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【SeasonⅢ】―― 序章:きさらぎ駅から ――
【086】バス幽霊
しおりを挟む土曜日、今日は道家くんの家で、ローレルの話し合いの日となった。会議だ。
今日は哀名はおやすみだ。ぼくと道家くんは、ジュースを飲みながら、〝だらだら〟している。そこでふと思いたって、ぼくは聞いてみた。
「ねぇ、道家くん。きさらぎ駅って知ってる? 普通の駅じゃなくて、都市伝説のほう」
すると道家くんがうなずいた。
「前にも、このきさらぎ市は、いろいろと他の空間に繋がってるって言ったよね」
「ふぅん」
たしかに言われた。そうだった。
「それより、そろそろ出かけようよ。ボク早く行きたい」
「あ、うん。ちょうどバスがくるころだね」
今日ぼく達は、百円ショップに行く予定を立てていた。学習発表会のときの、教室のかざりつけで使う、おはながみを買いに行く。
二人で外に出て、バス停で待っていると、すぐにバスがきた。
乗り込んで、ぼくは奥の席に座る。となりに道家くんが座った。
ぼくは前を見て、またおばあちゃんがいることに気がついた。
「あのおばあちゃんね、いつも乗ってるんだよ」
ぼくの言葉を聞いた道家くんは、いやそうな顔をした。
「あれは生きてない」
「え?」
「乗り物には死んだ人が乗ってることがあるんだよ。アレは雨の日に死んだ人だろうね」
それを聞いて、ぼくはびっくりした。
そうしておばあちゃんをまた見ると、目の前でスッと消えてしまった。そして床が、みずたまりみたいに濡れていた。本当に消えちゃった……幽霊なんだろう。
ぼくは怖くなりながら、バスの中でひっしにがまんしていた。
そして百円ショップの近くになった時、勢いよくボタンを押した。
道家くんがあきれたように笑っている。
二人でおりて少し歩き、ぼく達は百円ショップに入った。
中に入ると、めずらしそうに、道家くんがキョロキョロとした。そしてカゴを手に取ると、いろいろ入れ始めた。
「そんなに買って大丈夫? それに、道家くんって、人間のお金はどうしてるの?」
「泰我が出してくれてる」
そうだったのかとぼくは頷いた。
ぼくはおはながみを買い、道家くんはたくさん買って、ぼく達は店の近くのバス停にもどり、方向が違うので、そこでわかれた。
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