おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)

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第89話 男爵との勝負 ②

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 な、何だって!? 俺がクラスアップしていないだって? そんな筈は………。

 この男爵の取り巻きの中の一人に、鑑定スキル所持者が居るらしいのだが、その鑑定士が言うには、俺はクラスアップどころか職業は平民でクラスは戦士らしい。

一体何がどうなってんだか、本当にこいつ、鑑定のスキルを習得しているのか?

間違いなく俺は女神教会で転職の儀をやって貰った筈だ。ステータスを確認してみる。


ジャズ  LV 10  HP 30
職業 忍者
クラス 上忍


うむ、間違いなくクラスアップしている。

と、言う事は、この鑑定士、おそらく詐欺師か何かだろうな、嘘を付いているという事になる。

やれやれ、きっと男爵が用意したんだ。そんな奴なんて信用出来る訳が無いという事だな。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

ここで、隣でやり取りを聞いていたガーネットが吠える。

「あんた、ホントに鑑定のスキルを持っているの? ジャズなら昨日、キチンと転職の儀を済ませてクラスアップしたわよ! 私以外にも証人が沢山居るんだから。」

ここで男爵が遮る様に言葉を放つ。

「何を言っている! こいつは只の鑑定士ではない! 聞いて驚け! こいつはなんと! 魔術師の上級職、アークメイジなのだ! どうだ、驚いたか! そのアークメイジが言うのだ、間違いは無い! 俺の勝ちだ!」

 ええ~~、ホントかよ? 一応ショップコマンドには鑑定用の魔法の巻物《スクロール》があるが、ショップポイントをこんな奴の為に使いたくない。

更にガーネットが食って掛かる。

「私が証人よ! ジャズはちゃんとクラスアップしたわ! 本当よ! 何なら女神教会に行って司祭様やシスターさんに確認してきたらいいわ!」

ここで、野次馬も参加する。

「そーだそーだ、そこの若いのは確かにクラスアップしたぞ!」

「出鱈目を言うな、俺もあの時教会に居たんだからな。」

「ホントに鑑定のスキルを持っているのか?」

野次馬はここぞとばかりに、男爵に対して物言いを付ける。

 どうやら男爵はあまり評判がよろしくない様だな。野次馬達は活き活きとしている。

男爵側の取り巻き連中も黙っている筈も無い。言い返す。

「貴様等! 男爵様に向かって何粋がってやがる! 男爵様が信用出来ないとでも言うつもりか?」

「貴様等こそ! 鑑定のスキルを持っていない癖に何調子こいてやがる!」

「そーだそーだ! こちらのお方を信用出来ねえってのか!」

 何だかもう、ガキの喧嘩みたいな事になってきた。俺はもっとスマートに事を運びたいだけなのだが。

 と、ここで鑑定士の男がズイッと前に出て、取り巻きや野次馬、ガーネットに対して語気を強くして言い放つ。

「女子供は黙りなさ~い!」

鑑定士の男がこのやり取りを遮る。

「私はアイバー、男爵様に仕えるアークメイジにして天才軍師。アイバー様ですよ。私の言う事が解らないのですか? 私がしていないと言ったらしていないのですよ。解りましたか。」

………………何だ? この山師みたいな人、まったく信用出来ないのだが。

「私が鑑定したのです、男爵様は上級クラスであるバトルマスターなのです。そして、そこの男は只の初級クラスのファイターですよ。間違いありません。」

ええ~~? ホントかよ。

ここで男爵も追撃に加わる。

「そうだ! アイバーは金で雇った天才軍師なのだ! 金貨20枚もしたんだぞ! お前等、アイバーを怒らせるととんでもない事になるぞ!」

(どんな事になるやらだな。)

さて、俺はそろそろこの問題にケリを付けたい。

だが、こんないかにもな連中に鑑定アイテム「アナライズの巻物」を購入したくない。

勿体ない。こいつは間違いなく詐欺師だ。

だって俺、中級クラスの上忍にクラスアップしたもの。

しかし、どうしたものか、男爵は自分の事は絶対に正しいと豪語している。

アイバーは嘘を付いている。ガーネットや他の冒険者達は反論している。参ったなあ。

一方、フィラは大人しく様子を窺っている。

 しかし、俺がクラスアップしていないと言い張るアイバーに対して、物凄く怒りを露わにしていた。表情が危険な感じだ。

「堪えろフィラ。言いたい奴には言わせておけ。言った奴が馬鹿を見る。」

「はい、ご主人様。解っています、解ってはいるのですが、我慢できそうにありません。」

「フィラ、我慢しろ。そういう頭に来る事を感情のままに行動すると、後で痛い目に遭う事もある。事は慎重に運べ。いいなフィラ。」

「………はい、解りました。ご主人様がそう仰るならば、このフィラ、耐えて見せます。」

「ああ、是非そうしてくれ。」

 冒険者達と男爵の取り巻き連中が言い合いをしていると、騒ぎを聞きつけたのか、更に大きな声で間に割って入る声があった。

「何の騒ぎだ!!」

 声の主は、老練な体つきのドワーフだった。筋骨隆々でギガントアックスを肩に担ぎ、強面の表情をしていた。

(誰だ? 滅茶クチャ強そうだぞ。何者だろう?)

ここで、騒ぎは一旦止み、冒険者の一人が言った。

「ギ、ギルマス!?」

え? ギルマス? と、言う事はこのお爺さんがこの冒険者ギルドクラッチ支部の責任者、ギルドマスターか。

いかにもな雰囲気を醸し出している。凄そうだ。

「おい! 一体何がどうなっておる、説明せよ!」

ギルマスに言われ、俺は答える。

「はい、実は………………。」

俺はこれまでの経緯を話し、ギルマスに何故こうなったかを説明した。

「なるほどな、そう言う事であったか、おい若いの、ちょっとこっちに来い。」

呼ばれてギルマスの近くに行く、そしていきなり殴られる。

「痛ぁ~。」

目の前に赤い色で-2と表示された、マジか!? 今のでダメージ2!? 

 只のパンチでか? 今の俺はレベル10でしかも中級クラスにクラスアップしているんだぞ!? なんというパワーだ!

これがギルマスの実力か、流石というべきか。

「おい若いの、ギルドのメンバーになった時、問題を起こすなと言われなかったか? んん?」

「は、はい、言われました。」

ギルマスは腕を組み、仁王立ちしながらこちらを睨んでいた。

「にも関わらず、お前さんは貴族様と事を起こした、これは問題だぞ。んん?」

「し、しかし、男爵の方から先に仕掛けてきたものでして。」

「言い訳はよい、後で話がある、この騒ぎが落ち着いたら儂の執務室に来い、いいな。んん?」

「は、はい、解りました。」

そして、今度は男爵の方へ向けてギルマスが言う。

「男爵様、困りますな、貴方も一応はこのギルドのメンバーではありませんか、メンバー同士のいさかいは困るのですよ。」

「解っておる、この男が俺の言う事を聞かないからだ。だから騒ぎになったのだ。」

(こいつ、いけしゃあしゃあと。)

更にギルマスは言う。

「困りましたな、まさか女を取り合って騒ぎを起こすとは、しかも話を聞くと、どうやら男爵様の方に落ち度がある様に思えますが、貴方は一度、この奴隷を手放したのでありましょう?」

「そ、そうだが、俺は金貨80枚で買ったんだぞ、なのにこいつはたった金貨5枚で奴隷を買ったと言った。これはもう、俺の方が分があるという事だ。」

「その様な我が儘が通用するとでも思ったのですかな? やれやれ、男爵様、貴方はもうこの奴隷を手放した時点で契約は解除されているのですよ、貴方に非がある様に思えますが、さて、もしこのまま事を大きくするのでしたら、貴方の寄り親である領主様へ報告せねばなりませんが、宜しいですかな?」

このギルマスの提案を聞き、男爵は顔をしかめた。

「い、いや、それは困る、伯爵様には言わないで頂こうか。」

ほほう、なるほど、貴族の社会にも一応序列みたいなものがある、という訳なんだな。

 寄り親が伯爵という事は、男爵はその寄り子という事か、そりゃあ伯爵様の顔に泥を塗る訳にはいかんよな。

と、ここでギルマスから一つの提案があった。

「よーーし! そういう事であれば、勝負は殴り合いしかありませんな! 漢なら拳で語れぃ!! 女を賭けてなら尚更だ!!!」

………………へ?

な、なんでいきなりそんな少年漫画みたいな展開になるんだ?

訳が解らん。




 
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