちと合流した。ぼくは副班長だから、最後を歩く。そして一つ前を歩いている五年生の 永見ながみを見た。来年は、永見が班長だ。今の五年生が、六年生になるからだ。

 あと半年もしないで、小学校ともお別れだ。
 失恋してしまったぼくだけど、ふと、哀名のたんじょうびが気になった。これからだったらプレゼントをあげたい。

 学校についてすぐ、ちょうど今来たところみたいで、ランドセルから教科書を出している哀名を見た。哀名のランドセルはうすむらさき色だ。

「おはよう、哀名」
「おはよう」
「ねぇねぇ、哀名ってさ、おたんじょうびはいつ?」
「私はは六月」
「もう終わってるんだね。六月ってなに座?」
「双子座。だけど私の月星座はさそり座だし、太陽星座占いだけでは、性格は分からないはずよ」

 星座にもいろいろあるみたいだ。うなずいて、ぼくは自分のイスに座った。
 すると七海さんの声が聞こえてきた。

「お姉ちゃんに聞いたの! 『こっくりさん』って、すごく当たるんだって!」

 そちらを見ると、紙と十円玉を机にのせていた。
 あれも占いなのだろうか。

「ええと、私の好きな人の好きな人は誰ですか?」

 七海さんの声に、クラスのみんなの視線がむく。チラリと見れば、道家くんもそちらを見ていた。ぼくも七海さんに視線を戻す。

「あ、い、な……哀名さん!」

 大きな七海さんの声に、今度はクラスのみんなが哀名を見た。
 哀名は笑うでもおこるでもなく、無言で席につく。

 恋のライバルまで現れてしまった。
 やっぱりテレビの占いも当たるみたいだ。ぼくはサイアクな気分で、教科書を机にしまった。



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