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第103話 情報の整理と話し合い
しおりを挟むここは冒険者ギルドだ、遺跡探索から帰ってきたところだな。
テーブルを囲み、お水を飲みながら寛いでいる。
メンバーは俺、ジャズー、ガーネット、男爵たち、そして姐御だ。
人心地ついたところで、俺からまず話し始める。まずは俺の事だ。
「さてと、みんな、早速だが俺はジャズだ。」
言った傍からみんなは怪訝な表情をした。まあ、そうだわな。
「え~っと、あなた、どう見ても異国風の人よね?」
ガーネットの言いたい事ももっともだな。さて、どう説明すべきか。
「ジャズならそこに居るじゃないか。何を言っているのだ?」
ポール男爵も意見を言う。他の取り巻きたちも同意見だ。
「まずは話を聞いて下さい、みなさん。」
ここで、ジャズー王子から助け舟が出された。よし、一丁話しますか。
「今まで皆が接してきたのは、俺なんだ。俺がジャズなんだよ。」
「待って、ちょっと待って頂戴。話が見えないんですけど?」
「ガーネット、実は俺がジャズなんだよ。色々あってね。」
少しづつ、紐解く様に言葉を選びながら、話した方がいいな、こりゃあ。
「まず、最初に、俺は一度死んで、魂だけの存在になったんだ。」
「………ゴーストか?」
「いや、幽霊とはちょっと違うと思う。まあ話は最後まで聞けってポール男爵。」
「ああ、解った。聞こうじゃないか。」
俺はこの世界に転生した事は触れずに、ジャズーの体に入った事を伝える。
「つまり、一つの器に二つの魂が入ってしまったという訳なんだよ。」
「そして、私が本来のジャズーという事です。もう、今はジャズーとしてやっていく事にしました。」
「で、俺がそのジャズーさんから、そのまま名前を使わせて貰って、ジャズを名乗る事にしたのさ。」
ここまで話を聞いていた皆は、一堂に疑問を抱いている様子ではあったが、概ね理解してくれたようだ。
「今まで皆がジャズとして接してきたのが、俺の魂で、体はジャズーだったって事だな。」
一応、一通り話しては見たが、やはり皆納得している様子ではなかった。
「それにしても、まさか女神様がねえ、ジャズ………じゃなかったわね、ジャズーの体に魂が入っちゃったってのが、ややこしいわね。」
「ああ、だから、今は俺のこの体に魂が入った事によって、この体を自由に動かせる訳なんだ。」
「にわかには信じられないけど、ジャズがそう言うって事は、きっとそうなのでしょうね。」
「話が早くて助かる、ガーネット。」
「私だって、まだ納得している訳じゃないのよ。それに、あなたがジャズで、隣の男がジャズーって事でいいのよね?」
「ああ、そう言う事だ。今後とも、そう言う事で宜しく頼む。」
よしよし、取り敢えずはこれで説明は出来たと思う。
「ねえ、ジャズーって事は、もしかして、本物のジャズー王子って事?」
「ええ、そうなりますね、ガーネットさん。」
「女王レイチェル様が、貴方を探している事は御存じでしょうか?」
「ええ、ジャズさんの視界を見ていましたから、大体の事は理解できています。」
「だったら、王都へ行くの? えーと、ジャズー王子?」
「そうですねえ、もう逃げ続ける事も出来ないでしょうし、王都へ向かうのも視野に入れています。」
おっと、その前に、ジャズーには俺に少し付き合って貰いたいんだが。
せめて、コジマ司令だけでも、この事を伝えなければと思う。
「ジャズーさん、少し待って頂けますか、後で俺に付き合って欲しい場所があるのですが。」
「私にですか? 解りました、後ほど。」
うむ、これで基地に戻って報告して、今後の方針を立てねば。
「ジャズとジャズー王子の事は解ったわ。正直まだピンと来ないけど、そう言う事なのでしょうね。」
「ああ、慣れるまで時間が掛かるかもしれないけど、宜しく頼むよ。みんな。」
さてと、後は姐御から話が聞きたいところだな。
遺跡に潜って、遭遇したあの女は、間違いなくダークガードだった。
黒いローブを着こなし、胸もデカかった。まあそれは置いといて。
ダークガードがあんな所で何をしていたんだかな。まあ、碌な事じゃなさそうだが。
「姐御、あの女に心当たりは?」
俺が訊くと、姐御は話し始めた。
「私はシャイニングナイツの予備隊なの、ある部隊から依頼されて、あのダークガードの女を追っていたのだけれど、この様って訳。」
「え!? シャイニングナイツですか? 姐御!」
ガーネットが驚いている、まさか姐御がシャイニングナイツだったとは。
「予備隊よ、予備隊。本隊ではなくってよ。本隊は私なんかよりも、もっと優れた戦士や騎士が大勢いるわ。」
「それでも凄いですよ、姐御! まさかシャイニングナイツだったなんて。」
ガーネットは驚きを隠せない様子だった、俺も驚いた。多分皆も。
シャイニングナイツか、道理で姐御は強い剣士たと思った訳だ。
「それで姐御、その女に何か?」
「ええ、そうね、あのダークガードの女の名前は、シルビア。ダークガードの中でも飛び切り優秀な戦闘員って事よ。お陰で私はやられてしまったけれどね。」
ふーむ、俺や姐御でも歯が立たない相手か、シルビア。恐ろしい相手になるか。
「それで、ダークガードの動向を調査していたのだけれど、あの遺跡で何か良からぬ事を計画していたと思うわ。辺りのモンスターが突然居なくなった原因も、恐らくダークガードの仕業でしょうね。」
ふーむ、やはりか、あの遺跡にある大規模転移装置が稼働状態にあった事といい、きっとそうだろうな。
「けど、そこに居るジャズのお陰で、装置の破壊には成功したから、もうこれ以上の装置の悪用はできないでしょうね。」
「やはり、壊しても良かった訳ですね?」
「ええ、ありがとう。ジャズ。」
と、ここでポール男爵から意見があった。
「それで、そのモンスター共は一体何処へ飛ばされたのかね?」
そうだ、それが解らない以上、手の打ちようがない。
一体何処へ飛ばされたのやら、フィラもおそらくそこに居る可能性が高い。
「こればかりは、流石に解らないわね。何処かから情報なり、報告なりが入ってくるといいんだけど。」
空気が重く伸し掛かる。ここまではダークガードに先手を打たれている状況だ。
そして、あの女、シルビアは移動した。何処かへと。
一体、どうしたもんかな。
「ここでこうしていても始まらん! 俺は決めたぞ! 闇の崇拝者にダークガードがいるなら、こっちだって同じように組織を旗揚げすればいいのだ。ダークガードに対抗する為、俺様はシャイニングナイツの支援組織、「カウンターズ」を結成する!!! 」
………なんか男爵が何か言ってる。
「ま、待ってくださいよ男爵様、俺達まだそんなのと戦うなんて一言も。」
「そ、そうですよ、相手はあのダークガードなんですよ。」
「大体、昔から暗躍している奴らに対抗って、無理に決まってるじゃないですか。」
取り巻き達は一斉にヤジを飛ばす。まあ、当然だな。いきなり過ぎて着いていけん。
「ええーーい! 黙らっしゃい! もう決めた事なのだ。「カウンターズ」を旗揚げするのだ!!」
「ちょっとジャズ、男爵あんなこと言ってるけど。」
「ん? いいんじゃないか? ガーネットが気に病む必要はなさそうだし。」
「けど、間違いなく殺されるわよ、ダークガードに。」
「まあ、それは自己責任って事で。旗揚げしようが何だろうが、本人のやりたい様にさせておけばいいと思うよ。」
「うーん、まあ、私には直接関係ないけど、いいのかしら?」
さてと、お次は俺とジャズーの問題だな。
フィラを探したいのだが、今は軍に籍を置く身、そう易々と自由な行動をさせてもらえるとは思ってない。
ジャズーにも付いて来て貰って、コジマ司令に今回の事を報告がてら、様子見をしよう。
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