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中央銀河から遠く離れた辺境に配属されて、1ヶ月が経つ。
ここタウロニスAステーションは連邦領域と外宇宙勢力との境界に位置し、暗黒への航行前の最後の補給拠点としても機能する要衝だ。
観測デッキからの眺めで、また一隻の甲虫族の大型巣艦が虚空に出現するのを見つめていた。
ドッキングベイは常に様々な種族の軍艦や補給艦の出入りで賑わっているが、人類の艦船を目にすることはほぼない。
この星系の知的生命体の総数はわずか数万ほど。それがいくつかの惑星と軌道ステーションに分散している。人類に至ってはその希薄な人口の0.1%にも満たない、人口統計報告書の脚注でしかない。
地球防衛軍の艦船で同胞に囲まれて過ごしてきた身としては、圧倒的少数派の立場にまだに馴染めずにいる。
身に染みて感じる。我々人類が母星を飛び出してどれだけ遠くまで来たか、そして宇宙という壮大な図式の中でいかにちっぽけな存在であるかを。
◇
銀河連邦が我々を発見した――より正確には、我々との接触準備が整ったと判断した――のは、2147年に人類が信頼性の高い超光速航行能力を獲得した直後のことだった。
歴史の教科書には、人類の星間社会への華々しい参入、人類史の新時代の幕開けなどともっともらしく書かれている。だが、そこに伴った容赦のない洗礼については、たいてい軽く流される。……人類が、それまで自分たちがどれだけ自惚れていたか、思い知る羽目になったということだ。
たかが一つの小さな惑星の生態系の頂点に立っているというだけで自分こそが進化の極致だと信じていたが、実際には既に連邦に加盟している約1,800の知的種族に数世紀、下手すりゃ数千年も後れを取っていた。人類がその存在すら理論化できていなかった技術を既に習得し、その存在にすら気付いていなかった問題をとうに解決していた文明が無数に存在していたのだ。
連邦は俺たちを「要観察新興種族」というステータスで受け入れた。「いずれ有用となるかもしれない原始種族」を外交的に言い換えた言葉だ。
あれから200年近くが経つが、人類はまだ未熟な新参者として扱われている。
……俺はジョン・コナー大尉。
地球防衛特殊作戦司令部、エグゾスーツ作戦部門所属。これが俺の肩書きだ。
従軍24年。普通教育を修了してすぐに通常歩兵として入隊し、22歳でエグゾスーツ訓練の資格を得た。千人に一人の狭き門をくぐり抜け、 神経接続ポートを脊椎に埋め込み、1トンの強化外骨格を自分の身体の延長のように動かす方法を叩き込まれた。
以来、既知宇宙の様々な戦場で人類と同盟種族の脅威と戦ってきた。大脳皮質に焼きついたニューラル痕――神経系に現れるエグゾスーツオペレーター特有の副作用が、その年月を物語っている。人生の半分近くを、チタン-グラフェン複合材と量子整列装甲板の層でできた外骨格の中で過ごしてきた。旧式のマークIIIストーカーから始まり、あらゆる派生型を経て、現行のマークVIIバルチャー強襲型まで。各機体は独自のニューラルシグネチャーを持ち、俺の脳組織には全ての型番のライブラリーが深く刻み込まれている。
これまでEDFガーディアン級宇宙船「ビジラント」搭載、第31重装甲師団第2大隊のアルファ中隊長として従軍してきた。
第31重装甲師団は、タウ・ケンタウリ紛争やリゲル侵攻、その他数え切れない小規模な交戦を潜り抜けてきた。軍内でも最も勲章の多い師団の一つで、俺のアルファ中隊もその名誉の多くを分かち合っている。大隊には3つの中隊があるが、アルファ中隊は常に最初の投入部隊であり、最後の撤収部隊でもあった。現在EDFの標準となっている軌道戦闘降下戦術を確立したのも俺たちの部隊だ。
司令部は何度も俺を戦略部門に引き上げようとした。少佐への昇進と師団本部のいい参謀ポストを3度も提示されたが、毎回断ってきた。
奴らには分からないんだ。現場こそが俺の居場所だ。部下たちの命を実際に守れる場所だ。
ビジラントは10年以上に渡って俺の家であり、第31師団は家族だと、そう思っていた。
だが、時の流れには逆らえない。
40代を迎えようとした時、連中は別の提案を持ってきた。
転属の話が来たのは、アンタレス宙域での特に激しい軌道降下作戦の後だった。予期せぬ粒子砲の攻撃で3機のエグゾスーツが大破したものの、かろうじて死者を出さずに任務は完遂した。
おそらくこの危険な任務が上の決断を後押ししたのだろう。
ビジラントの機密ブリーフィングルームに足を踏み入れた時、これは通常の作戦報告ではないと直感した。
提督のホログラムが舷窓の傍らに立ち、星々を眺めていた。さらに意味深だったのは、テーブルの上のグラスだ。
補給曹が酒を注ぐ。合成物ではない、本物の地球産ウイスキー。経験上、この類の酒が出てくる時は重い話になる。
『アンタレスでの戦闘記録を確認した。見事な降下だったぞ、大尉』
何光年も離れた場所で自身のグラスを手に取りながら、提督は言った。
『君の戦闘指標は依然として卓越している。……だが技術班の報告によると、交戦中の君のニューラルフィードバックのログに気掛かりな点がある』
なるほど、と俺は思った。
俺のマークVIIの接続データが、管制で何らかのフラグを立てたに違いない。
「前回の平均値から0.3ミリ秒の遅延です」
俺は端的に答えた。
隠し立てはできない。まだ許容範囲内ではあるが、数値は悪化し続けている。
ベテランオペレーターなら誰しも知るところだ。ニューラルフィードバックの遅延は、加齢とともにミリ秒単位で確実に忍び寄る。
人間の神経系統がエグゾスーツとの接続に耐えられる年数には限界がある。全身のセンサーフィードを処理しながら推進ベクトルと武器システムを制御し続ける負荷は、確実に脳を蝕む。
兆候は、認めたくなかったが確かにあった。フィードバックが遅くなり、高ストレス状況下での反応も少し鈍くなってきている。
スーツに長居しすぎて自分や仲間を死なせるオペレーター達を見てきた。42歳は化石ってわけじゃないが、前線のエグゾスーツ戦闘オペレーターとしてはとっくに賞味期限切れだ。
『エグゾスーツ操縦歴20年、そのうち15年は高強度戦闘地域での実戦経験。直接神経接続時間は15,000時間を超えている。そんなキャリアを積めるオペレーターが何人いると思う? ……司令部は、もはや君を実戦で失うにはあまりに価値のある人材だと考えている』
俺は黙っていたが、その言葉の意味するところは互いに分かっていた。
最前線への投下には、もう俺は歳を取りすぎている。命を落とす前に引き際を決めてやる、ということなんだろう。
提督はウイスキーを一口含み、『君の経験を活かせるポストがある』と切り出した。
そのポストというのは、エグゾスーツ部隊を率い、連邦の主要基地を巡回するというものだった。
説明は率直だった。銀河連邦への加盟以来、人類は良くて若年種族としか見られていない。たとえ形式上でも各セクターに実戦部隊を置くことで、人類の存在感をアピールする必要があるのだと。
つまり本当の役割は、はるかに進んだ文明が支配する星間社会で、人類の地位を少しでも向上させるための外交的な駒ということになる。
なぜ俺が選ばれたのか理解できた。上層部は、豊富な戦闘経験を持ち、かつ星間外交をこなせる人材を必要としていた。
深宇宙で異種族との共同作戦を多数指揮してきた俺のような叩き上げの将校が。
グラスの中の琥珀色の液体を見つめながら、俺は考えた。これまで死んでいった仲間のオペレーターたちのことを。増えていく片頭痛、手の微かな震えのことを。
提督の言うことは正しい。潮時なのだ。
「お受けします」
と答え、グラスを空けた。
そうして俺はビジラントに、第31師団に別れを告げた。アルファ中隊の指揮権を後任に移譲し、クルー達がエグゾスーツを投下ベイにスタンバイさせる様子を最後に眺めながら、人生の一つの章が閉じられていくのを感じた。
今、新しい指揮権限の下にいるのは12人の精鋭エグゾオペレーターとその支援要員だ。
その大半は、俺が引き留めようとしたにもかかわらずビジラントから付いてきた者たちだ。俺の異動が決まると、通路や格納庫で一人また一人と俺に近づいてきた。自分のキャリアを台無しにするぞと警告しても聞きやしない。
彼らの忠誠には胸が詰まる。優秀な男たちだ。それを俺のような老兵のために、既知宇宙の果てまでついて来させてしまった。
俺はEDF連絡将校としてこの精鋭部隊の指揮を執り、同盟種族の基地に駐屯し、合同演習と作戦支援、外交関係の維持に当たることになる。
悪い任務ではない。月面の司令本部でデスクワークに縛られ、戦闘技能を錆びつかせるよりはずっといい。
地球暦で2年かけて6つの連邦基地を周る。各駐留期間は4ヶ月だ。
既に2箇所での駐留を終え、次の任地はタウロニスAステーションーー連邦の主要種族、甲虫族が管轄する前線基地だ。
一見するとこの星系は何の変哲もない、ただの暗い恒星と死んだ岩の集まりに過ぎないが、外宇宙勢力が支配する暗黒域へと続く安定したワープ航路が存在し、連邦領域外に向かう艦船にとって最後の補給地点となっている。
星系周辺には外宇宙勢力の斥候船や宙賊が現れることもあり、タウロニスは常に緊張状態にある。ステーションは甲虫族の軍が防衛体制を敷いている。
甲虫族とは十分付き合いがあるから、何が待ち受けているかは分かっているつもりだ。
送られてきたブリーフィング資料に目を通しているが、ほとんどは既知の情報だ。
俺のように同盟種族と密接に働いてきた者は、公文書以上のことを知っている。
甲虫族。
二足歩行する人型のサイカブトムシと言えばわかりやすいだろう。
一本角と大顎、小口径の実弾をものともしないキチン質の甲殻に覆われた2~3メートルの巨体、複数の標的を同時に捕捉できる複眼、強化装甲すら引き裂ける四本腕を持つ。
我々人類が技術開発で実現しなければならなかったものを、彼らは進化によって獲得している。……数千年に及ぶ長い戦争の歴史による進化だ。
我々の祖先がまだ火の起こし方を考えていた頃、彼らはすでに星々を渡っていた。その勢力圏は何百もの惑星に及び、おそらく地球を10回は焼き尽くせるほどの艦隊を持つ。
幸いなことに、人類のことを気に入っているらしい。ファーストコンタクト以来、最も強力な同盟種族の一つとして付き合いがある。彼らの後ろ盾がなければ、攻撃的な種族の属国になっていたかもしれない。
強力な味方であるはずだが、一つ厄介な事実がある。
というのも、甲虫族は他の異種族と同じく、人間……特に男に対して強い関心がある。
関心というのは、まあ、つまり……
甲虫族は、アリやハチといった地球の真社会性昆虫のように厳格なカースト制で機能している。
その帝国は数百の植民地とそれを維持する無数の戦艦から成り、様々な役割に特化した何十億ものオスのドローンによって運営されている。しかし司令系統のトップは、支配階級を形成する少数のメスたちだ。
光年単位で広がる帝国を支配しているのは、外部の者は目にするのも稀な、母星のたった数千の個体というわけだ。
我々軍人が主に接触するのは、被支配者階級のドローンの中では最も身分の高い戦士カーストということになる。身長2~3メートルで、甲虫のような外殻には階級を示す印と氏族の紋章が刻まれ、その遺伝子コードは戦闘、強さ、戦術的思考のために最適化されている。
彼らは規律正しく、名誉を重んじ、軍事的階級制度を強く意識する。それゆえ、適切な階級の人類軍人にとっては、比較的安全な同盟者となる。
しかし、彼らの生殖システムが物事を複雑にする。
甲虫族のオスたちは単為生殖が可能で、クローン卵を産むための産卵管を備えている。
卵を産み付けたい、数を増やしたいという本能は、戦士カーストにとって特に強烈だ。古代の戦争時代には高い死亡率に見舞われ、損耗する個体数を常に回復する必要があったため、彼らは進化の過程で孵化器を確保して卵を産み付けようとする、ほとんど抗いがたい性衝動を発達させた。
卵の孵化には温かく湿った環境が必要だ。バイオ技術で作られる「繁殖袋」なるもので代用することがほとんどだが、できれば生きた宿主の体腔が望ましいという。……ああ、想像した通りのおぞましいことだ。
問題は、彼らの文明がもはやそのレベルの攻撃的な増殖を必要としていないということだ。帝国は安定している――むしろ安定しすぎているくらいだ。人口は既に植民地化された全ての惑星で飽和状態にある。
女王たちはオスに厳格な人口制限を課しており、特に戦士カーストは女王からの明確な許可なしには繁殖が許されていない。
しかし――ここが厄介な部分なのだが――繁殖は規制されているものの、性行為、つまり宿主に卵を産み付ける模倣行為自体は禁止されていないのだ。
許可なく繁殖することはできないが、それでも強力な本能に突き動かされている。この本能は、宿主として適合する交尾相手を確保したいという、ほぼ強迫的な欲求として現れる。
……そして、ここで人類が関係してくる。
甲虫族は人類の……特に男の、その……直腸を、卵を産み付けるのに理想的な環境だと本能的に見なしているようなのだ。
どうやら、ストレス下で人間男性が分泌するアドレナリンやフェロモンが、彼らの繁殖欲求をさらに刺激してしまうらしい。
もちろん実際の産卵は両種族の法律で厳しく禁止されているのだが、それでも彼らが人類、特に俺たちのような軍人に強い関心を持つのを止められるわけではない。
……彼らにとって俺たちは、卵で満たされるのを待つ、暗くて温かい湿った穴というわけだ。
そう、教科書には書かれていないことがもう一つある。これは銀河で人間として生きることの現実だ。
甲虫族に限った話ではない。
――人間であるということは、ほとんどすべての知性種族の性的対象であることを意味する。
軍事力や政治力の面では弱小種族に過ぎない我々だが、それでも連邦宇宙全域で知られているのは、業績や文化によってじゃない、性的アイコンとしてだ。
ほとんどの宇宙航行種族に比べて小柄な体格がフェチ化を助長し、発情期が存在せず常に生殖活動をする独特の生態が、さらに性的なイメージを強化してしまっている。
そこに商機を見出した輩が現れ、軍部の苛立ちをよそに積極的に銀河の需要に応えた結果、あっという間に人類のポルノは地球圏の主要輸出産業の一つになってしまった。
今や中央銀河ネットワークは、人間が巨大な異種族人の下敷きになりながらアンアン喘ぐような直視に耐えないアダルトコンテンツに溢れ、それが銀河全体に不名誉な固定観念を植え付けることになった。
「人間は常に発情しているセックス好きの淫乱」で、
「どんな異星の性器も受け入れられるほど柔軟」、
「中は狭くて熱く、とんでもなく気持ちが良いらしい」……などと。
先月は、連邦議員が「人類は他種族に簡単に股を開く」と公言してバッシングを受けていた。連邦は公的にはそういった物象化を非難しているが、実情は誰もが知っている。権力者や富豪は、人間の愛人を一人や二人囲っているものだ。
もちろん、人類はそれに順応した。それが人類の得意分野だからだ。今じゃほとんどの人類は、そんな扱いを日常の一部として受け入れている。中には積極的に異種間関係を求める者もいる。異種族との恋愛や結婚だって、保守的なセクターではまだ眉をひそめられはするものの、だんだんと一般的になってきている。
だが異種族の中で働く人間、特に軍人にとって、そういったステレオタイプは常に頭痛の種となっている。
対等な盟友として真剣に扱われようと努力する一方で、ほぼすべての交流に性的な含みが潜んでいることに対処しなければならない。
共同作戦では、彼らの本音が痛いほど透けて見える。兵舎内で聞きたくもない会話を立ち聞きしてしまった回数は数えきれない。特に連中が、俺たちの翻訳装置には届かないだろうと思い込んでいる時に。
人間は自分の3倍はある相手のブツも受け入れられるらしい、などと下品な冗談で笑っているのを聞いたことがある。一度でいいからヤってみたい、などと囁き合っているのを。
こっちが集団でいる時に出くわすのが一番気まずい。他の人間の同僚たちと目が合う。皆、聞こえているのを分かっていながら、わざと聞こえないフリをしている。
それから、異星の若い士官候補生たちが共用エリアで明らかに戦術映像ではない人間の映像をデータパッドで見ているところを見つけてしまったことも。さすがに恥ずかしかったらしく、六つの目全部を泳がせて慌てていたが。
地球軍はこうした状況に対する具体的な規定を設けざるを得なくなり、密室や一対一での接触禁止ルールで対処しようとしたが、ほとんど意味がなかった。規則を破ることにも興奮されるようになっただけだ。
地球軍の新兵の間で伝わるこんな言い回しがある。「入隊すれば、銀河中を見て回れる。そして銀河中からナンパされる」と。
俺はというと、今まで異種族人に言い寄られた回数なんてもう数え切れない。まあ、現代の軍人は、そういった誘いを躱すことも職務の一環として訓練される。交渉の際にはそれを利用することも学んだ。不快ではあるが。
甲虫族はまだいい方だ。名前は挙げないが、もっとひどい種族は山ほどいる。
少なくとも奴らは礼儀正しいし、作戦中は規律を保つ。彼らの戦士としての文化がそれを要求するからだ。
だから今回の任務を何事もなく終えられると期待していた。
ここタウロニスAステーションは連邦領域と外宇宙勢力との境界に位置し、暗黒への航行前の最後の補給拠点としても機能する要衝だ。
観測デッキからの眺めで、また一隻の甲虫族の大型巣艦が虚空に出現するのを見つめていた。
ドッキングベイは常に様々な種族の軍艦や補給艦の出入りで賑わっているが、人類の艦船を目にすることはほぼない。
この星系の知的生命体の総数はわずか数万ほど。それがいくつかの惑星と軌道ステーションに分散している。人類に至ってはその希薄な人口の0.1%にも満たない、人口統計報告書の脚注でしかない。
地球防衛軍の艦船で同胞に囲まれて過ごしてきた身としては、圧倒的少数派の立場にまだに馴染めずにいる。
身に染みて感じる。我々人類が母星を飛び出してどれだけ遠くまで来たか、そして宇宙という壮大な図式の中でいかにちっぽけな存在であるかを。
◇
銀河連邦が我々を発見した――より正確には、我々との接触準備が整ったと判断した――のは、2147年に人類が信頼性の高い超光速航行能力を獲得した直後のことだった。
歴史の教科書には、人類の星間社会への華々しい参入、人類史の新時代の幕開けなどともっともらしく書かれている。だが、そこに伴った容赦のない洗礼については、たいてい軽く流される。……人類が、それまで自分たちがどれだけ自惚れていたか、思い知る羽目になったということだ。
たかが一つの小さな惑星の生態系の頂点に立っているというだけで自分こそが進化の極致だと信じていたが、実際には既に連邦に加盟している約1,800の知的種族に数世紀、下手すりゃ数千年も後れを取っていた。人類がその存在すら理論化できていなかった技術を既に習得し、その存在にすら気付いていなかった問題をとうに解決していた文明が無数に存在していたのだ。
連邦は俺たちを「要観察新興種族」というステータスで受け入れた。「いずれ有用となるかもしれない原始種族」を外交的に言い換えた言葉だ。
あれから200年近くが経つが、人類はまだ未熟な新参者として扱われている。
……俺はジョン・コナー大尉。
地球防衛特殊作戦司令部、エグゾスーツ作戦部門所属。これが俺の肩書きだ。
従軍24年。普通教育を修了してすぐに通常歩兵として入隊し、22歳でエグゾスーツ訓練の資格を得た。千人に一人の狭き門をくぐり抜け、 神経接続ポートを脊椎に埋め込み、1トンの強化外骨格を自分の身体の延長のように動かす方法を叩き込まれた。
以来、既知宇宙の様々な戦場で人類と同盟種族の脅威と戦ってきた。大脳皮質に焼きついたニューラル痕――神経系に現れるエグゾスーツオペレーター特有の副作用が、その年月を物語っている。人生の半分近くを、チタン-グラフェン複合材と量子整列装甲板の層でできた外骨格の中で過ごしてきた。旧式のマークIIIストーカーから始まり、あらゆる派生型を経て、現行のマークVIIバルチャー強襲型まで。各機体は独自のニューラルシグネチャーを持ち、俺の脳組織には全ての型番のライブラリーが深く刻み込まれている。
これまでEDFガーディアン級宇宙船「ビジラント」搭載、第31重装甲師団第2大隊のアルファ中隊長として従軍してきた。
第31重装甲師団は、タウ・ケンタウリ紛争やリゲル侵攻、その他数え切れない小規模な交戦を潜り抜けてきた。軍内でも最も勲章の多い師団の一つで、俺のアルファ中隊もその名誉の多くを分かち合っている。大隊には3つの中隊があるが、アルファ中隊は常に最初の投入部隊であり、最後の撤収部隊でもあった。現在EDFの標準となっている軌道戦闘降下戦術を確立したのも俺たちの部隊だ。
司令部は何度も俺を戦略部門に引き上げようとした。少佐への昇進と師団本部のいい参謀ポストを3度も提示されたが、毎回断ってきた。
奴らには分からないんだ。現場こそが俺の居場所だ。部下たちの命を実際に守れる場所だ。
ビジラントは10年以上に渡って俺の家であり、第31師団は家族だと、そう思っていた。
だが、時の流れには逆らえない。
40代を迎えようとした時、連中は別の提案を持ってきた。
転属の話が来たのは、アンタレス宙域での特に激しい軌道降下作戦の後だった。予期せぬ粒子砲の攻撃で3機のエグゾスーツが大破したものの、かろうじて死者を出さずに任務は完遂した。
おそらくこの危険な任務が上の決断を後押ししたのだろう。
ビジラントの機密ブリーフィングルームに足を踏み入れた時、これは通常の作戦報告ではないと直感した。
提督のホログラムが舷窓の傍らに立ち、星々を眺めていた。さらに意味深だったのは、テーブルの上のグラスだ。
補給曹が酒を注ぐ。合成物ではない、本物の地球産ウイスキー。経験上、この類の酒が出てくる時は重い話になる。
『アンタレスでの戦闘記録を確認した。見事な降下だったぞ、大尉』
何光年も離れた場所で自身のグラスを手に取りながら、提督は言った。
『君の戦闘指標は依然として卓越している。……だが技術班の報告によると、交戦中の君のニューラルフィードバックのログに気掛かりな点がある』
なるほど、と俺は思った。
俺のマークVIIの接続データが、管制で何らかのフラグを立てたに違いない。
「前回の平均値から0.3ミリ秒の遅延です」
俺は端的に答えた。
隠し立てはできない。まだ許容範囲内ではあるが、数値は悪化し続けている。
ベテランオペレーターなら誰しも知るところだ。ニューラルフィードバックの遅延は、加齢とともにミリ秒単位で確実に忍び寄る。
人間の神経系統がエグゾスーツとの接続に耐えられる年数には限界がある。全身のセンサーフィードを処理しながら推進ベクトルと武器システムを制御し続ける負荷は、確実に脳を蝕む。
兆候は、認めたくなかったが確かにあった。フィードバックが遅くなり、高ストレス状況下での反応も少し鈍くなってきている。
スーツに長居しすぎて自分や仲間を死なせるオペレーター達を見てきた。42歳は化石ってわけじゃないが、前線のエグゾスーツ戦闘オペレーターとしてはとっくに賞味期限切れだ。
『エグゾスーツ操縦歴20年、そのうち15年は高強度戦闘地域での実戦経験。直接神経接続時間は15,000時間を超えている。そんなキャリアを積めるオペレーターが何人いると思う? ……司令部は、もはや君を実戦で失うにはあまりに価値のある人材だと考えている』
俺は黙っていたが、その言葉の意味するところは互いに分かっていた。
最前線への投下には、もう俺は歳を取りすぎている。命を落とす前に引き際を決めてやる、ということなんだろう。
提督はウイスキーを一口含み、『君の経験を活かせるポストがある』と切り出した。
そのポストというのは、エグゾスーツ部隊を率い、連邦の主要基地を巡回するというものだった。
説明は率直だった。銀河連邦への加盟以来、人類は良くて若年種族としか見られていない。たとえ形式上でも各セクターに実戦部隊を置くことで、人類の存在感をアピールする必要があるのだと。
つまり本当の役割は、はるかに進んだ文明が支配する星間社会で、人類の地位を少しでも向上させるための外交的な駒ということになる。
なぜ俺が選ばれたのか理解できた。上層部は、豊富な戦闘経験を持ち、かつ星間外交をこなせる人材を必要としていた。
深宇宙で異種族との共同作戦を多数指揮してきた俺のような叩き上げの将校が。
グラスの中の琥珀色の液体を見つめながら、俺は考えた。これまで死んでいった仲間のオペレーターたちのことを。増えていく片頭痛、手の微かな震えのことを。
提督の言うことは正しい。潮時なのだ。
「お受けします」
と答え、グラスを空けた。
そうして俺はビジラントに、第31師団に別れを告げた。アルファ中隊の指揮権を後任に移譲し、クルー達がエグゾスーツを投下ベイにスタンバイさせる様子を最後に眺めながら、人生の一つの章が閉じられていくのを感じた。
今、新しい指揮権限の下にいるのは12人の精鋭エグゾオペレーターとその支援要員だ。
その大半は、俺が引き留めようとしたにもかかわらずビジラントから付いてきた者たちだ。俺の異動が決まると、通路や格納庫で一人また一人と俺に近づいてきた。自分のキャリアを台無しにするぞと警告しても聞きやしない。
彼らの忠誠には胸が詰まる。優秀な男たちだ。それを俺のような老兵のために、既知宇宙の果てまでついて来させてしまった。
俺はEDF連絡将校としてこの精鋭部隊の指揮を執り、同盟種族の基地に駐屯し、合同演習と作戦支援、外交関係の維持に当たることになる。
悪い任務ではない。月面の司令本部でデスクワークに縛られ、戦闘技能を錆びつかせるよりはずっといい。
地球暦で2年かけて6つの連邦基地を周る。各駐留期間は4ヶ月だ。
既に2箇所での駐留を終え、次の任地はタウロニスAステーションーー連邦の主要種族、甲虫族が管轄する前線基地だ。
一見するとこの星系は何の変哲もない、ただの暗い恒星と死んだ岩の集まりに過ぎないが、外宇宙勢力が支配する暗黒域へと続く安定したワープ航路が存在し、連邦領域外に向かう艦船にとって最後の補給地点となっている。
星系周辺には外宇宙勢力の斥候船や宙賊が現れることもあり、タウロニスは常に緊張状態にある。ステーションは甲虫族の軍が防衛体制を敷いている。
甲虫族とは十分付き合いがあるから、何が待ち受けているかは分かっているつもりだ。
送られてきたブリーフィング資料に目を通しているが、ほとんどは既知の情報だ。
俺のように同盟種族と密接に働いてきた者は、公文書以上のことを知っている。
甲虫族。
二足歩行する人型のサイカブトムシと言えばわかりやすいだろう。
一本角と大顎、小口径の実弾をものともしないキチン質の甲殻に覆われた2~3メートルの巨体、複数の標的を同時に捕捉できる複眼、強化装甲すら引き裂ける四本腕を持つ。
我々人類が技術開発で実現しなければならなかったものを、彼らは進化によって獲得している。……数千年に及ぶ長い戦争の歴史による進化だ。
我々の祖先がまだ火の起こし方を考えていた頃、彼らはすでに星々を渡っていた。その勢力圏は何百もの惑星に及び、おそらく地球を10回は焼き尽くせるほどの艦隊を持つ。
幸いなことに、人類のことを気に入っているらしい。ファーストコンタクト以来、最も強力な同盟種族の一つとして付き合いがある。彼らの後ろ盾がなければ、攻撃的な種族の属国になっていたかもしれない。
強力な味方であるはずだが、一つ厄介な事実がある。
というのも、甲虫族は他の異種族と同じく、人間……特に男に対して強い関心がある。
関心というのは、まあ、つまり……
甲虫族は、アリやハチといった地球の真社会性昆虫のように厳格なカースト制で機能している。
その帝国は数百の植民地とそれを維持する無数の戦艦から成り、様々な役割に特化した何十億ものオスのドローンによって運営されている。しかし司令系統のトップは、支配階級を形成する少数のメスたちだ。
光年単位で広がる帝国を支配しているのは、外部の者は目にするのも稀な、母星のたった数千の個体というわけだ。
我々軍人が主に接触するのは、被支配者階級のドローンの中では最も身分の高い戦士カーストということになる。身長2~3メートルで、甲虫のような外殻には階級を示す印と氏族の紋章が刻まれ、その遺伝子コードは戦闘、強さ、戦術的思考のために最適化されている。
彼らは規律正しく、名誉を重んじ、軍事的階級制度を強く意識する。それゆえ、適切な階級の人類軍人にとっては、比較的安全な同盟者となる。
しかし、彼らの生殖システムが物事を複雑にする。
甲虫族のオスたちは単為生殖が可能で、クローン卵を産むための産卵管を備えている。
卵を産み付けたい、数を増やしたいという本能は、戦士カーストにとって特に強烈だ。古代の戦争時代には高い死亡率に見舞われ、損耗する個体数を常に回復する必要があったため、彼らは進化の過程で孵化器を確保して卵を産み付けようとする、ほとんど抗いがたい性衝動を発達させた。
卵の孵化には温かく湿った環境が必要だ。バイオ技術で作られる「繁殖袋」なるもので代用することがほとんどだが、できれば生きた宿主の体腔が望ましいという。……ああ、想像した通りのおぞましいことだ。
問題は、彼らの文明がもはやそのレベルの攻撃的な増殖を必要としていないということだ。帝国は安定している――むしろ安定しすぎているくらいだ。人口は既に植民地化された全ての惑星で飽和状態にある。
女王たちはオスに厳格な人口制限を課しており、特に戦士カーストは女王からの明確な許可なしには繁殖が許されていない。
しかし――ここが厄介な部分なのだが――繁殖は規制されているものの、性行為、つまり宿主に卵を産み付ける模倣行為自体は禁止されていないのだ。
許可なく繁殖することはできないが、それでも強力な本能に突き動かされている。この本能は、宿主として適合する交尾相手を確保したいという、ほぼ強迫的な欲求として現れる。
……そして、ここで人類が関係してくる。
甲虫族は人類の……特に男の、その……直腸を、卵を産み付けるのに理想的な環境だと本能的に見なしているようなのだ。
どうやら、ストレス下で人間男性が分泌するアドレナリンやフェロモンが、彼らの繁殖欲求をさらに刺激してしまうらしい。
もちろん実際の産卵は両種族の法律で厳しく禁止されているのだが、それでも彼らが人類、特に俺たちのような軍人に強い関心を持つのを止められるわけではない。
……彼らにとって俺たちは、卵で満たされるのを待つ、暗くて温かい湿った穴というわけだ。
そう、教科書には書かれていないことがもう一つある。これは銀河で人間として生きることの現実だ。
甲虫族に限った話ではない。
――人間であるということは、ほとんどすべての知性種族の性的対象であることを意味する。
軍事力や政治力の面では弱小種族に過ぎない我々だが、それでも連邦宇宙全域で知られているのは、業績や文化によってじゃない、性的アイコンとしてだ。
ほとんどの宇宙航行種族に比べて小柄な体格がフェチ化を助長し、発情期が存在せず常に生殖活動をする独特の生態が、さらに性的なイメージを強化してしまっている。
そこに商機を見出した輩が現れ、軍部の苛立ちをよそに積極的に銀河の需要に応えた結果、あっという間に人類のポルノは地球圏の主要輸出産業の一つになってしまった。
今や中央銀河ネットワークは、人間が巨大な異種族人の下敷きになりながらアンアン喘ぐような直視に耐えないアダルトコンテンツに溢れ、それが銀河全体に不名誉な固定観念を植え付けることになった。
「人間は常に発情しているセックス好きの淫乱」で、
「どんな異星の性器も受け入れられるほど柔軟」、
「中は狭くて熱く、とんでもなく気持ちが良いらしい」……などと。
先月は、連邦議員が「人類は他種族に簡単に股を開く」と公言してバッシングを受けていた。連邦は公的にはそういった物象化を非難しているが、実情は誰もが知っている。権力者や富豪は、人間の愛人を一人や二人囲っているものだ。
もちろん、人類はそれに順応した。それが人類の得意分野だからだ。今じゃほとんどの人類は、そんな扱いを日常の一部として受け入れている。中には積極的に異種間関係を求める者もいる。異種族との恋愛や結婚だって、保守的なセクターではまだ眉をひそめられはするものの、だんだんと一般的になってきている。
だが異種族の中で働く人間、特に軍人にとって、そういったステレオタイプは常に頭痛の種となっている。
対等な盟友として真剣に扱われようと努力する一方で、ほぼすべての交流に性的な含みが潜んでいることに対処しなければならない。
共同作戦では、彼らの本音が痛いほど透けて見える。兵舎内で聞きたくもない会話を立ち聞きしてしまった回数は数えきれない。特に連中が、俺たちの翻訳装置には届かないだろうと思い込んでいる時に。
人間は自分の3倍はある相手のブツも受け入れられるらしい、などと下品な冗談で笑っているのを聞いたことがある。一度でいいからヤってみたい、などと囁き合っているのを。
こっちが集団でいる時に出くわすのが一番気まずい。他の人間の同僚たちと目が合う。皆、聞こえているのを分かっていながら、わざと聞こえないフリをしている。
それから、異星の若い士官候補生たちが共用エリアで明らかに戦術映像ではない人間の映像をデータパッドで見ているところを見つけてしまったことも。さすがに恥ずかしかったらしく、六つの目全部を泳がせて慌てていたが。
地球軍はこうした状況に対する具体的な規定を設けざるを得なくなり、密室や一対一での接触禁止ルールで対処しようとしたが、ほとんど意味がなかった。規則を破ることにも興奮されるようになっただけだ。
地球軍の新兵の間で伝わるこんな言い回しがある。「入隊すれば、銀河中を見て回れる。そして銀河中からナンパされる」と。
俺はというと、今まで異種族人に言い寄られた回数なんてもう数え切れない。まあ、現代の軍人は、そういった誘いを躱すことも職務の一環として訓練される。交渉の際にはそれを利用することも学んだ。不快ではあるが。
甲虫族はまだいい方だ。名前は挙げないが、もっとひどい種族は山ほどいる。
少なくとも奴らは礼儀正しいし、作戦中は規律を保つ。彼らの戦士としての文化がそれを要求するからだ。
だから今回の任務を何事もなく終えられると期待していた。
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