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ACT 0:BOY MEETS DOLL
[0] 最高級セクサロイドを拾った義体技師の少年ブラッドは、その中に男の意識が閉じ込められていることを知る。[正常位セックス/オナホ]
しおりを挟むだぽんッ♡
――と、温かくてやわっこい2つの塊が、頭に重たくのしかかってくる。
「……ムコ、マジで……集中できない」
神経接続端子を修理しようとしてるって時に。
光ファイバーをつまんだピンセットがぷるぷる震えている。
頭の上の重量がどかされるが、その代わりに……
どたぷん♡ と、俺の顔のすぐ横にデカ長乳が現れる。
…………でっっっっっ、け…………
「すまん……。ただ覗き込んだだけなんだが」
返ってくる低い男の声は、ボディと全然マッチしてない。
3週間前、パーツ目当てで工業地区のスクラップヤードを漁ってた時に見つけた。
大当たりだと思った。
超ハイエンドのセクサロイド。「使われた」形跡すらなく、皮膚も関節もほとんど新品同様。雨ざらしにして錆びつかせとくなんてありえない。
180センチ近くあって、爆乳巨尻、すらっとした長い手脚。手触り最高の真っ白な人工皮膚。切れ長のたれ目とぽってりした唇の顔も超タイプ。
ワークショップまで持って帰って診断ツールを繋ぐまでは、修理手順を考えつつ、脳内妄想と勃起が止まらなかった。
――そしたら中から人間の脳殻が出てきやがったんだ。
軍用グレードの脳殻に、男の人格パターンと戦闘ファームウェア。でも目覚める前の記憶は飛んでる。周辺データから解読できたのは、武庫という日系人っぽい名前だけ。
こんな体に詰め込んだヤツは、明らかに親切心でやったわけじゃない。脳の持ち主はどう見ても、誰かに恨まれた元軍人か傭兵のサイボーグだろうな。
アンダーグラウンドの中でも頭抜けてぶっ飛んだ制裁方法だ。
セクサロイドに意識を閉じ込めてただのオナホールに堕とすなんて、ヤバすぎる。
「怒らせたか……?」
ムコが俺の顔を覗き込んできて、重たく実った乳が下向きにたぷん♡ と無防備に垂れ下がり、なっがいI字の谷間をモロに視界に収めてしまう。
勘弁しろよ……っ!!
否応なく男をムラつかせてくるセックス専用ボディが常に周りをウロウロしてるってのは、健康な若い男にとってかなり酷な状況だ。
「……怒ってねえよ、ただ忙しいだけ。そっちの調子は?」
と、話題を変えようとする。
「ああ……今日は頭が重い。何かを思い出そうとするたびにエラーが出る」
ムコの中には破損した人間の意識とセクサロイドの基幹システムが同時に存在し、その2つが並走している。元の人格がセクサロイドの人格オーバーレイに乗っ取られないよう、常に抗っている状態だ。
火器管制や戦闘サブルーチンは残ってるみたいだけど、意識的にはアクセスできないらしい。
ムコは、爺ちゃんから継いだこの小さな店の用心棒みたいな存在になった。元軍人だか傭兵だかのスキルで素行の悪い客から守ってくれる一方で、俺はムコのボディのメンテナンスと、過去を紐解こうと努力している。
こんな訳アリの元サイボーグを匿うなんてどう考えてもヤバい。
でもどうすりゃよかったんだ? 外にほっぽり出したら、どんな目に遭うかなんてわかりきってる。
「――げぇっ!? マジかよ小僧! そのセクサロイドどっから手に入れた!?」
ほら、まさにこいつみたいな輩がいるからな……。
ジャーゴンのデカい声で基板をだめにしそうになった。重改造で膨れ上がった軍用義体の傭兵が店の入り口に突っ立ってワナワナ震えている。
こいつは店の常連で、元軍人上がりの傭兵。もう身体のほとんどが機械化されてる改造ジャンキーだ。
企業戦争後の軍縮で、こういうゴロツキが街にゴマンと流れ込んできた。お陰で俺は食いっぱぐれそうにない。
ムコはカウンターに腰掛け、その長い足を持て余して組んでいた。着ているものは俺のジャンパー一枚(乳がデカすぎてジッパーが上がらないし、尻がデカすぎて下は貸せる服がない)に素足。裾はギリギリ、辛うじて見せちゃいけないものを隠している。
「声でけえよ。長期任務はどうだったんだ、ここ最近で一番のヤマだったんだろ?」
「んなこたどうでもいい、聞きてえのはそのドールだよ!」
「スクラップ置き場で拾った。運が良かったってだけだ」
「運がいいどころじゃねぇ! わかってんのか、それ傀儡女だぞ!」
ジャーゴンがドスンドスンと近づいてくる。
「市場じゃ出回ってねえ、カグラザカ・ニンギョウのフラグシップモデルじゃねえか! 民生用ドールのくせに軍用グレードの感覚受容センサー積んでんだぞ!」
「へえ~、知らなかった」
「嘘つけ、こら!」
ぶっとい強化拡張義肢が俺の肩を掴んでガクガク揺さぶる。
「絶対に試してんだろ? なあ!? どうだった!? 詳しく話せよ!! クソ、俺にも一発ヤらせてくれ、金なら払――」
その動きは目に追えないほど速かった。
一瞬前まで俺を揺さぶってたジャーゴンが、次の瞬間には作業台に顔面を押しつけ、自分のサイドアームを後頭部に突きつけられていた。
ハンドガンを構えたムコが後ろに立っている。
相変わらず無表情のままだが、その伏せられた目に冷たいものが宿っていた。
「なんだてめ、」
ジャーゴンが抵抗しかけたが、銃がさらに強く押し付けられて動きを止めた。
俺は慌てて立ち上がる。
「ちょ、おい、落ち着けってムコ! こいつは得意客だぞ!」
「だがお前を脅した」
ムコの低い男声が淡々と述べる。
「あいつはいつもああなんだよ! ただ熱しやすい性格なだけで……」
「……」
ムコが手を放して一歩下がる。
「すまなかったな。反応が過剰だった」
「おいおい......クグツメから男の声が出てるのか?」
「ジャーゴン、とにかく……ゆっくり下がってくれ」
ムコはスムーズにマガジンを取り出し薬室をクリアして、無力化した銃を投げ返した。
ジャーゴンは口笛を吹きながら受け取る。
「……男のボイスモジュール? それにとんでもねえ戦闘サブルーチン積んでやがんな。お前、スクラップの山から一体何を引っ張り出してきたよ」
「たぶん……ボディガード用だったんじゃないか? ベッドの上の暗殺対策とか? ほら、金持ち連中って変なカスタマイズ好きだろ」
さり気なく装って言うと、ジャーゴンの光学系が細まり、スケベな笑みを浮かべた。
「は~ん、企業幹部どもの変態特注品か。いいねえ」
身を乗り出してきて、声を落として囁く。
「で……ヤったのか?」
「い、いや……そんな……ほら、男の声なんだぞ? 誰が興奮するんだよ、そんなの……」
そりゃヤったよ。ヤったに決まってるだろ!!
最初の数日は我慢したけど、そっからタガが外れてセックス三昧だ。
でもそんなこと言えるわけない。
ジャーゴンのニヤけ面がさらに広がる。
「へ~え、声の調整なんてボイスモジュールの問題だぜ。簡単に交換できるだろ? お前ならよぉ」
何も言い返せない。
「むしろイイってか? あ~あ~顔真っ赤じゃねえか、このエロガキ♡ かわいそーに、こんなの拾ったばっかりに性癖ぶっ壊しちまってよ♡」
「……ほらこれ、修理終わってるから。帰れよ」
調整のために預かっていた義肢をほとんど押し付けるように返す。
「わかったって。しっかしクグツメか……一回でいいからヤってみてぇもんだなァ。カグラザカの疑似膣ユニットは超凶悪、チンポしゃぶり尽くしてどんな男も骨抜きにするって話じゃねえか」
「……」
「なあ、マジでレンタルする気になったら連絡してくれよ、金なら言い値で……」
「帰れ!!」
ジャーゴンが出て行った後、ムコが首を傾げる。
「何話してたんだ?」
「いいから……なんか片付けでもしてろよ。頼むから」
「下半身の血流がかなり増加してるが」
「分かってるって!」
隠しても無駄だ。ムコを起動した時、セクサロイドのシステムが自動的に俺をマスターとして登録しやがった。バイタルを全部キャッチされて、少しでも興奮するとバレバレだ。
ちょっとしたチンピクを隠すプライバシーすら完全に失った。マジで俺かわいそう。
ムコが近づいてきて、耳元で囁く。
「少し硬くなってるな。……サクッと抜いてしまおうか」
作業台で固まる俺。
ノーブラでジャンパーにたっぷり詰まった、男のチンポを勃起させるためだけの下品なデカ乳を目の当たりにしながら、あの男らしいざらついた低い声で囁かれると頭がおかしくなる。
「……ちょっと待ってろ」
左右に揺れながら離れていく尻を目で追う。
ムコはセクサロイドのサブルーチンに接続しているせいか、セックスに対する認識がバグっている。
……中身はれっきとした男なのに、マジであり得ないくらい気軽に疑似膣使ってヤらせてくれる。
あいつの言う「サクッと抜く」ってのは、あの尻に思いっきりパンパン打ちつけさせてくれるってことだ。
一番深いところでビュ~ビュ~無遠慮に出したって怒られないどころか、気持ちいい波が引くまであの細腰にギュウウッと抱き着いたままでいさせてくれる。
あ゛~~~~クソッ、クソッ、勃つ……っ、
股間に血液が集中しようとするのを必死で散らそうとする。
分かってるのに。あいつは男だ。あの中には男の脳が入ってる。
きっと何十年もかけて体中をサイバネティクスに置き換えてきたガチガチの重サイボーグで、多分死んだ親父くらいの年齢のおっさんなんだぞ!!
ドエロい女の体と、中に入ってる渋い男とのギャップが、俺の脳をぐっちゃぐちゃに混線させる。
デカパイと巨尻のムッチムチの女体、でもそこから出てくるハスキーな低い声……。
あああああああ、マジでやばい性癖が芽生えてきてる……。
俺の苦悩をよそに、ムコは工房の裏手で何か漁っている。
「ホールがない。昨日使ったので最後だ。補充しに行くか」
――こうして近くの深夜営業やってるセックストイショップで、セクサロイド用ホールの陳列棚を物色することになった。
他の客たちが必死にチラ見してないフリをしている中で。
ムコはフロアにしゃがみ込んでパッケージを調べている。
「全部低価格帯メーカーだな」
「……そりゃあな。カグラザカの純正品なんてどこにも置いてねーよ」
ホールってのはまあ、穴だ。チンコ突っ込んでしごくシリコン製のやつ。
セクサロイドの疑似膣ユニットに取り付けて、基本的には一回ヤったら使い捨てだ。
残念なことにムコを拾った時点で疑似膣の中は空っぽだった。各メーカーの純正品は割高で、カグラザカの純正専用ホールなんて民間市場に出回ってすらないが、どの規格とも互換性があるサードパーティ製品なら店頭で安く手に入る。
セクサロイドに関しちゃ、別に初心者ってわけじゃない。
こうなる前は毎週末、セクサロイド風俗に通ってた。……ワンプレイ5クレジットでお手軽に抜ける、立ちバック専門の超格安店に。
こういう投げ売りされているやっすいホールは正直微妙だけど、ムコのボディにはめれば一瞬で天国を見られる極上のマンコになる。
なんたってカグラザカのクグツメだ、外見だけじゃなく内部構造に至るまで最高級。内蔵されてるアクチュエーターが違う。
ホールを格納するインナーカップにびっしり配された高性能アクチュエーターが、生身の女では太刀打ちできない動きでチンポをギュインギュイン搾ってくる。
初めてヤった時は5秒足らずでブッこ抜かれて、マジで泣きそうになった。
……あー。まずい。ムラムラしてきた。
さりげなくチンポジを整えていると、ムコがあの低い男声でパッケージの裏を読み上げ始めた。
「『肉厚のリアルなフィット感、細やかな凹凸とヒダ……底厚でしっかり奥突きを楽しめる』」
一瞬の間。
「こっちは『硬めのイボで高刺激、奥の部分には螺旋のカリ首責めゾーン、亀頭を吸うドーム構造』。……どうだ?」
深夜の客たちは、ホールの製品説明を低い男声で読み上げる変態仕様セクサロイドを、あとでオカズにする気満々のギンギンの目で見ている。
何気なくムコの隣を位置取っている男は、下の棚を調べるためにしゃがんでいるムコの、ジャンパーの生地がぱっつんぱつんに張ったデカ尻に目を血走らせて、ポケットの中に手を突っ込んで明らかにシコシコやっている。
「……これでいい。これで。もう行くぞ」
適当に箱を掴んでレジに引っ張って行く。
◇
ムコとヤりたがってる男どもの視線に無性にムラムラして、部屋に上がるまで我慢できずに、工房の施術用ベッドでおっぱじめてしまった。
蛍光灯の下では情けない一人用オモチャみたいに見えた激安ホールも――ムコのぶいっとい太腿の間に収まると、世界一背徳的なマンコになる。
あのムコに、チンポを気持ちよくシゴくためだけの穴が備わってるって考えるともうヤバい、ガッチガチに硬くなる……。
入り口のビラビラを横に引っ張る。真っピンクのシリコンのヒダの奥に、小さく<未使用>と印字された半透明なシールがのぞいている。
その奥はもう、セクサロイドのボディが自動的に分泌する潤滑油で、トロットロにぐずついているはずで……♡
亀頭をあてがい、ぐ~~っ♡ と体重をかける。
――ぱつっ、ヌプン♡
「……ッ♡」
「お゛っ……ふ……♡」
シールが破れ、亀頭が一息に飲み込まれる。
たった今、<未使用>じゃなくなったムコがびくんと反応する。
――そう、ムコはセックスで感じる。
高級セクサロイドにはその性質上、全身くまなくびっしりとセンサーが配置されていて、あらゆる感覚信号を受け取って処理し、ボディの反応にフィードバックする。
さすがは最高級ラインのクグツメ、軍用グレードの超センシティブな感覚受容センサーを搭載している。その数も半端じゃない。
ムコは全身から送られてくる刺激をダイレクトに受け取ることになる。
もちろん、膣も例外なく。
体重に任せてそのままねじ込んでいく。みちみちみちみちっ……♡ と、待ち構えているヒダにビンビンの勃起を揉みくちゃにされつつ、クソ狭いシリコンをかき分けて進んでいく。
「あ゛~~~~……♡♡」
「……、お゛……♡ ふうぅ……ッ♡」
ぐいぃん、ぐいぃん、とアクチュエータが働いてチンポを引き込むように膣壁がもったりとくねる。
まって、これ以上進むのキツい……♡
中で包皮が全部ずり下ろされてしまい、思わず腰を止める。
偽物の肉にチュウチュウ締め付けられて、動いてないのにチンポがどっくんどっくん脈打ってる。
「はああ、中あッつ……♡♡」
あ~~♡ チンポコキたい♡♡
腰振ってチンポゴシゴシ擦りたいのにキツすぎ……♡ すぐ出るってこんなの♡
恐る恐る腰を引くと疑似膣のアクチュエータが総動員し、ネトネトの中がぬにゅうぅぅ~~……♡ としつこく追いすがってきて。
「あ~……っ♡ やっばコレっ……、このホール♡ きっっつい……♡ チンポ持ってかれそ……ッ♡」
ぬにゅううううぅぅ~~…… ――っちゅぽんッ♡
チンポが膣から追い出されるように抜けて、先っぽがカウパーを飛ばして跳ね上がる。
「ッハァ♡ ハァ♡」
「……フー……♡、 フー……♡」
たかだか一往復でこれ。やっばい。
ムコの人工皮膚が上気して、白い肌がしっとり汗ばみ、太ももまでほんのり赤く火照ってる。
「ムコ、ごめ……っ♡ このホール、キツくて辛いかもだけど……♡」
「ぁあ……♡ ぐ、う゛……♡」
ムコに覆い被さってボディを二つ折りにする。
バカみたいにデカい乳が左右にばるんとこぼれた。
チンポをあてがって垂直に下ろしていく。
ゾリゾリゾリゾリゾリ……♡
ちゅううぅぅぅぅぅ~~~~……っ♡
「ッ~~~~……♡♡♡」
裏筋をびっしり生えそろったイボに苛め抜かれてつま先立ちになる。
――ぬ゛ちゅう♡
「……おっぅ゛っ……♡」
行き止まりまでチンポを突き立てると、ムコの長い脚が天井に向かってピンッと伸びた。
――ッズンッ♡
「お゛ぅっ♡」
――どちゅッ♡
「おぉっう♡」
――どちゅんッ♡
「ぉっおお……ッ♡」
ムコの女体をいじめたくて無我夢中で一番奥を叩く。男の脳が膣の快感に叩きのめされてるのって、超倒錯的だ。
長いセクシーな脚をバタつかせてイヤイヤするのがエッロい。
ぬっとん♡ ぬっとん♡ ぬっとん♡ ぬっとん♡
今度はチンポ甘やかして甘ピストン。
それでもヴ~~……♡ ヴ~~……♡ とアクチュエータが蠢いて波打つようにチンポを圧搾してくる。
ぬっちゅッ♡ ぬっちゅッ♡ ぬっちゅッ♡ ぬっちゅッ♡
「お゛っ♡、……おぉうッ♡ おう……ッ♡ 」
ラストスパートは本気のピストン、短いストロークで全力でチンポをコキまくる。
掻き寄せた巨乳に顔面突っ伏してヨダレたらしながら、頭空っぽにして腰を振る。
マジで今の俺、バカ。頭悪すぎる。
たぶん人間ってこんな気持ちいいの知ったらだめなんだろうな。
「あっ♡ はっ♡ はぁ♡ ムコ♡ ぁ♡ んんっ♡ ッ♡ はっ♡」
「ッお♡ ぉ……♡ おっおうぅ゛……♡ っクゥ……♡ ブラッド……♡♡」
こういう時だけ名前呼んでくるの、ズルいって……!!
「あ♡あ♡あ♡あ♡ ムコっ♡ いく♡ いくっ♡」
あ~~~~イッく……♡♡♡
っぉ~~~~……♡ ほおぉぉ~~……っ♡♡♡
――ビュくっ♡ ビュッ♡ ビュ~~~~~~ッ♡♡♡
ギュンギュン蠕動する疑似膣の中でチンポがのたうち、最高に気持ちよくザーメンをぶちまける。
このホール、絶対リピートする……。
俺はそう心に留めた。
◇
俺は施術台の上で干からび、ムコは作業台に素っ裸で腰掛けている。通りの紫色のネオンが真っ白に戻った肌に反射していた。
「……なあムコ」
顔が熱くなるのを感じながら、切り出す。
「あの、さ。俺のこと……どう思ってんの?」
負い目はある。匿うっていうテイで、ムコの体を利用して結構好き勝手やってるし、かなり情けない顔も見せてきた。
「……フフッ、」
かすかな笑い声。
耳を疑った。ほとんど聞こえないくらいだった。ムコが笑うのを聞いたのは初めてだ。
低い武骨な男の声なのに、意外と優しい音だった。
思わず動揺してしまう。
「な……なんだよ」
「ん、いや……カワイイと思ってな……すまん」
「……は? どういう意味だよそれ……」
その声には普段よりも温かみがあった。
いつもの人工の虚ろな顔が……懐かしむような何かに置き換わっていた。
「少し思い出した」とムコは続けた。
「30年、いや、もう40年くらい前か。俺がフルボディコンバージョンを受けたのは」
「……何だって?」
フルボディコンバージョン――全身義体。
有機的な部分を完全にサイバネティクスで置換すること。
今では禁止された技術で、2050年代の軍拡競争の遺物だ。
日系軍需企業・ヒシガミが先駆者で、国際条約で規制される前に第一世代の本物のサイボーグを作り出した。
「……その時に、人間らしい衝動は全て無くなった。空腹も、疲労も、性欲も――それに振り回されている若いお前を見ていると……愛おしいと思う」
……。
待て、いや待て。頭の中は大忙しだ。
もしムコが本当にその時代のフルボーグなら……クソ、想像以上のヤバさだ。
セクサロイドのボディに詰め込まれた記憶喪失の元傭兵ってだけでも相当ヤバイ事情がありそうなのに。
元の身体は、メガコーポの半分が血眼になって探してる機密軍事技術。
俺、そんなの匿ってて大丈夫なのか?
「冷汗をかいてるぞ」
ムコが指摘する。
「やっと自分が何に首を突っ込んだか、分かってきたか?」
「……俺、自分の心配した方がいいのか?」
「たぶんな。でも、お前には何も起こさせない」
ムコはまっすぐ俺を見て言った。
「……ブラッド」
◇ ◇ ◇
高級歓楽街の一角、ホテル最上階のペントハウススイート。
部屋の中心には巨大な円形ベッドが鎮座し、最高級セクサロイド・傀儡女たちが主人を取り巻き、寸分たがわず同じ顔とボディで奉仕していた。
その主人、通称「ブッチャー」と呼ばれる5眼の全頭型サイボーグの男は、極上のセクサロイドたちにほとんど関心を示していない。
傭兵団リーダーの怒りは、ここ数日でさらに増していた。
『使えねぇクズどもが!! たった一体のドールも見つけられねぇのか!?』
胸に触れていたクグツメの一体を突き飛ばして怒鳴る。
『あの野郎を輸送中に見失ってからもう1ヶ月が過ぎやがった。今じゃどこにいるかも、どんな状態かもわからねぇ』
目の前に立つ部下たちが居心地悪そうに身動ぎする。軍用規格品を満載した重義体が、今やボスの罵倒を受け止めるだけの存在と化していた。
一人が口を開く。
「……闇医者とブラックマーケットは全て当たりました」
『黙れ!! 御託は聞きたくねえ! これを計画するのにどれだけの金と時間がかかったと思ってる!? あいつの義体を売っぱらってようやくペイできたんだぞ!』
部下に投げつけられたグラスが粉砕する。
『奴は今頃ここにいるはずだった。俺専用のファックトイとしてな。あの野郎を屈服させてハメ壊すことを、どれだけ長い間願ってきたか分かるか……?』
ブッチャーはクグツメの一体を抱き寄せ、頬を、唇を撫でる。
『――それが今、どこかの屑が俺のオモチャを、俺の復讐を楽しんでやがるかもしれねぇんだぞ!!』
部屋は静まり返り、部下たちは身動きできない。
ブッチャーの息遣いが荒くなり、紛れもない欲望を帯びてくる。
ドールに膝をつかせ、頭を掴み、股間に導く。
『……クソッ、そうだ、しゃぶれクソ野郎……』
絹のように繊細な髪を乱暴に握りしめ、人間ならとっくに窒息しているような深さで、股座に押しつける。
『そのまま……っく、喉まで咥えろ……、おお゛ぉっ……♡』
フルフェイスヘッドが後ろに反り、上ずったうめき声が喉から漏れる。
『……俺のペニスを崇拝させてやる、高慢野郎が……その間、お前には意識がある。お前の心はそのまま、体が裏切り、セクサロイドのルーチンにねじ伏せられ、徐々に俺のペニスを欲するようになっていくのを、感じることになる……ッ♡』
ボスが歪んだ妄想に我を忘れる中、部下たちはやり場のない視線をさ迷わせている。
『お前の昔のお仲間の前で、見せ物にしてやる……ッ、ふ……ペニスに媚びるしか能のない、チンケなオナホール野郎と化したお前をな……』
人形を引き上げ、ヘッドボードに押し付ける。
激しく後ろから突きながら唸る。
『ッ、俺が、使い終わったら……ッ♡ フー……ッ♡ この街で最低の屑共に貸し出してやる、店にやって客を取らせるのもいい、もしくは便所にでも縛り付けて……ッ――お゛おぉぉおっっ……♡』
ブッチャーは最後に獣のような唸り声を上げ、達した。
そして突然嫌悪感を覚えたかのようにドールを蹴り飛ばし、ズボンのジッパーを上げた。
『……消えろ。結果を持ってこないうちは戻ってくんじゃねぇ』
部下たちが慌ただしく退室する中、ブッチャーは階下の街並みを見つめていた。
――どこかに奴が隠れている。時間の問題だ。
『必ず見つけ出してやる。見つけた時は、シンガポールで死んでおけば良かったと後悔することになるぞ……旧友』
その街の下層では、件のセクサロイドが一人の少年の工房に転がり込んでいたのだった。二人は頭上で渦巻く嵐のことなど知る由もない。
しかし、それはまた別の夜の物語だ。
ACT 0:BOY MEETS DOLL ―― 了
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