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第199話 廃洋館探索任務 ⑧
しおりを挟む舞踏会が再会された、みんな思い思いのお相手とペアを組み踊っている。
その中央にはジョッシュ男爵とカリーナ嬢が、優雅にステップを踏んでいた。
その周りに他のゴーストやスケルトンといった屋敷の者達が囲み、大舞踏会といった様相をしていた。
ニールとリップも踊っている様だ。
「ちょっと! 足踏んでるわよ!」
「仕方ねえだろ! 初めて踊るんだから!」
「村の収穫祭では真っ先にダンスしてたじゃない!」
「そんな田舎の行事と貴族風の舞踏会を一緒にすんな!」
まあ、あの二人なら大丈夫そうだな。他は?
「………………、何で私はスケルトンと踊っているんだ?」
「いやー、サキ隊長は腰使いが上手ですなあー。惚れ惚れしますわ。」
「何故だか解らんが、お前に褒められてもちっとも嬉しくないのは何故だ。」
「はっはっは、この私に万事お任せ下さい。こんなのはフィーリングでさぁ。」
サキ隊長と門番スケルトンは意外に上手に踊っていた。
「私は食べ物に夢中なので、お構いなくです。」
メリー伍長は食事に夢中だ、花より団子ってやつだな。
そして、俺はというと。
「ジャズさん、ダンスはもっと優雅に舞うのですわ。」
「む、難しいですね。」
「貴方も貴族になる予定なのですから、これくらいは嗜み程度に覚えなさいな。」
「い、いやぁ、自分は貴族になる予定は………………。」
「わたくしが手取り足取り教えてさしあげますわ。」
「は、はあ。」
俺はナナ少尉とペアを組み、踊っている。柄じゃないのだが、まあ、いいか。
ナナ少尉はどこか頬が上気している様子だったが、たぶん気のせいだろう。
さて、舞踏会もそろそろ終わりが近づいて来た頃だ。
ジョッシュとカリーナは二人の世界に浸っているようだ。
「カリーナ、私はとても嬉しいんだ。君とこうして踊れる事が。」
「ああ、ジョッシュ様。私も凄く嬉しいです。ずっと、ずうううっと待っていました。貴方とこうして密着出来る事を。」
二人のダンスは他を魅了するほどの踊りだ、いつのまにか皆魅入ってしまっていた。
そして、目の錯覚だろうか? ジョッシュとカリーナ嬢の二人はアンデッドではなく、二人の人間の姿が優雅に踊っている様に見えるのだ。
「おい、ジャズ。気のせいかな? 俺はあの二人が人の姿に見えるんだが。」
「奇遇だな、俺もだ。」
「綺麗、優雅に踊っている姿が様になっているわね。」
そして、目の錯覚かと思っていたら、今度はジョッシュ達の周りに少しづつ白い光が集まりはじめ、辺りを淡い光が包む。
「何だ? 白い光?」
俺が口をついて言った言葉を皮切りに、光の奔流が一気に溢れ、周りのアンデッドモンスターを巻き込みつつ広がっていった。
白い光に触れたモンスターは、次々と元の人の姿へと戻っていき、その姿で優雅にダンスをしていた。
「こ、これは一体?」
「サキ、見えまして?」
「ああ、私にはまるで貴族が生きている頃に開催した舞踏会の光景そのものといった様子に見えるのだが。」
「わたくしもでしてよ。どうなっている事やら?」
しばらくの間、呆然と眺めていたが、どうやら奇跡ってやつが発動したのかもな。
こんな事、言いたくないが。「愛」のパワーってやつか? よう解らん。
「ああ、ジョッシュ様。私は今、幸せです、貴方とこうしていられる事が物凄く。」
「ああ、カリーナ。僕も幸せだよ、こうして君と身分を越えて出会えた事が。」
次の瞬間、白い光は一気に輝きを増し、上の方向へと流れていく。
それに流される様に、ジョッシュたちと回りの人達を巻き込み、天へと昇っていく。
「さあ、みなの者。行こう。女神様が待っておられる。」
「「「「「「「「 はい。 かしこまりました。 旦那様。 」」」」」」」
その言葉を言い終わる瞬間、アンデッドたちは昇天し、次々と天へと昇って行った。
まるで成仏したようだった。
辺りには静けさだけが残り、跡形も無く綺麗に床の骨などが無くなっていた。
「………………。」
「いっちまったな。」
「ああ。」
「なあ、これで良かったんだよな?」
「ああ、たぶんな。」
きっと、三柱の女神が手を差し伸べたのだろう。たぶんだけど。
{シナリオをクリアしました}
{経験点1500点獲得しました}
{ショップポイント1000ポイント獲得しました}
おや、いつもの女性の声とファンファーレが鳴ってきたぞ。
そうか、クリアしたか。やれやれ。
「………………。」
「………………。」
「で、何でお前は成仏しないんだ?」
「さあ? 成仏ってどうやるんだ?」
知るか!?
この場には何故か門番スケルトンが残っていた。
こいつの為に「ターンアンデッド」の魔法のスクロールを使うのも勿体ない気がする。
まあ、結果だけ見ればオーライって事かな。たぶん。
「なあ、俺はひょっとしてこのままか?」
「たぶんな。」
「なあ、これからどうやって生きていきゃあいいんだ?」
知るか!? てかお前もう死んでんだろ。
「しゃあねえなあ、ここに居ると色々面倒だし、一緒に来るか?」
「お! 良い提案だ。これからよろしくな。」
やれやれ、余計なものが増えたが、まあ、これも何かの縁ってやつかもな。
「なあ、酒飲みたいんだが。」
「知るか!?」
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